全トヨタ労働組合(ATU)

トヨタ自動車および関連企業で働く労働者の企業横断型労働組合です。一人でも加入できます。

トヨタ自動車責任を認める

2022年01月31日 12時07分15秒 | トヨタ自動車

損害賠償請求・和解記者会見

 本日(1月31日)トヨタ自動車はKさんの自死は、会社に責任があったと認め訴訟外で和解が成立したと名古屋市内で原告出席で記者会見が行われ明らかにされました。

 損害賠償請求裁判は、トヨタ社員Kさんの労働災害(2021年9月名古屋高裁で確定)はトヨタ自動車に責任があるとして2020年7月に提訴して争われていました。2022年1月31日に口頭弁論が開かれる予定でしたが、昨年9月以降トヨタ社長自らが代理弁護士を訪ねて謝罪したことから、和解の提起がされて今月まで3回の協議が行われて1月27日に訴訟外の和解が成立してました。和解合意書も結ばれ、記者会見で紹介された範囲で次回から紹介したいと思います。

 これまで長い間ご支援下さった皆さんに厚く厚くお礼を申し上げます。有難うございました。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トヨタ労組は自覚を持て!

2022年01月22日 20時48分39秒 | トヨタ自動車

 1月20日(木)トヨタ労組はマスコミを操作して、夏のボーナス(一時金)要求時期でもないのに、「6.9か月の要求」(年間)などと報じました。違和感を覚えた方も多いかと思います。しかも組合員で決定してもいないことを平気でマスコミに流すのですから執行部の姿勢が問われます。

 全国の労働者が今まさに取り組もうとしていることは、下がり続ける日本の賃金を22春闘で大幅に引き上げてたたかう「要求つくり」を最中です。国民春闘は、労働者の団結と労働組合の共同した力を一定の時期に集中することで、日本の労働運動の弱点である企業内中心の運動から国民を含む労働者全体の運動につなげる闘いです。

この時期にトヨタ労組の行動は、団結どころか分断・分裂を持ち込むものと言わざるを得ません。

日本の実質賃金は、小泉内閣「規制緩和」策あたりから89.1下がり続けていてます。フランスは131.6、イギリスは129.9、ドイツは123.5、アメリカ122.4、イタリア117.4と確実に先進国は賃金を引き上げています。

さらに低賃金で働く人が増えています。最低賃金の全国平均の1.1倍以下で働く人の割合は2020年に14・2%となり、2009年の7.5%から12年で倍増しています。こうした状況は日本経済の大幅な落ち込みとなって表れています。2020年度の国内総生産は前年度比4.6%減です。リーマンショック期をも上回る戦後最悪です。その最大の要因は低賃金状態が続く中での個人消費の低迷です。

「企業がもうからないと賃金が上がらない」のでなく、賃金が(購買力)上がらないと企業は「儲からない」のです。

さあたたかおう!「私たちが巻き起こした賃上げの風をつかんで大幅賃上げ・底上げを!」「誰もが希望の持てる公正な社会を労働組合で団結して一緒につくろう!」

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トヨタ労組 2022年春闘「平均賃上げ要求」を廃止

2022年01月19日 14時15分50秒 | トヨタ自動車

22春闘 分裂を許さない

トヨタ労組、職種・職位別要求へ

2022年春闘では、トヨタ労組は平均賃上げ要求を廃止し、職種(事技職や技能職など)や職位(職能等級)ごとに賃上げ要求額を会社に提出するとしてします。彼らは「組合員に取って、要求水準がわかりやすくなる」と言っていますが、人事制度がトヨタとは違う他の企業の労組にとってはトヨタとの比較が出来ず賃金格差が「見えなくなる化」されることになります。

経営者の思うつぼか

トヨタの労使は数年前から、「賃上げ相場形成役を降りる」として、非正規社員を含む全組合員の平均賃上げ額を発表するだけにしてきました。こうすることによってトヨタと下請け各企業との賃金格差を覆い隠し、下請け諸企業の労働者に低賃金を強いてきたのです。今年はこれを一層徹底しようとしています。

全トヨタ労連、賃上げ要求の「目安」示さず

そしてこのトヨタ労組の動きを受けて、全トヨタ労連は目安となる「統一的な賃金要求は掲げない」としています。トヨタ労連傘下の各労組は、統一した指標のないままに、各労組がバラバラに、各企業の実情に応じて要求せざるを得なくなっています。トヨタのEV化への全面的なシフトに対応するために下請け各企業は生き残りに必死になっています。しかもトヨタからの納入単価によって収益もコントロールされています。このような状況で会社の言い分に従ってしまえば賃上げは極めて厳しいものになります。

大幅な賃上げを勝ち取ろう!

けれども私たちの賃上げ要求は、会社の収益状況ではなく、私たちの生活の維持・改善を出発点にすべきでしょう。トヨタ労使による春闘破壊に抗して、各組合から賃金引き上げを目指していきましょう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トヨタとトヨタ自動車労働組合を考える

2022年01月09日 20時39分24秒 | トヨタ自動車

長年トヨタを研究している猿田氏に寄稿いただきました。

「日本的経営」の崩壊とトヨタの躍進

猿田 正機

(中京大学名誉教授) 

 「トヨタ労組の組織内候補断念」については、当然の流れかなという思いはありますが、全く驚いておりません。立憲民主党の枝野氏の退陣は、期待していただけに大変残念です。

 最近のトヨタの労使をみていると、組合は、完全に主体性を喪失しており、まったく組合とは言えない組織になっています。私的に言うと、トヨタ労組は、トヨタの「人づくり」によっつくられたトヨタマンのトヨタマンによるトヨタのための従業員組織で、その任務はトヨタ的経営や生産性向上への労働者の動員と言ってよいでしょう。

