TMPCWAを支援する会へアメリカの支援者からフリープレスのビジネス記者のジェイソン・ロバーソンという方が書いた原稿を紹介されました。
アメリカでのトヨタの真の姿は、トヨタは世界でもしたたかな企業戦略でコスト削減を図っているということです。
このブログを訪問する方も是非よんでいただきたいと思い、紹介します。
原題以下のとおりです。
Toyota sweats U.S. labor costs
INTERNAL REPORT: Slow the pay growth by 2011
February 8, 2007
BY JASON ROBERSON
FREE PRESS BUSINESS WRITER
こちらをクリックすれば原文がよめます。
http://www.freep.com/apps/pbcs.dll/article?AID=/20070208/BUSINESS01/702080429/1
2007年2月8日
ジェイソン・ロバーソン(フリー・プレスのビジネス記者)
トヨタ自動車はアメリカの製造業の賃金および給付金の上昇を抑制しなくてはならない。
フリー・プレスが入手した社内幹部レベルの報告によれば、それは自動車産業の中でもっとも高いレベルにあり、同社の利益率よりも速く上昇しているのだからと言う。
北米トヨタ・エンジニアリング・アンド・マニファクチュアリングの社長、セイイチ(ショーン)・スドウ発の報告は、トヨタは各工場のある州での製造業の現行賃金レベルに時給をより近づけるよう努力しなくてはならず、「またアメリカの自動車産業や他の競争会社のそれに合わせることではない」としている。
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経営陣トップへのスドウの報告は、日本に拠点をおく同社は2011年までにアメリカでの製造における労働報酬が9億ドル上昇することを予測し、人事担当者はこの3分の1を抑制しよとしていると述べた。
もし、トヨタの労働者がより小さな賃金引上げ、給付金の削減、あるいは生産性向上の過大な要求の可能性を前にしてたじろぐならば、コスト抑制の動きはUAWの組織化努力に拍車をかけることになるかもしれない。しかしこの計画はまた、この世界で最も利益をあげている自動車メーカーがデトロイトとその看板産業に対して容赦のない圧力を維持していこうとしていることを示している。
フリー・プレスは先週、少なくとも一部の未組織のトヨタ労働者が昨年はじめてデトロイ
トの自動車メーカーで働くUAWの組立ライン労働者よりも多い収入を得たことを報じた。
業界専門家やトヨタの労働者は、同社が一ヵ月に10億ドル以上稼いでいるのに今後5年間
にわたり3億ドルも節約するようにと必死になることはトヨタの文化に深く染み付いてい
ると言う。
「彼らは細かいところを気にしている。決して心配するのをやめない」とアン・アーバー
の自動車研究センターの所長、デヴィッド・コールは言う。「彼らは会社内でトップダウ
ン式に心配するのを督励している」と。」
スドウの心配の根は、売り上げに対する人件費の割合がトヨタの利益率よりも速く膨張しているということにある。
「この状況は長期的には維持することができない」と彼は報告のなかで述べている。
しかし、賃金および給付金体系を再構成しようとするトヨタの計画はまた、デトロイトで苦闘している他の自動車メーカーを勇気付けるかもしれない。というのも、これらの自動車メーカーはこの夏のUAWとの協約交渉中に数十億ドルの譲歩を求めることになる筈だからだ。最近のデトロイト・フリー・プレスの第4地区世論調査投票が示すところによれば、ミシガン市民の4分の3がUAWはGM社、フォード社、そしてクライスラー・グループに譲歩しなくてはならないだろうと見ている。
「デトロイトの諸会社は、「見よ、われわれはいま魔の海峡に差し掛かっているのだ。彼らがやることに従わなくてはならないだろう」と言おうとしていると、48歳のケニー・ハーパーは言った。彼はケンタッキー州のジョージタウンにあるトヨタの看板工場団地で18年のキャリアをもっている。彼は、UAWがトヨタ労働者を代表して欲しいと考えており、同社に対しては原則の点で納得出来ないと語った。
「会社が苦境にあるかどうか、私は今わかった」とハーパーは言った。彼はある労働災害による肩の手術からの療養中で、12週間仕事から離れている。「私は仕事を維持するためにあの会社で是非働きたいと思っている。しかし彼らがもっと儲けたいために賃金を奪いとるというならば、私はまったくそれに同意できない。」
