ニューヨークの想い出

ニューヨーク生活20年間の想い出を書いていこうと思います。

51、A列車で行こう

2007年10月06日 | Weblog
“Take the A Train”は、ジャズのスタンダード・ナンバーです。
「A列車」とは、ニューヨークの地下鉄で、ブルックリンの東地区(Rockaway)からハーレムを通ってマンハッタン最北端まで繋がっている8番街急行線(8th Avenue Express)の名称です。
A列車に乗る、すなわち「ハーレムに行こう」という意味が込められています。
「ハーレム」はセントラルパークの北の地域で1800年代後期に白人中産階級、上流階級のために開発された住宅街で、古きヨーロッパを思わせるレンガ造りの美しい街並が続いています。
1920年頃から、社会的に成功した黒人層が住み始めるようになりました。
歌詞中の「シュガーヒル」は、ハーレムの西に位置する高級住宅街で、文字通り「甘い丘」、ある意味で「成功の甘い丘」といったニュアンスがあります。
私はマンハッタンに住んでいたとき8th Avenueに住んでいたのでA Trainはよく利用しました。

「ハーレム」というと治安の悪い、危険な地域の代名詞のように言われていました。
確かに私がニューヨークに住んでいた頃は独特の雰囲気があり「ハーレムに近づくな」と言われていましたが、友人(日本人)が魚屋を経営していたので良く行きました。
1980年代後半から再開発が進み、現在は安全で魅力的な町になっています。
ハーレムのメインストリートは125丁目で両面通行の広い通りになっていて、両側にいろんな店が並んでにぎやかです。
ニューヨークのストリートはほとんどが一方通行になっていますが主要な通りは両面通行で広くなっています。(14th、23rd、34th、42nd、57thなどの通り)

ハーレムといえばゴスペルです。
黒人音楽の聖地アポロ・シアターも125丁目にあります。
毎水曜日はアマチュア・ナイトになっていてスターを目指す人が出演しています。
多くのミュージシャンここから育っていきました。
しかし、何といってもゴスペルの醍醐味は教会で聞くゴスペルです。
ハーレムには多くの教会があり、毎日曜日の礼拝の前後に歌うゴスペルは心に響きます。
彼らの歌は聞く者の感涙を誘わずにはおかない魂の叫びそのものです。
ハーレムの人たちの生活を感じ歴史を感じ、信仰心の深さを感じます。
初めて行った黒人(今はこう呼ばずアフリカ系アメリカ人と呼びますが、あえて黒人と呼ばせてもらいます)の教会で聞いたゴスペルには圧倒されました。

デューク・エリントン. 1899年4月米国ワシントンDC生まれ、74年5月24日死去。
本名はEdward Kennedy Ellingtonですが父親がホワイトハウスのバトラーを務める中流家庭に育ち、幼いころから品がよく「デューク」(公爵)というあだ名が付けられていました。
半世紀以上に渡ってジャズのビッグ・バンド、デューク・エリントン・オーケストラを率いて活躍しました。
現在のスタンダード・ナンバーとして知られている多くの名曲を残しています。
数あるバンドのレパートリーの中でも「A列車で行こう」は、デューク・エリントン・オーケストラのテーマ曲として今も広く親しまれています。
「A列車で行こう」「キャラバン」などの曲は、ジャズをあまり知らない人でもどこかで聴いたことがあるはずです。
その業績はジャズを超越して20世紀を代表する音楽家の一人です。
ハーレムには銅像が建てられ、その名を冠した通り“DUKE ELLINGTON BLBD“があります。
Take the A Train