ニューヨークの想い出

ニューヨーク生活20年間の想い出を書いていこうと思います。

54、マフィア来たる

2007年10月15日 | Weblog
1977年頃友人がニューヨークで魚のビジネスを始めました。
まだ日本食があまりポピュラーではなく、アメリカ人は生の魚を食べるという習慣がありませんでした。
1970年代中頃までは日本食のレストランもそんなに多くはありませんでした。(30軒くらいだったと思います)
刺身や寿司はニューヨーク在住の日本人が食べに行くものでアメリカ人はほとんど食べませんでした。
そんな中、その友人は「これからはアメリカでも魚が多く食べられるようになるだろう」と言って始めました。
彼は日本食のレストランに魚を卸し、自らレストランをオープンし魚屋も開きました。
それから数年、ニューヨークで日本食がブームになりました。
それにつれ彼のビジネスも大きくなっていきました。
そうなるとマフィアも黙っていません。
ある日フルトンの魚市場近くにある彼のオフィスにやってきました。
「自分たちのUNION(組合)に入れ」というものでした。

ニューヨークのビジネスはその出身国によって支配されています。(この件については後で書きます)
たとえば八百屋の90%は韓国人です。
魚関係のビジネスはイタリア、ギリシャ系が支配していました。
その友人は「ニューヨークでビジネスをするにはマフィアに逆らったらできない。」と言って翌日マフィアのオフィスに行きました。
彼はビジネスセンスもありましたが、度胸もありました。
「どうだった?」と聞くと「留守で誰も居なかった」と言って拍子抜けしていました。
彼らも魚のビジネスを始めた日本人が気なって様子を見に来たようです。
しかし自分たちの縄張りを侵すものではないと思ったのでしょう、その後は何も言ってきませんでした。
私も彼の仕事を手伝っていましたが、そのときオフィスにいなかったのでマフィアに会えず残念。

写真は魚市場、フルトンマーケットです。
日本の築地のような市場でマンハッタンの金融街近くにありましたが2005年にブロンクスに引っ越しました。