スドウの42ページにわたる報告、それはジョージタウン工場にあるコンピューターの中に保護されずに残されていたものだが、それによれば、「アメリカの自動車産業は世界で最も高額な製造業の賃金を支払っている。日本やフランスと比較して、アメリカの自動車産業は50%高い賃金を支払い、メキシコの自動車製造業者の5倍以上を支払っている」と。
トヨタはこのフリー・プレスに届いた文書が正規のものであることを認めている。
この報告が各部署に送られた後の、工場での労働者に対する覚書においてトヨタは、ジョータウン工場の労働者はアメリカの自動車業界の標準よりも1時間当たり3ドル多く稼いでいることを示した。フリー・プレスは先週、ボーナスを含んで計算すれば、労働者は平均して1時間あたり30ドルを稼いでいると伝えた。
現在のところ、ケンタッキー州の同種の製造業職種の賃金の中間値―すなわち半数がその額よりも多く稼ぎ、残り半数がそれよりも少なく稼ぐ-は、アメリカ労働省によれば12.64ドルである。
トヨタの戦略はアラバマ州モンゴメリーで現代自動車が採用しているものと似ている。そこの組立ライン労働者は1時間当たり14ドル、つまり、トヨタ、ホンダ、日産、そしてデトロイトの自動車メーカー諸社の賃金・ボーナス・給付金の約半分しか稼いでいない。しかし、それでも現代自動車の賃金はアラバマ州の同種職種よりもかなり高水準である。ちなみにそれは1時間当たり10.79ドルである。
「われわれの挑戦はいかにチーム・メンバーと管理職に変化を理解させ受け入れさせるように我々の状況を教育するかである」と、スドウはその報告書でのべている。
その変化のなかには、現場の医療のより積極的な利用や現場の薬局の導入といった、上昇する医療コストに対処するものが含まれている。北米の医療費増大に関してトヨタが言っていることは、おおよそデトロイトの自動車メーカーの言っていることの繰り返しである。
問題点とその解決策がある計画に盛り込まれた。その計画はまた品質、労働者と部品供給業者の発展、そして生産5ヵ年計画について取り上げている。このようないわゆるホウシン(方針)計画の背景にある考えは、全ての従業員に同一の長期的目標を確実に理解させ、それに向かって働かせることにある。
トヨタのジョージタウン工場の二番方シフトで働くリチャード・メイソン(45)は、同僚の
ほとんどはトヨタの計画に関心がないと言っている。
「工場で私が話をするほとんどの人間はたいしたことではないというが、これに私はがっかりした」と彼は言う。メイソンは組合組織が欲しいと言っている。「彼らは「おい、オ
レは今何もかもうまく行っているんだから気にしないぞ」と言うんだ」と。
しかし、労働問題が専門のカリフォルニア大学バークレー校の教授、ハーレイ・シャイケンによれば、人件費を抑制しようとするトヨタの努力はデトロイトの自動車メーカーを強固にする以上のことをしているという。つまりその努力はトヨタを業界の労働問題のニューリーダーに押し上げていると。
現代自動車の例外を除き、組合を持たない自動車メーカーは組合の組織化を避けるためにUAWの指導を踏襲していると、シャイケンは言う。
「これはまさに一つの方向転換を示している」ともシャイケンは言う。「これまではUAWが業界のために賃金と、デトロイトでの交渉を設定してきたのであるから」と。
補足の覚書においてトヨタは、ジョージタウン、およびトヨタがGMとともに所有するカリフォルニア州フレモントにあるニュー・ユナイテッド・モーター・マニュファクチュアリング社の労働者は、アメリカで最も高い賃金を得ている自動車産業労働者であると指摘している。
フレモント、そこはトヨタの管理職がUAWと交渉しなければならない唯一の工場であるが、その組合員を代表するUAW第2244支部の委員長、ジョージ・ナノは、トヨタはただ強欲に
なっているだけと言う。
彼が言うには、組合員たちはカリフォルニア州の湾岸地域の高い物価に家計の帳尻を合わせるために闘っているのだ。しかし報酬カットがやってくることを恐れていると。
「現時点では、われわれは良い金をもらっている。我々には給付金もある。しかし報酬カットが近いことは明らかだ」と、ナノは変化を予期している。「そしてもし彼らにそれを取るがままにさせておいたら大変なことになるだろう」と。
ジェイソン・ロバーソン
