咲とその夫

 定年退職後、「咲」と共に第二の人生を謳歌しながら、趣味のグラウンド・ゴルフに没頭。
 週末にちょこっと競馬も。
 

忍びの女・・・・・池波正太郎!!

2009-11-20 20:59:35 | レビュー
 甲賀二十一家(甲賀五十三家で最も実力を備えた豪族)の一つ“伴太郎左衛門”の娘“小たま”を主人公に。
 そして、作者は、福島正則を鋭く描写

 “伴太郎左衛門”は、信長に仕えていたが、本能寺で信長と共に討ち死に、男子がおらず、娘“小たま”では、亡父の跡を継ぐことができない。

 先代太郎左衛門の実弟、長信が兄太郎左衛門の名をつぎ、“伴太郎左衛門長信”として、甲賀二十一家の一つをまもる。





 池波正太郎の忍者小説には、甲賀の頭領として徳川方で働く“山中大和守俊房”などがよく出てくる。また、信長を鉄砲で狙った“杉谷家一族の杉谷善住坊”などの杉谷忍びも・・・・・・・一昔前の大河ドラマで川谷拓三が熱演。


 この小説は、秀吉没後の時代設定、“伴太郎左衛門長信”は、徳川のために働き、姪の“小たま”は、叔父である頭領の命で正則を籠絡し、巧みに城内に潜入・・・・・。

 秀吉没後、五大老五奉行制で秀頼成人までの安定政権を願って・・・・・・いた。ところが、秀吉が最も信頼していた利家も秀吉の跡を追うようにして亡くなると、家康が天下の覇権狙って秀吉恩顧の大名の分断工作、天下分け目の関が原へと・・・・・・・。

 豊臣恩顧の大名は、朝鮮の役後に武断派(正則・清正・輝政など)  文治派(三成・行長など)に・・・・・・これを家康がうまく利用。

 NHK大河ドラマ“天地人”で、大阪冬の陣から夏の陣において“正則”が豊臣家滅亡を悲しみ家康にうまく乗せられたことを悔やむ場面もあった・・・・・・。


 「火の国の城」では、加藤清正を描写しているが、大阪冬の陣が勃発するまでのところで、徳川方の甲賀山中忍びの料理人に清正が暗殺されるが・・・・・・・・・・この本もおもしろい!!

 同じ武断派の清正は、正則に比べ思慮深く先を見通せる大名であるから、家康としても関が原後、清正が邪魔に・・・・・。
 
 一方、正則は、武辺一方の武士であるので利用し易かったのかな。


 “力わざだけでは、これからの時代を、とうてい泳ぎわたって行くことができぬ。「市松(正則)どのが、虎之助(清正)どのに劣るところは只一つ。それは、書物を手にとらぬことじゃ」と北政所がいった。”(上巻・本文抜粋)





 さて、物語は、忍びの女“小たま”が猛将正則の動静を探り、叔父である頭領に報告するも、次第に愛おしく想うように。
 ・・・が、甲賀忍びの使命は・・・・・・全う!!


 いつもながら池波正太郎の世界に引き込まれ、登場人物の精緻な人物描写に魅せられ・・・・・・・いつの間にか時だけが過ぎて行く。


 100年間続いた群雄割拠の戦国乱世には、小説の題材が豊富にあり・・・・・特に記録がほとんどない裏社会の忍びの生き様は。

 実におもしろい・・・・・・池波正太郎小説!!(夫)



コメント (2)
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