元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「チアーズ!」

2016-06-12 06:20:01 | 映画の感想(た行)

 (原題:Bring It On )2000年作品。チアリーディングを題材にしているが、それまでこのネタを大々的に取り上げた映画はあまり存在しなかった。それだけでも本作では大きなアドバンテージになるが、出来の方もかなり良いので、まさに言うことなしだ。幅広く奨められるシャシンである。

 カリフォルニア州のランチョ・カルネ高校のチアリーディング・チーム“トロス”は、全国大会で何度も実績を上げた名門だ。ところが、今シーズンも優勝を狙おうと張り切っていたキャプテンのトーランスに、思いがけない事実が突きつけられる。実は、それまで高評価だった“トロス”の振り付けが、市内の無名高校のチーム“クローヴァーズ”から盗用されていたというのだ。

 高校側は慌てて自称“カリスマ振り付け師”の怪しげな男に仕事を依頼してしまうが、コイツがとんだ食わせ物で、逆に“トロス”は窮地に追いやられてしまう。さらに、トーランスのボーイフレンドで大学生のアーロンが浮気していることが発覚。果たしてトーランスと“トロス”の面々は、逆境を克服して大会に臨むことが出来るのか。

 とにかく“ライバルがいて友情があって恋があって、一度は挫折するけど最後にはみんな頑張って大きな活躍を見せる”という明朗青春スポ根ドラマのルーティンを何のてらいもなく追っているところが嬉しい。ペイトン・リードの演出はあくまでテンポが良く、善玉悪玉(?)入り乱れた各キャラクターも実に良く“立って”いる。猪突猛進型ながらそそっかしい面が笑いを誘うトーランスの言動もケッ作だが、彼女の家族(特に色ボケの弟)が絶妙のコメディ・リリーフだ。

 見所のチアリーディングの場面はサーカスのようなダイナミックな技の連続で多いに楽しめるが、それ以前に(たぶん)素人である主要キャストに一端のチアリーディングの演技をさせてしまうハリウッドの製作システムは認めざるを得ない。

 主演のキルスティン・ダンストは相変わらず不美人だが(笑)、この作品に限っては明るく元気で愛嬌たっぷり。実に魅力的に撮られている。冒頭のミュージカルもどきの場面なんか、大いに受けた。さらにはラストにNG集まであり、観客サービスは万全。ショーン・モーワーのカメラによる、明るい西海岸の“空気感”の醸成、クリストフ・ベックの音楽も申し分ない。それにしても、封切られたときはミニシアターでの上映公開だったのは解せない。もっと拡大公開してもおかしくない内容だ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ヒメアノ~ル」 | トップ | 「団地」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画の感想(た行)」カテゴリの最新記事