連絡先:313-222-8763
jroberson@freepress.com
アメリカでのトヨタの真の姿は、トヨタは世界でもしたたかな企業戦略でコスト削減を図っているということです。
このブログを訪問する方も是非よんでいただきたいと思い、紹介します。
原題以下のとおりです。
Toyota sweats U.S. labor costs
INTERNAL REPORT: Slow the pay growth by 2011
February 8, 2007
BY JASON ROBERSON
FREE PRESS BUSINESS WRITER
こちらをクリックすれば原文がよめます。
http://www.freep.com/apps/pbcs.dll/article?AID=/20070208/BUSINESS01/702080429/1
2007年2月8日
ジェイソン・ロバーソン(フリー・プレスのビジネス記者)
トヨタ自動車はアメリカの製造業の賃金および給付金の上昇を抑制しなくてはならない。
フリー・プレスが入手した社内幹部レベルの報告によれば、それは自動車産業の中でもっとも高いレベルにあり、同社の利益率よりも速く上昇しているのだからと言う。
北米トヨタ・エンジニアリング・アンド・マニファクチュアリングの社長、セイイチ(ショーン)・スドウ発の報告は、トヨタは各工場のある州での製造業の現行賃金レベルに時給をより近づけるよう努力しなくてはならず、「またアメリカの自動車産業や他の競争会社のそれに合わせることではない」としている。
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経営陣トップへのスドウの報告は、日本に拠点をおく同社は2011年までにアメリカでの製造における労働報酬が9億ドル上昇することを予測し、人事担当者はこの3分の1を抑制しよとしていると述べた。
もし、トヨタの労働者がより小さな賃金引上げ、給付金の削減、あるいは生産性向上の過大な要求の可能性を前にしてたじろぐならば、コスト抑制の動きはUAWの組織化努力に拍車をかけることになるかもしれない。しかしこの計画はまた、この世界で最も利益をあげている自動車メーカーがデトロイトとその看板産業に対して容赦のない圧力を維持していこうとしていることを示している。
フリー・プレスは先週、少なくとも一部の未組織のトヨタ労働者が昨年はじめてデトロイ
トの自動車メーカーで働くUAWの組立ライン労働者よりも多い収入を得たことを報じた。
業界専門家やトヨタの労働者は、同社が一ヵ月に10億ドル以上稼いでいるのに今後5年間
にわたり3億ドルも節約するようにと必死になることはトヨタの文化に深く染み付いてい
ると言う。
「彼らは細かいところを気にしている。決して心配するのをやめない」とアン・アーバー
の自動車研究センターの所長、デヴィッド・コールは言う。「彼らは会社内でトップダウ
ン式に心配するのを督励している」と。」
スドウの心配の根は、売り上げに対する人件費の割合がトヨタの利益率よりも速く膨張しているということにある。
「この状況は長期的には維持することができない」と彼は報告のなかで述べている。
しかし、賃金および給付金体系を再構成しようとするトヨタの計画はまた、デトロイトで苦闘している他の自動車メーカーを勇気付けるかもしれない。というのも、これらの自動車メーカーはこの夏のUAWとの協約交渉中に数十億ドルの譲歩を求めることになる筈だからだ。最近のデトロイト・フリー・プレスの第4地区世論調査投票が示すところによれば、ミシガン市民の4分の3がUAWはGM社、フォード社、そしてクライスラー・グループに譲歩しなくてはならないだろうと見ている。
「デトロイトの諸会社は、「見よ、われわれはいま魔の海峡に差し掛かっているのだ。彼らがやることに従わなくてはならないだろう」と言おうとしていると、48歳のケニー・ハーパーは言った。彼はケンタッキー州のジョージタウンにあるトヨタの看板工場団地で18年のキャリアをもっている。彼は、UAWがトヨタ労働者を代表して欲しいと考えており、同社に対しては原則の点で納得出来ないと語った。
「会社が苦境にあるかどうか、私は今わかった」とハーパーは言った。彼はある労働災害による肩の手術からの療養中で、12週間仕事から離れている。「私は仕事を維持するためにあの会社で是非働きたいと思っている。しかし彼らがもっと儲けたいために賃金を奪いとるというならば、私はまったくそれに同意できない。」
