元・副会長のCinema Days

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「オールド・ガード」

2020-08-30 07:02:53 | 映画の感想(あ行)
 (原題:THE OLD GUARD )2020年7月よりNetflixで配信されたアクション編。少なくとも退屈はしなかったが、これは劇映画というより、いわば連続テレビドラマのパイロット版だ。散りばめられた謎はほとんど解決しておらず、ラストなんか“次回に続く”という体裁を露骨に現している。しかも、大して予算は投入されておらずチープな印象が拭えないのも、テレビ番組らしい。

 特定の国や勢力に準拠せず、自分たちの判断で国際社会に貢献する活動をおこなう4人組の特殊部隊“オールド・ガード”の構成員は、永遠の命を持つ不死身の肉体を持っていた。一方、米海兵隊所属の女性兵士ナイルはアフガニスタンでの任務中に瀕死の重傷を負った際、突如“オールド・ガード”としての能力に覚醒する。



 グループのリーダーであるアンディはナイルに仲間になるよう依頼するが、彼女には今までの人間関係を捨てる勇気は無い。そんな中、強大な謎の組織が“オールド・ガード”の秘密を暴こうと暗躍し始める。アメコミ作家のグレッグ・ルッカによる同名グラフィックノベルの映画化だ。

 アンディたちはなぜ不老不死の身体を得たのか、どういう基準でその能力は特定個人に与えられるのか、そういう大事なことは示されない。“オールド・ガード”は千年単位で人類の歴史の裏で活動し、結果的に世界を支えることになるのだが、劇中ではそのカラクリが解明されることはない。とにかく“こういう設定なのだから、そのまま話を進めてしまおう”という見切り発車的なスタンスが見え隠れしている。

 そして“すべての謎の説明は、次回以降”というノリで終わってしまうのだから世話はない。また、敵役は“オールド・ガード”の存在を自らのビジネスに活かそうと考える製薬会社なのだが、これもありがちだ。主人公たちと匹敵するようなパワーを持つ悪漢どもを出して欲しかったが、それはパート2でのお楽しみということになるのだろうか。

 それでも監督のジーナ・プリンス=バイスウッドは健闘していて、メリハリの効かせ方は足りないが、テンポ良くドラマは進む。アンディ役のシャーリーズ・セロンは相当に鍛練を積んだようで、格闘場面はサマになっている。ナイル役のキキ・レインも良い味を出しているし、キウェテル・イジョフォーも安定のパフォーマンスだ。ただし、マーワン・ケンザリにルカ・マリネッリ、ハリー・メリングといった他のメンバーは影が薄い。もっと濃いキャスティングが望まれる。
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