元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

ブルックス・ブラザーズが破綻。

2020-08-02 06:58:07 | その他
 去る2020年7月8日、アメリカでもっとも歴史ある衣料ブランドの一つであるブルックス・ブラザーズが、事実上倒産した。ただし日本において店舗を展開している株式会社ブルックス ブラザーズ ジャパンは本社とは異なる資本で運営されているため、従来通り営業を継続するという。

 個人的な話になるが、私は(少なくとも若い頃は)トラッド派である。流行にあまり左右されず、どんなシチュエーションでも一応サマになるトラッド・ファッションは、ワードローブの主力とするにはもってこいのメソッドだった。ブランドは数多くあったが、その中でもブルックス・ブラザーズはアメリカン・トラッドの代表としてその名を知られていた。



 ブルックス・ブラザーズの最初の海外事業展開は、実は日本である。80年代前半に、九州でも初めて福岡市の某百貨店に同ブランドが進出した。私はその頃は福岡県以外の某県の片田舎に住んでおり、実際にその店に足を運ぶことが出来たのは、開店して数年後である。とはいえカネの無い若造だった私に、スーツだのジャケットだのといった値の張るものは買えるはずもない。さんざん悩んだ挙げ句選んだのは、一着のポロシャツだった。ただしポロシャツとはいっても、他のメーカー品よりもずっと高い。財布もすっかり軽くなってしまったが(笑)、帰宅して着てみると、驚いた。

 色はライトブルーだったが、とにかく輝くような青さで、しかも品が良い。そして生地は肌に吸い付くようで、着心地は極上だ。これが有名ブランドというものかと、大いに感心した。その後、長きにわたってボタンダウンシャツやセーターなどを機会があるごとに買い求め、今でも数着のアイテムが洋服ダンスの中にある。

 さて、新型コロナウイルス感染症の拡大により、アパレル業界は危機に陥っている。あのレナウンも5月に破綻したほどだ。また、コロナ禍に伴う在宅勤務の増大で、ビジネスパーソンの服装がカジュアル化している。極端な話、部屋着で仕事が出来てしまう場合が多くなるのだ。もちろん外出しなければならないケースもあるが、そのために服装に敢えて気を遣う必要性は、今後小さくなっていくだろう。ファストファッションの質も上がっている昨今、ブルックス・ブラザーズのようなブランドの出番は少なくなる。これも時代の趨勢だ。

 しかしながら、ファストファッションとは明らかに異なるクォリティのものを身に付けると、気分が良くなるのも確かである。身なりを整えると、ある程度言動も違ってくる。良い服を着れば、あまり無様なことはしたくない(笑)。

 ブルックス・ブラザーズは決して高級ブランドではない。もちろん安くはないが、ちょっと無理すれば若者でも買える。そのくらいのグレードのブランドの必要性が、消えることは考えられない。同社の日本法人はこれからも事業を続けるとはいっても、順風満帆とはいかないだろう。それでも、頑張って欲しいと思う。
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