夜勤明けでいつもの如く、一駅前から歩いていたわけだ。
たまに立ち寄るパン屋の近くの通りで、しばらく前までシャッターを開けていたのに、今年くらいからずっとシャッターが閉まっている、和食のお店があった。
交叉点を向かって左にすぐにあるお店である。
ある日、たまたまその右をみて、目を凝らすと、「うなぎ」と書かれたお店があった。前まで行ってお品書きを確認すると、なかなか高い。
そしてこの前の日曜に、何故だかうなぎを食ってみようと思い立ち、そのお店に向かった。なんでも、肝焼きなんかもあるようだ。
お店に入り、一人ですと伝え、入ってすぐの机に腰掛けた。
仕事場に忘れていた自分の傘を持って来ていたので、椅子にかけていたら、預かってくれた。というより、見えてなかったのだが、傘立が入ってすぐにあったのだった。
うな丼と肝焼き、それと燗酒を頼む。冷用と燗用二種類分かれて書いてあるが、冷が五、六ほど、燗は二種類ほど銘柄があった。ワインもあって、オーガニックワインと書かれたものが別の項目になっていた。
最初に酒とお通し。骨煎餅である。塩辛くないので、骨の味で勝負しているような感じである。多分。
店の感じを見回したりしていたら、二階への階段(宴会用だった気がするが席がある)に、うなぎの絵がかかっていた。実にうなぎ屋らしいな、などと雰囲気を楽しみつつ、酒を飲んで待っていた。
肝焼きも時間がちょっとかかった。ちゃんと焼いているのだろう。以前、千葉で馳走になったのも美味かったが、焼きたてはまた美味いものである。
頼んでから結構時間がかかる。酒もチンした風ではなく、少々時間がかかっていたので、チロリか何かで燗をしたのだろう。ぐいぐい飲んでいた。
うな丼の少し前に、漬物が渡される。自家製なのかどうかは、食べログか何かに書いていた気がするが忘れた。だが、妙な匂いと味はない。
さて、少し酒が残っていたのもあって、少々煽ってからうなぎに取り掛かろうとしていたら、奥の小上がりから帰ろうとする夫婦らしき二人組みのうち、奥さんらしき方が、何か紙を断りつつ、こちらの机に置いていく。
支払いを済ませてさらに「ごめんなさいねぇ」と言って帰っていった。
なんだろうこれは。何か書かれている。四つに折りたたんだものを、さらにV字型に畳んで、真ん中をホッチキスで止めてある。
何か悪い事をしたのだろうか・・・。そういう雰囲気でもなかったのだが。
恐る恐る開いてみる。こう書かれていた。
13.2.24
おひとりで、すこぶる付きでスマートな昼飯。何をどう思われた事でしょう?!
そんな空間を楽しんでらっしゃるのをうれしく、すてきだなと思います。
おひとりで、すこぶる付きでスマートな昼飯。何をどう思われた事でしょう?!
そんな空間を楽しんでらっしゃるのをうれしく、すてきだなと思います。
嬉しいやら恥ずかしいやらである。少々酔ったのもあって、臆面も無く読みながら顔に笑みをたたえていたが。ついつい、お店の人に「こういうのもらいましたよ」と笑いながら話かけようかと思ったが、辞めておいた。
話しかけていく人より小粋だなぁと、思ったしだいである。では、また。