元・副会長のCinema Days

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ドラマ「全裸監督」シーズン2

2021-10-23 06:56:52 | その他

 2021年6月より配信されたNetflixオリジナルシリーズ(全8話)。アダルト業界の風雲児と呼ばれた村西とおるの半生を描いた、2019年8月より配信されたシーズン1の続編だ。物語は、まだバブルの余韻が充満していた1990年から始まる。

 製作するアダルトビデオがことごとくヒットし、飛ぶ鳥を落とす勢いの村西だったが、盟友の川田とはケンカ別れしてしまい新たな会社を立ち上げる。彼はやがて衛星放送に興味を持つようになり、放映権を獲得するため手段を選ばぬ攻勢に出て、目的を達成。しかし、バブル崩壊の影響は大きく、村西の事業は赤字が拡大し。絶体絶命の窮地に陥る。

 前回が“成り上がり編”だとすると、今回は“転落編”だ。しかし、村西は今でも元気であることは周知の事実なので、結末は分かっている。ならば、どういう語り口で見せるかというのが焦点になるが、これがまさに波瀾万丈で上手くいっていると思う。総監督の武正晴の仕事は的確だ。

 人間、落ちぶれたときにこそ真の姿が露わになっていくものだが、本シリーズでは前作であれほど怖い物知らずだった村西が、時代の流れには勝てずに自暴自棄になっていく様子が容赦なく描かれる。落ち度は自分にあるにも関わらず、仲間を売り、会社を私物化する。周囲にいた人間は次々に村西のもとから去り、ついには盗難騒ぎに巻き込まれて一文無しだ。

 だが、どんなに悪い面が出ても、彼のエロに対する情熱と飄々とした持ち味は損なわれない。確実に世の中に一石を投じた業績は、ギリギリのところで彼を破滅の淵から救ったとも言える。また、村西を捨てきれない側近たちの心情も上手く掬い取られており、時制が94年に飛ぶラスト近くの処理も違和感が無い。

 主演の山田孝之は相変わらずの怪演で、アクの強さに“引いて”しまうこともあるが(笑)、目覚ましい求心力を発揮している。満島真之介に玉山鉄二、柄本時生、伊藤沙莉、リリー・フランキー、森田望智、國村隼、冨手麻妙といった前回から引き続き登板する面子をはじめ、宮沢りえや石橋蓮司、伊原剛志、吉田栄作、西内まりや、室井滋といった多彩な顔ぶれが場を盛り上げる。そして、村西のパートナーとなる乃木真梨子に扮した恒松祐里の健闘も光る。Netflixらしいカネの掛かったセットや海外ロケ等、ドラマの“外観”も見逃せない。

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