元・副会長のCinema Days

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「ソープディッシュ」

2016-02-27 06:38:00 | 映画の感想(さ行)
 (原題:SOAPDISH)91年作品。スペインのペドロ・アルモドヴァル監督作に対するアメリカからの“回答”みたいな映画である。内容もひたすらキッチュで悪意がこもっており、アルモドヴァル作品よりも面白いぐらいだ。何となく平凡な作風が印象付けられるマイケル・ホフマン監督も、今回に限っては随分とハジけている。やれば出来るのだ(笑)。

 かなり前からTV昼メロ番組の主演を張っている女優セレステは、今も絶好調。デイタイムTV賞の主演女優賞を今年もまた獲得した。しかしその後帰宅すると、付き合っていた男は家を出ていた。一方、番組プロデューサーのデイヴィッドは、共演女優のモンタナにゾッコンであり、彼女を主役にすべくセレステ追放の案を練っていた。彼がセレステへの当て付けに元夫で売れない俳優ジェフリーを連れてくると、セレステは番組に起用された駆け出し女優のローリーがジェフリーとの間に出来た娘であることを本番中に暴露。それがニュースで報道されて低迷気味だった番組の人気が再燃。デイヴィッドは複雑な気分になる。



 テレビ局を舞台にしたお笑い編だが、ド派手なタイトル・バックから、いきなり引き込まれる。その色合いとBGMは、もろにアルモドヴァルの「神経衰弱ぎりぎりの女たち」のポップなオープニング・シーンを思い出させる。中身もアルモドヴァル風で、原色ベースの“光り物”とペラペラ感を強調したチープなセットがこれでもかと映し出される。

 キャラクターも全員が悪趣味で一筋縄ではいかない。要するに自分のことしか考えていない。しかしながら、終盤はホームドラマとして筋書きを強制着陸させてしまうのだからアッパレだ。家族の絆とやらを一応は押さえているのがハリウッドらしいが、それがまた中盤までの悪ふざけを中和した形になり、全体としてけっこう面白く思えてしまう。

 主演のサリー・フィールドをはじめケヴィン・クライン、エリザベス・シュー、ウーピー・ゴールドバーグ、キャシー・モリアーティ、キャリー・フィッシャー、ゲイリー・マーシャル、ロバート・ダウニー・Jr.と、配役はかなり豪華。しかも彼らがセルフ・パロディみたいに業界人のゴーマンさを隠しもしないのだから愉快だ。ホフマン監督の演出はテンポが良く、アラン・シルヴェストリの音楽も好調。秀作でも何でも無いお手軽映画ながら、観ている間は楽しい時間を提供してくれる。

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