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イラストレーター/ライター遠藤イヅルの困った嗜好をばらす場所

【てつどう】南海に現れた、「走るンです」。

2008-07-18 | てつどう。

先日仕事で大阪(なんば)へ行った際に、時間があったので南海難波駅で
写真を撮っていました。

関東ではあまり見られない壮大な「くし型」駅なので、
いつも来るたびにワクワクするんですけど、
そこで早速見ました、8000系。



この南海8000系電車、昨年デビューしたばかり。南海の次期標準車です。


8000系は東京圏ではすっかりおなじみの209系500番台に端を発し
E231系から現在はE233系になって、まだまだ増殖中し続けている
「標準型設計」ともいえる車両がベースになっています。


関東民鉄でも、相模鉄道10000系、都営新宿線10-300系、
東急の新3000・5000・6000系列などがこの設計で次々と登場しており、
設計思想はすぐれていてもホスピタリティという面では
ちょっと足りないと感じさせる車両が東京圏にはあふれている状況です。


その設計を、初めて関西民鉄が採用した車両なのです。
これは、ちょっとしたニュース(!?)なのです。


それはなぜか...といいますと。

関西は東京圏に比べて、伝統的に?車両はハイグレードな車両が
いまでも製作されています。
同じJRでも、通勤用321系、近郊用223系などはもう
東京を席巻する【走るンです】とはかなりの差を感じさせます。
簡単に言うと、上質。

阪急の新車9300系など、東京圏では考えられないほどの車両です。
関東で比肩できるのはやっと京急2100系や1000系くらいなもので
そのハイグレードぶりには恐れ入ります...。



基本的に、関西民鉄は車両を大事に使うという傾向があるように思えます。

車両も丁寧なつくりに見えます。
蛍光灯にはグローブカバーがデフォルト。
たとえば阪急などでは車内にビスの頭を出さない設計(これはすごい)。
シートは深く、モケットはやわらかく、寒々と見えるポールも少ないのですっきり。
ドアの内側も基本的にはデコラ板を貼って、ステンレス無地にはしない。
こんな感じで、東京圏の電車にはない独特の世界観があります。


そんな世界である関西民鉄に、
合理化設計、詰め込み主義、殺風景、などと揶揄される
「209系・E231系・E233系ファミリー」の電車が関西に現れたのですから、
それは大きなニュースになるわけです。




車内。もうまんま東京圏の電車です。

ただし「走るンです」グループの偉大さは、充分理解しています。
短寿命のかわりに超軽量。ステンレス車体なのに長持ちしない。
その徹底した合理主義。これまでの鉄道車両の常識を打ち破る発想。
標準化による車両価格の下落が生む鉄道会社への利益。
車体が軽いことによる省エネ、そして馬鹿に出来ない線路の痛みの軽減。

面白みのない車両なのかもしれないし、乗って遠くへ行こうと
思わせないあたりは、サービスやホスピタリティという面でどうなのかと
確かに思うんですけど、だけど、革命的な設計思想に弱いie、
大量生産品に弱いieには、好きな車両たちだったりします。


同じ標準化仕様の電車には、「走るンです」=東急車輛などとは別派閥?の
日立が生産する【A-Train】というのがあり、
つくばエクスプレスの電車、東武の50000系グループ、東京メトロの10000系など
美しいアルミ車体を持つ「見た目もきれい」な通勤車たちがそれに属します。



>>ところで、関西でありながら南海は関東の東急車輛と縁が深いのです。
なので、新車も必然、東急車両が製作する工法による車両になり、
E231系の鋼体を持つにいたったわけですね。

>>かつて帝国車輌という会社が(さらにルーツをたどれば梅鉢鉄工所)堺にあり、
南海の車輌や国鉄の80系電車などを作っていましたが、
帝車は昭和43年に東急車輛の傘下に入り、東急車輛製造大阪製作所となりました。

>>ところがこの大阪工場も閉鎖となり、以降は横浜にある東急車輛で南海の電車が
製造され続けています。
それは、系列会社の阪堺の路面電車も同じで、東急車輛製の珍しい路面電車に
会うことが出来るのはそのためです。
コメント (10)
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