ニューヨークの想い出

ニューヨーク生活20年間の想い出を書いていこうと思います。

31、マグロの空輸

2007年07月11日 | Weblog
アメリカ人がスポーツフィッシングで釣ってきたマグロはほとんどが利用されずに捨てられていました。
彼らはマグロを釣る醍醐味に魅せられて夏の贅沢な遊びを楽しんでいたのです。
夏のレジャーシーズンにボストン沖にマグロがやってくるのも不思議です。

これを見て、日本に送ったら喜ばれるのではないかと思い空輸作戦を開始しました。
冷凍しないで生で送るにはどうしたら良いか試行錯誤し、思いついたのが丈夫な木箱を作って送る方法です。(昔のリンゴ箱を大きくしたような形)
長さ150センチ、横70センチ、高さ70センチ(正確な大きさは忘れてしまいましたが)の箱の中に大きくて丈夫なビニールを広げ、製氷機で作った3センチくらいの氷を10センチほど敷き詰めます。
その上に頭と尻尾を切り取ったマグロを入れ、横や上にも氷をぎっしり詰めます。
後はビニールで包み木箱のふたを釘で打って閉めます。
(氷とマグロを一緒にビニールで包んで箱に入れる感じですが、現在はこんな原始的な方法は使ってないと思います。)
これを空港まで運び日本に送ります。
(フライングタイガーという会社をよく使いました。この会社は朝鮮戦争やベトナム戦争で物資を運んで大きくなった貨物専門の飛行機会社です。)
飛行場までの時間と飛行機が飛び立つまでの時間氷が持てばOKです。
高度10000メートルは気温がマイナス20~30度なので貨物室は冷凍庫状態です。
日本まで約13時間、冷凍庫の中で表面の皮だけが凍って中の肉は生のままです。
成田から築地に着く頃には凍った表面も自然解凍されせりにかけられます。
日本ではバブルに入ろうとしていた時期で高級マグロが評判になりました。
そうなると大手の漁業会社や商社がこぞってボストンにマグロの買い付けに来て、浜値が一気に高騰しました。
最初は1パウンド25セントくらいで買い付けていたのが1パウンド10ドル以上にまで跳ね上がってしまいました。

また、マグロをニューヨークの日本レストランに卸して販売するとアメリカ人もその美味しさに気付き、刺身や寿司が食べられるようになっていきました。
生で魚を食べることに抵抗感が無くなっていったようです。

写真はマグロを日本に送る準備をしているところで、後ろで見ているのが私です。