元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「007/ゴールデンアイ」

2012-10-30 06:28:58 | 映画の感想(か行)
 (原題:Golden Eye)95年作品。お馴染みのシリーズ第17作目だ。5代目ボンド役としてピアース・ブロスナンが初めて起用された作品で、冷戦当時に開発された地上のあらゆる電子機器の性能を電磁波で不能にできる軍事衛星の制御ソフト“ゴールデンアイ”の争奪戦を描く。ボンドは前半ロシアで、後半はキューバの奥地で大暴れ。監督は「ノー・エスケイプ」などのマーティン・キャンベル。

 映画の出来はというと、正直言ってどうでもいいかなと・・・・。アクションのつるべ打ちなのは当然だし、退屈はしないんだけど、イマイチのめり込めない。アクションは派手でもどこかで見たパターンが多いし(戦車でのカーチェイスは面白かったけど)、ボンドガールはフツーのOLさんみたいだし、敵の組織“ヤヌス”にしたって幹部が3人しかいないし、その目的も“世界制覇”じゃなくって単なる銀行強盗だし・・・・。どうも小粒なのだ。



 主役のブロスナンは細身のせいかどうも迫力不足。ユーモアのセンスではロジャー・ムーアに負けるし、胸毛の多さではショーン・コネリーの敵ではない(?)。多少顔がデカくてラブシーンが下手でも、シャキッとした感じの前任者ティモシー・ダルトンの方が良かった。

 実を言うと、この映画の製作は前作から6年ものインターバルが開いている。その間に「ダイ・ハード」は出るし「スピード」も公開され「クリフハンガー」が多くの客を集め、そしてやはり「トゥルーライズ」という大金かけた007のパロディを先に見せられては、気勢が上がらなかったのも当然かもしれない(まあ、「トゥルーライズ」も大した映画じゃなかったが)。

 ここはひとつ“スペクター”の再登場を期待したかったところ。冷戦後のドラスティックな世界情勢なんかはどこかに置いといて、とことんアホな陰謀とやたらアクが強くて憎たらしい悪役、ゴージャスなボンドガールの跳梁跋扈を賑々しく楽しみたかった。監督も能天気なハリウッドの大作向けの人材を持ってくればいい(このシリーズではその方がいい)。あるいは逆に、2作目みたいにロマンティックな味付けで玄人向けのヨーロッパ製スパイ映画にするか。特色出してほしかった。

 音楽はエリック・セラだが、もろ雰囲気が「ニキータ」だ。あまり合っているとは思えない。ティナ・ターナーによる主題歌と名物のタイトル・バックは良かったけどね。
コメント
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