スドウの42ページにわたる報告、それはジョージタウン工場にあるコンピューターの中に保護されずに残されていたものだが、それによれば、「アメリカの自動車産業は世界で最も高額な製造業の賃金を支払っている。日本やフランスと比較して、アメリカの自動車産業は50%高い賃金を支払い、メキシコの自動車製造業者の5倍以上を支払っている」と。
トヨタはこのフリー・プレスに届いた文書が正規のものであることを認めている。
この報告が各部署に送られた後の、工場での労働者に対する覚書においてトヨタは、ジョータウン工場の労働者はアメリカの自動車業界の標準よりも1時間当たり3ドル多く稼いでいることを示した。フリー・プレスは先週、ボーナスを含んで計算すれば、労働者は平均して1時間あたり30ドルを稼いでいると伝えた。
現在のところ、ケンタッキー州の同種の製造業職種の賃金の中間値―すなわち半数がその額よりも多く稼ぎ、残り半数がそれよりも少なく稼ぐ-は、アメリカ労働省によれば12.64ドルである。
トヨタの戦略はアラバマ州モンゴメリーで現代自動車が採用しているものと似ている。そこの組立ライン労働者は1時間当たり14ドル、つまり、トヨタ、ホンダ、日産、そしてデトロイトの自動車メーカー諸社の賃金・ボーナス・給付金の約半分しか稼いでいない。しかし、それでも現代自動車の賃金はアラバマ州の同種職種よりもかなり高水準である。ちなみにそれは1時間当たり10.79ドルである。
「われわれの挑戦はいかにチーム・メンバーと管理職に変化を理解させ受け入れさせるように我々の状況を教育するかである」と、スドウはその報告書でのべている。
その変化のなかには、現場の医療のより積極的な利用や現場の薬局の導入といった、上昇する医療コストに対処するものが含まれている。北米の医療費増大に関してトヨタが言っていることは、おおよそデトロイトの自動車メーカーの言っていることの繰り返しである。
問題点とその解決策がある計画に盛り込まれた。その計画はまた品質、労働者と部品供給業者の発展、そして生産5ヵ年計画について取り上げている。このようないわゆるホウシン(方針)計画の背景にある考えは、全ての従業員に同一の長期的目標を確実に理解させ、それに向かって働かせることにある。
トヨタのジョージタウン工場の二番方シフトで働くリチャード・メイソン(45)は、同僚の
ほとんどはトヨタの計画に関心がないと言っている。
「工場で私が話をするほとんどの人間はたいしたことではないというが、これに私はがっかりした」と彼は言う。メイソンは組合組織が欲しいと言っている。「彼らは「おい、オ
レは今何もかもうまく行っているんだから気にしないぞ」と言うんだ」と。
しかし、労働問題が専門のカリフォルニア大学バークレー校の教授、ハーレイ・シャイケンによれば、人件費を抑制しようとするトヨタの努力はデトロイトの自動車メーカーを強固にする以上のことをしているという。つまりその努力はトヨタを業界の労働問題のニューリーダーに押し上げていると。
現代自動車の例外を除き、組合を持たない自動車メーカーは組合の組織化を避けるためにUAWの指導を踏襲していると、シャイケンは言う。
「これはまさに一つの方向転換を示している」ともシャイケンは言う。「これまではUAWが業界のために賃金と、デトロイトでの交渉を設定してきたのであるから」と。
補足の覚書においてトヨタは、ジョージタウン、およびトヨタがGMとともに所有するカリフォルニア州フレモントにあるニュー・ユナイテッド・モーター・マニュファクチュアリング社の労働者は、アメリカで最も高い賃金を得ている自動車産業労働者であると指摘している。
フレモント、そこはトヨタの管理職がUAWと交渉しなければならない唯一の工場であるが、その組合員を代表するUAW第2244支部の委員長、ジョージ・ナノは、トヨタはただ強欲に
なっているだけと言う。
彼が言うには、組合員たちはカリフォルニア州の湾岸地域の高い物価に家計の帳尻を合わせるために闘っているのだ。しかし報酬カットがやってくることを恐れていると。
「現時点では、われわれは良い金をもらっている。我々には給付金もある。しかし報酬カットが近いことは明らかだ」と、ナノは変化を予期している。「そしてもし彼らにそれを取るがままにさせておいたら大変なことになるだろう」と。
ジェイソン・ロバーソン
連絡先:313-222-8763
jroberson@freepress.com