全トヨタ労働組合(ATU)

トヨタ自動車および関連企業で働く労働者の企業横断型労働組合です。一人でも加入できます。

最近の労働裁判から

2022年04月01日 10時53分31秒 | 労働事件
  • 名古屋自動車学校の社員だった二人が、定年後再雇用で嘱託社員になり働いていたが、定年前とまったく同じ業務をこなしているのに、賃金をはじめ正社員との待遇格差があるのはおかしいと是正を求めて提訴していました。名古屋地裁の判決を受けて、原告側は増額、会社側は請求棄却を求めて提訴していました。名古屋高裁は3月25日、625万円の支払いを命じた名古屋地裁の判決を支持しました。今回の裁判でも、「職務内容に違いはなかった」と認定しているのですから、例えば、昨日までは(定年前)時給1500円で働いていたのに、翌日から750円というのは差別的待遇です。是正に一石を投じた裁判でした。 昨今は、再雇用制度よりも「定年」を延長する企業が増えてくるものと思われます。

 

  • 自動車部品メーカーマツダの下請けの広島精研工業に勤務する男性社員が、降格人事は無効と訴えていた控訴審で3月29日広島高裁は会社側の「控訴」を棄却しました。判決は「降格による使用者の裁量」について、「業務上、組織上の必要性、労働者の能力又は適正、労働者の受ける不利益等の諸事情を総合考慮して、人事権の乱用と認められるときはその降格は無効と認められる」としました。また「微妙な過誤を理由とした降格で労働者に対し過酷に過ぎるといった場合にも降格は無効」と断言しています。弁護団は「労働者にとって意義のある判決、降格について使用者に立証責任があるという点は画期的で素晴らしい判決」と評価しました。

 

  • 大阪の竹中工務店が再委託先の社員だった建築士の男性に直接業務の「指揮命令」をしたのは「偽装請負」になるとして、大阪地裁に提訴していた判決が3月30日あり原告の請求を棄却しました。本来なら委託先の「指揮命令」下で業務をするべきなのに、竹中工務店から直接指揮を受けていて「二重の偽装請負」です。この種の事件はこれまでも幾度となく争われていますが労働者救済に至っていません。弁護団は「派遣法40条の6による労働者救済が問われる事件だが、同法の行政解釈を形式的になぞっただけで救済する気のない反労働者的な判決だ」と厳しく批判しています。男性は「違法状態で働かせないでと何度も訴え、労働局の是正指導があったにもかかわらず、私が違法な状態を作り出していたとされたことが一番ひどい」と訴え、控訴する意向を示しています。頑張ってほしいです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする