咲とその夫

 定年退職後、「咲」と共に第二の人生を謳歌しながら、趣味のグラウンド・ゴルフに没頭。
 週末にちょこっと競馬も。
 

ないしょ、ないしょ・・・・池波小説

2011-05-12 23:29:30 | レビュー
 池波正太郎小説に首までどっぷりとつかりながら、日々を明け暮れている・・・・定年退職後の第二の人生。

 「人の生きざま」、「人の生きることと死ぬること」について、これほどまで鮮明に書き込まれた小説は、ほかに類をみないのではないかと・・・・惚れこんで読みふけっている。

 池波小説に書き込まれているのは、常に「人は死ぬことだけが分かっている。それ以外は何も分かっていない」「人は死ぬために生きる」である。

 そして、「人は悪いことをしながら、善いこともする」と・・・・・。


 どのタイトルのどの小説にも、「人は死ぬために生きる」が貫かれており、「人は悪いことをしながら、善いこともする」ことが封じ込められている。

 それゆえにそれぞれの登場人物が生きいきとして描かれている・・・・・そこのところに心が動かされ、益々、著者池波正太郎の術中にハマっている。

 しかし、それが、とても心地よいのである。読み終えた後に気分が爽快になり、もう一度、さらにもう一度、同じものを何度も読みたくなる。

 不思議な魔力のある小説

 もっと、若い時代に読んでいたら、ひょっとしたら違った道に足を踏み入れていたかも知れないと思われる。

 それは、ともかく、義兄から借りていた「剣客商売」(1~16巻)を遂に読み終えた。その勢いで、先日購入していた「剣客商売番外編『ないしょ、ないしょ』」も一気に読んでしまった。

 題名となった「ないしょ、ないしょ」とは・・・・本のなかほど辺りの文中に出てくる

 なーるほど・・・と、うならせるのである。


 16歳の百姓の子「お福」が、貧乏な境遇の中で剣客・神谷弥十郎の道場で下女として働き、辛い、思い出したくもない日々を送り、次々と考えも及ばなかった数奇な運命に翻弄され、精神的にも肉体的にも強い女性へと成長していく・・・・・。

 その中で剣客商売の主人公・秋山小兵衛との関わりもでてくる。読み進むに連れて、途中でやめられなくなってしまう魔力がある・・・・池波小説、実に面白い。


「剣客商売番外編『ないしょ、ないしょ』」


 人生の糧にもなる。

 きっと、人間形成に役立つと思う。


 是非とも多くの方々にお勧めしたい池波小説群である。(夫)


[追記]
 越後、新発田の剣客・神谷弥十郎の道場で下女として働いていたお福は、主人が暗殺されたため、下男の五平と一緒に江戸に出る。が、新しい主人の御家人・三浦平四郎も、そして五平も、神谷を殺した無頼浪人の凶刃に倒れる。
 三浦に手裏剣の手ほどきを受けていたお福は、三浦の碁敵・秋山小兵衛の助太刀をえて、見事、仇を討ち果たす。
 数奇な運命を背負った女の波瀾にとんだ成長の物語。
(出典:剣客商売番外編「ないしょ、ないしょ」抜粋)


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