元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「あの頃、君を追いかけた」

2013-12-14 07:13:32 | 映画の感想(あ行)

 (原題:那些年、我們一起追的女孩)本国台湾や香港などで大ヒットし各映画賞の候補にもなった青春ドラマということで観てみたが、何のことはない、日本でもよくある軽量級ラブコメでしかなかったのには脱力した。ベタな展開とユルい演出の連続で、明らかに(日頃あまり映画を観ない)若年層のみをターゲットにして作られており、私のようなオッサンはお呼びではないと合点した次第(笑)。

 90年代の半ば、台湾中西部の町・彰化に住む男子高校生コートンとその仲間達は、毎日のようにくだらないイタズラで授業を妨害し、学校当局の悩みの種になっていた。困った担任教師は、クラスの優等生の女生徒シェンを“お目付役”としてコートンの後ろの席に座らせることにする。コートンは何かにつけて偉そうに指図する彼女を最初は鬱陶しいと思っていたが、やがて憎からず思うようになってくる。それから映画は卒業後の彼らの進路を追う。

 台湾の作家ギデンズ・コーが、自伝的小説を自らのメガホンで映画化したものだが、やはり本職の監督ではないためか作劇に隙間風が吹きまくっている。全体的にテンポが悪く、ストーリーは行き当たりばったり。あちこちに挿入されるギャグはレベルが低く下品で、しかも繰り出すタイミングを外しているためにほとんど笑えない。

 そもそも登場人物が無駄に多い。主人公の悪友どもを5人も6人も用意する必要があったのか。2人か3人で十分だろう。さらにコートンが大学に進学すると、学生寮にいるアホな連中も絡んでくる有様だから、余計に面倒臭くなってくる。回想シーンと銘打った同じ画像の使い回しや、何かというとセンチメンタルな劇中曲が流れるなど、水増し的な要素も目立つ。

 わずかに印象に残ったのは、日本の漫画やアニメーションが小道具として数多く使われていることだ。改めて、我が国のサブカルチャーが台湾をはじめとする周辺諸国へ大きく影響を与えていることを確認した。もっともそれらの引用は、段取りが悪いせいかウケない(爆)。

 唯一笑えたのは主人公が格闘するシーンに挿入される“デンプシー・ロール”のネタぐらいだ。森川ジョージの漫画「はじめの一歩」における主人公の必殺ブローの一つだが、個人的には安紀宏紀の「ナックルNo.1」を思い出してしまった。

 ヒロインに扮したミシェル・チェンが83年生まれだというのには驚いた。いいトシなのだが、高校生を演じてもまったく違和感がなく、役柄にふさわしいほど可愛い。しかしながら、彼女以外のキャストは大したことはなく、コートン役のクー・チェンドンをはじめ皆“脚本通りやりました”という程度。この意味でも、個人的にはあまり作品の存在価値を見出せなかった。

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