ぶちょうほうの画(え)日記(一語一画(え))

亭主「ぶちょうほう」の身の周りのいろいろな風物を「画(え)日記」ふうに綴っています。

キンセイラン:愛知県内では絶滅寸前

2018-06-25 06:59:13 | 草花
キンセイラン(Calanthe nipponica Makino)はラン科エビネ属のいわゆる”野生ラン”です。
深山の林床に生える常緑の多年草で エビネと同じように地下に浅く球茎(バルブ)が連なり、春、新しいものから3~5枚の葉をだします。
花茎は20~40cmとなり、上部に5個前後の花を咲かせます。花の時季は本州ではちょうど今頃のようです。

国内の分布は北海道、本州、四国、九州ということで、広い分布域になっているようです。
従って環境省のレッドデータ区分では絶滅危惧Ⅱ類になっています。
ところが愛知県では絶滅危惧ⅠA類(CR)にランクされていて、県内で一か所のみの生育と追い込まれてしまっています。

その最後の砦の一か所も盗掘に遭って風前の灯火となってしまいました。
人間の良心がこの植物を守り切れるかどうか・・・・ただでさえも環境の悪化で、衰退の危機にあるというのに、これを持ち去るという、不届き千万な行為を成す人間は、地獄送りしてもまだ足りないような気がします。

長いことこの花を見たいと願ってきましたが、幸運なことに、今回、その姿を見ることができ、感謝しています。
ほかの地方ではそれほどレアな花ではないかも知れませんが、愛知県内では超希少種となってしまいました。
小生はこの花を訪ねるのは、これを最後にしたいと思いました。
花を見に行くこと自体が、周辺の踏み荒らしにもつながり、生育環境の劣化速度を早めるような気がしているからです。

キンセイラン ↓


















希少植物の保護の在り方についてはいろいろな方法があると思いますが、規制が緩いと、その隙間を狙う輩が必ず出てきます。
反対に規制をきつくして、人が近づかないようにするのも、本末転倒みたいな感じになりますね。

問題となっているのは、二つのことではないでしょうか。
一つは鹿など野生動物による食害。 これは深刻な問題ですが、今回は論じません。
二つ目に人間の持ち去り、特に業者の持ち去りは始末が悪いですね。

業者の持ち去りを防ぐ方法はただ一つしかないように思います。
それは彼らにそういう気持ちを起こさせないようにすること・・・これに尽きますね。すなわち、需要を作らなければ良いのではないでしょうか。
私たちの一人一人が野生ランを欲しがらなければ良いのです。買う人がいるからこそ、供給する人が野山で採集をする。・・・・・これの繰り返しとなります。


従来当たり前に存在していたものを保護・維持しようとするときに、ある程度は周辺環境を人為で維持し続ける必要もあることでしょう。難しい要素を含むことは多々あることでしょうから、とても悩ましいことです。
コメント (10)
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