 私が、トヨタ研究を40年以上も続けてきたのは、別に、トヨタという企業のことを詳しく研究したいという思いでやってきたわけではありません。その背景には、トヨタ生産方式が西三河から、全国、さらに「リーン生産方式」という名で、様々な産業を超えて、世界に広がり、悪影響を広げる中で、マスコミの報道のみならず、日本のトヨタの労働・生活の研究者が激減していることがあります。トヨタの現実がまったくと言ってよいほど伝わらなくなっています。

 決して、「トヨタシステム」研究の価値が低下したわけではありません。生きている間に、できるだけトヨタが隠したがっている裏の真実を書き残しておくのも私の仕事かと、トヨタの研究を再開してます。

 先の「古本伸一郎氏の立候補取りやめ」問題について私が気になるのは、他の大企業労組はどうなるのか、連合はどこへ行くのか、日本の労働運動やユニオン運動がどうなるのか、さらに日本の政治はどこへ行くのか、という点です。もちろん、この問題を、ここで論ずる余裕はありませんが。トヨタの発展の流れと私の現状認識は以下の通りです。

 1960年の安保・三池のたたかい以降、日本資本主義は「福祉社会」を目指すことなく、「企業社会」へとひた走ってきました。その原動力となったのが「日本的経営」や「トヨタシステム」であったといってよいでしょう。

 トヨタが日本さらには世界的に注目されるようになったのは、オイルショック以降の不況期やそれに続く80年代の低成長期にも躍進を続け、90年初めのバブル崩壊以降も、リーマンショックや東日本大震災の危機を乗り越え、一時期を除き、収益を上げ続け、膨大な内部留保を蓄え続けたことにあります。西三河の田舎企業を自認していたトヨタが、いつの間にか日経連や経団連の中心に座るようになっていました。世界的にも、日本の代表企業、モデル企業ともてはやされています。

 トヨタで注目しておきたいのは、1964年の労使宣言、オイルショック後の下請企業を含むジャストインタイム(かんばん方式)などトヨタ生産方式の浸透、そして、80年代のQCサークルなどを使ったME・OA機器のスムーズな導入による職場改善であり、21世紀初めのトヨタ元社長・会長である経団連会長(当時)主導の派遣労働者の製造現場への導入です。

 かくして、トヨタが進めてきた経営主導による人事労務管理の確立、つまり雇用の柔軟化、労働時間の柔軟化、賃金の柔軟化、下請従属構造の確立そして「労災・過労死・自死」の軽視・無視、かくして、本来は、労働者・国民を守るべき防波堤の役割を担うべきはずの労働組合が、まったく逆に、労働者や国民からのトヨタ批判の防波堤としての労働組合が出来上がりました。

 現在のトヨタの労使関係(労使協議会)は、「トヨタイムズ」として、公然化しており、そこでは、経営陣・管理職層・労働組合の「三角交渉」なども行われ、組合役員や管理職層が豊田社長のお叱りを受けたり、経営陣の指導を受けたりしています。いわゆる春闘も官製春闘や安倍春闘などとして自民党・経団連主導になっており、その先頭を切って回答してきたのがトヨタです。今回、カーボンニュートラル問題などの歴史的危機に直面して、トヨタ労組や全トヨタ労連が、トヨタを守るために推薦候補を見送っても、それほど驚くべきことではないでしょう。トヨタ労組には、添付資料にあるように、組合員の「いのちや健康」を本気で守る気はなく、まして、日本の労働者や国民の雇用・生活を守る意思はまったくないといってよいでしょう。

 元来、「気候変動」問題への対処は、人類にとってのグローバルな課題であり、組織内候補をどうこうする問題ではありません。党派を超えて意見を交換し国民的合意を引き出すのが政治の役割だと思います。真剣な議論を避け続ける日本の現状こそ問題視されなければなりません。

ご存じのように、日本の高度成長を支えてきたといわれている「日本的経営」が崩壊するなかで、バブル崩壊以降の実質賃金の傾向的低下や非正規労働者の増大にみられるように、労働者の労働・生活は極端に悪化し続けています。 

それにもかかわらず、トヨタシステムの評価は高いまま維持されています。私の見方では、トヨタシステムが評価され続ける限り、日本が良くなることはないでしょう。普遍的な「福祉社会」はできないと断言できます。

 今の野党に欠けているのは、自民党に変わって、どんな日本をつくりたいのかというイメージづくりに成功していないことではないでしょうか。私は、1990年前後から、諸外国を調査・旅行するようになって以来、個人的には、北欧型福祉国家、例えば200年以上も平和を維持し続けてきたスウェーデンのように、社会保障・福祉政策、保育・教育政策のみならず、環境、平等、移民政策などには学ぶべき点は非常に多いとおもっています。その後、EU統合などで最近は苦労していますが、それでも一歩一歩進んでいる様子が見て取れます。

 労働組合運動にしても、産別の賃金交渉や同一価値労働同一賃金、所得の再分配、雇用・失業保障など労使交渉の枠組みは壊れていません。労働者・国民の雇用・生活を守るという姿勢は一貫しています。「過労死・自死」問題も聞いたことがありません。このような土台の上に、社会保障・福祉政策は成り立っているのです。

 私は、ここ30年ほどトヨタ研究と並行してスウェーデン研究を続けてきましたが、その違いには愕然とさせられ続けています。スウェーデンの政治・経済・社会システムは、長年にわたって、社会民主党や環境党、左党(旧共産党)などによってつくられてきたものです。

 日本の野党も、確信をもって進めうる将来像を打ち出し、連帯して進むべきでしょう。さもないと、トヨタ労組のような組合が今後も出てくることは避けがたいと思われます。国民の意思が反映するような選挙制度への改革が望まれます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする