2025年7⽉28⽇
フィリピン共和国 ⼤統領 フェルディナンド・マルコス⼆世 殿
写︓
労働雇⽤省(DOLE)⻑ 官 ビエンヴェニド・E・ラゲスマ 殿
同上 労働関係局 局 ⻑ アルトゥーロ・アルフォンソ・J・ヘルボサ弁護⼠ 殿
発信者︓トヨタ・モーター・フィリピンズ・コーポレイション・ワーカーズ・アソシエイション(TMPCWA)
TMPCとTMPCWA間の労働争議の解決に関する私たちの最も誠実かつ緊急の要望および要請の件
親愛なるマルコス⼆世⼤統領 殿
まず初めに、主題に関する2025年6⽉28⽇の私たちからの前便書簡には若⼲の不⼗分性がありま
したため、⼤変申し訳ありませんが改めて本書簡を提出致します。ゆえに、どうか前便書簡は無視して頂き
まして、本書簡を正規のものと取り扱い下さいますようお願い申し上げます。
私たちは私たちの労働争議に貴殿の格別のご留意を払って頂きたい喫緊の必要があるために、このような
単⼑直⼊の仕⽅で貴殿に本書簡を差し上げますことをご容赦ください。
私たちは、⽇本のナバーワンの多国籍企業トヨタ⾃動⾞株式会社(以下「⽇本トヨタ」または「TMC」)
の我が国における現地⼦会社であるトヨタ・モーター・フィリピンズ・コーポレイション(以下「TMPC」)が犯し
た不当解雇と組合潰しの被害者です。TMPCと⽇本トヨタは、私たちがフィリピン労働法に基づき適法に労
働組合を結成し、かつ、労働雇⽤省(以下「DOLE」)から唯⼀交渉代理⼈(以下「SEBA」)の認証
を正式に取得したことを忌み嫌って、2001年に233名の従業員に対する⼤量解雇を⾏いました。
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2012 年以来、国際労働機関(以下「ILO」)は、その理事会報告書(以下「GB報告書」)にお
いて、事件番号第2652号および事件番号第2252号(これら2つの事件は、現在は唯⼀の事件
番号第2652号に併合されています)を、繰り返し確認し調査してきていますが、その中で上記233名
の労働者に対する⼤量解雇は「組合潰し」のためになされたものであることを証明しました。
また、TMPC 経営陣は、その損失制御事務所(ロス・コントロール・オフィス)の保安連携員(セキュー
リティ・コーディネーター)を使って、私たちTMPCWAが2001年3⽉28⽇から2001年4⽉12⽇
まで平和的ピケットを実施した後に、20 名の執⾏委員および組合員に対するデッチアゲ刑事告発(重⼤
な威迫に対するものとして。注︔本件刑事事件の番号等は省略)を申し⽴てたことも、2012 年の GB
報告書に詳述されています。
ILO は、フィリピン政府と TMPC は TMPCWA に対する告発を取り下げるよう、2012 年に勧告しまし
た。これに応えて、フィリピン政府とTMPCはピケット発⽣と刑事告発の提出から12年という⻑年⽉を経た
後の2013年に、ようやくTMPCWAに対する告発を取り下げました。
その後、TMPCWAの委員⻑エド・クベロは2021年12⽉1⽇にレッド・タギングを経験しました。即ち、
⽒名不詳の⼈物から送られてきたSMSで死の脅迫を受けたのです。この件につきましては、2022年1⽉
11⽇付の情報通知書簡をもって、当時のDOLE次官ベンジョー・サントス・M・ベナヴィデス弁護⼠経由に
て前DOLE⻑官シルヴェストル・H・ベロ三世殿に報告済みです。
同書簡はその⽇のうちにベロ三世⻑官によって受理され、2022 年1 ⽉21⽇に同⻑官から回答を得
ました。同回答書簡において同⻑官はWrit of Amparo(リット・オブ・アンパーロ︔権利保護令状)の
申⽴てをするか、あるいは、重⼤な威迫に対する刑事告発を申し⽴てるよう助⾔して下さいました。
以上全ては、ILOのGB報告書に何が書かれているかを概述するのみですが、わが組合TMPCWAは
依然としてTMPCからの狙い撃ち的嫌がらせを経験し続けています。
かくして、以上述べましたことの全ては、フィリピン最⾼裁が TMPC 勝訴の判決を下しているという事実に
もかかわらず、TMPCWA に対するトヨタの諸⾏為が、フィリピンも当事国の1つとなっている国際労働機関
の諸条約に明定されている、団体交渉権に対する明々⽩々なる侵害であることを再確認するものです。
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これに基づき、ILO は、フィリピン共和国政府―および実質的には TMPC―に対して、我が組合
TMPCWAと「衡平な、交渉による解決」をするよう督励する勧告を、何度も発してきました。
2001年から今⽇に到るまで、TMPCWAは、DOLEの調停を通じてトヨタの経営陣との友好的解決に
達するための試みを追求する、苦渋に満ちた努⼒を⾏ってきました。にもかかわらず、私たちの呼び掛けを聴
いてくれる⽿にはありつけませんでした。
マルコス⼤統領殿、我が組合TMPCWAは2022年に貴殿の任期が開始した時以来、DOLEと緊密な
連携を図ってきました。DOLEの労働関係局は、局⻑マリア・コンスエロ・S・バカイ⼥史が私たちの事件を所
管されていました。その後、⼥史は現局⻑アルトゥーロ・アルフォンソ・J・ヘルボサ弁護⼠に引き継がれていま
す。DOLEの説得努⼒にもかかわらず、TMPCは、⽇本トヨタからTMPCに下されている指令に従って、尊
⼤にもILO勧告を無視し続け、かつ、解決に向けたDOLEの諸提案を拒絶し続けています。
我が組合TMPCWAは、DOLEの助⼒を得つつ、⽇本政府から⽇本トヨタに対し再考慮するよう説得
してもらえるのではなかろうかとの願いのもとに、⽇本⼤使館に対しても何度も接触してきました。しかしなが
ら、同⼤使館は何ら回答を寄越してくれていません。
トヨタは、⾃⼰⾃⾝の企業の社会的責任を回避するため、誠意をもって我が組合 TMPCWA との
解決を図ろうとする計画を何ら持たないのであり、このことを理解することが肝要です。
ゆえに、24 年間の⻑きににわたり TMPCWA とトヨタ間の労働争議を経た後において、私たちの要望と
要請が最終的に叶えられるようになって欲しいとの願いのもとに、私たちは貴殿マルコス⼆世⼤統領の前に
まかり出ました次第です。貴殿の⼤統領特別⾏命令第23号―「労働者の結社の⾃由と団結権とを保
護し、とりわけ、それらに対する侵害事件の調査、訴追および解決を促進するため省庁間委員会を創設
すること」―が、必ずや貴殿の⼤統領としての⼒をもって本件トヨタの労働争議を解決する助けになって頂
けるであろうと、我が組合TMPCWAを確信させるものとなっています―特に、来たる2025年8⽉3⽇
にはTMPCの創業第37周年記念⽇が迫っているこの機会を利⽤して下さって。この⾏事においては、フィ
リピンの現⼤統領は常にTMPCの創業記念式典に主賓の1⼈として招待されます。貴殿の⼤統領として
の存在は、TMPCWA と TMPC 間の歴史的に記憶されるべき解決を成功裏にもたらした⼤統領その⼈と
して、遺産を遺すことができるでありましょう、なぜならばこれまでの⼤統領のどなたもこのような偉業を成し遂
げられたことは決してなかったからです。
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このような理由から、私たちは、貴殿がフィリピンの⼤統領として TMPC にまともに向き合い、
TMPCWA と TMPC 間の労働争議を最終的に解決するようにして頂きたいと要請する次第です。
TMPCは私たちに対して、ただ僅少な⾦額の離職⾦を財政援助⾦という別の美名に変えて、組合員個々
⼈に提供しているに過ぎません。これは 2012 年のILO 勧告に述べられている内容に抵触しています。即
ち、同勧告は次の通り述べているからです。
「会社から提供されている補償⾦パッケージ(注︓上記アンダーラインを付した箇所参照)を
従前に受け取っていない TMPCWA 組合員は、同⼈らの従前の雇⽤に復職させられなけれ
ばならない。復職が権限ある司法当局の決定によるなどで不可能であるならば、これらの上
記組合員に適正な補償⾦が⽀給されなければならない。」
TMPC が復職は不可能であるとの⽴場に固執していることを考慮するならば、TMPCWA は適正な補
償⾦を⽀給されなければなりません。しかしながら、TMPC は現在DOLE に供託中の、総額8百万フィリ
ピンペソを僅かに超えるに過ぎない⼩切⼿を、従前に離職⾦、別名財政援助⾦、を受け取っていない解雇
された労働者に解放する⽤意があると⾔っているにすぎません[第376回GB報告書第5-7項参照]。
さらに、推測されるDOLEとTMPC間の⽣計プロジェクトは何ら具体的に実を結んでいません。
TMPCWA という適法な労働組合としては、TMPC から提供されているこのような種類の補償⾦は、私
たちTMPCWAに加えられた道徳的損害および懲罰的損害の観点からして不適正です。不当解雇された
我が組合員たちとその家族たちが過去24年間に経験した深刻な困難が、正当に考慮されなければなりま
せん。
私たちは本件労働争議を、退職⾦、離職証明書、13 カ⽉⽬分の賃⾦、ならびに、社会保障制度
(“SSS”)、PAG-IBAG(注︓マイホーム⼊⼿のための積⽴⾦)、貯蓄・貸付⾦組合(“SLAI”)等
の国定給付を含めた、⾦銭的補償によって解決したいと考えています。これに加えて、この⾦銭解決にかか
る全ての税⾦、ならびに、10%の私たちの弁護⼠費⽤は、トヨタの負担とされるべきです。
2012 年の ILO 勧告は、離職⾦、別名財政援助⾦、を受け取っていない者たちだけが適正な補償⾦
の受給資格を有する者であらねばならないと述べていますが―私たちは、233+4名のTMPCWAの全組
合員が保障されなければならない、それも個々別々にではなく 1 個の組合全体として、とすることの⽅を選
好します。
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私たちの要求の根拠は、私たちに対する⼤量解雇の背後に存在する意志が、我が組合 TMPCWA
に対する組合潰しにあるという認識に⽴っているがゆえにです。結論として、TMPC が私たちの基本的
な労働者としての諸権利ならびにその他の市⺠的諸⼈権に対する侵害を犯したからである、という認識
に基づいています。
本件に関して、貴殿の即座のご便宜のために、以下の書類を同封致します。
1. ILO 結社の⾃由委員会の勧告および理事会報告に効⼒が付与する、事件番号第 2652 号
(フィリピン)―2008年5⽉12⽇申⽴―に関わる2012年11⽉の第365回GB報告書
2. ILOの2013年10⽉31⽇の第319回理事会の「結社の⾃由委員会の報告書を理事会が
採択」との発表記事[プレス・リリース]
3. ILO 結社の⾃由委員会の勧告および理事会報告に効⼒を付与する、事件番号第 2652 号
(フィリピン)―2008年5⽉12⽇申⽴―に関わる2015年10⽉の第376回GB報告書
以上に加えて、TMPC のアルフレッド・ティー会⻑および橋本正⼈社⻑宛ての私たちからの 2025 年 3
⽉11⽇付書簡、ならびに、TMPCの橋本正⼈社⻑宛ての別途2025年6⽉23⽇付書簡の各写を
添付します。さらに、労働雇⽤書のラゲスマ⻑官に伝送されることを願ってアルトゥーロ・アルフォンソ・J・ヘル
ボサ労働関係局⻑宛てに私たちから提出した2025年7⽉21⽇に提出した書簡の写を添付します。
以上の通り述べました私たちの最も誠実かつ緊急の要望と要請に貴殿が格別のご留意をお払い下さい
ますよう、ひたする念願すると共によろしくお願い申し上げます。本書簡の記載内容に関するご質問ないし
釈明を要する事項がございましたならば、またさらなる連絡に関しましては、我が組合の執⾏委員の1
員であるジェイソン・ファヒラグタン⽒に、同⼈のSMS番号0969-151-7930を通じてどうぞ何なりと
ご通信下さいますようよろしくお願い申し上げます。
ご貴殿の⼤統領執務室(または案件に関わるその他の政府機関)および TMPC 経営陣からの⼀切
の問合せ、コメント等に関しましては、ファヒラグタン⽒が私たちTMPCWAの代表者の1員でありますから、
同⼈宛てにお送りくださるべきものと致します。
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念のため申し上げますが、私たちの組合執⾏委員の与かり知らないところで私たちの組合の個々の組合
員の⼀切の私的連絡番号あるいはEメールアドレス宛てに問合せおよびその他類似のコメントが送られてき
ましても、それらは、⼤統領執務室(およびその他の政府機関)ならびに TMPC 経営陣との私たちの正
規の交信を代表するものであるとはみなされないものと致します。
最後に、ご貴殿、マルコス⼆世⼤統領と―ご貴殿の⼤統領執務室においてであろうとあるいはその他の
場所においてであろうと―対話をする機会が我が組合 TMPCWA の執⾏委員らに与えられるよう、⼼から
念願します。私たちは、ご貴殿の最も早くご都合のつく時に―望むべくは今7⽉末までに―、ご貴殿に直々
に(たとえきわめて短時間であろうとも)私たちの気持の⼀端を表明致したいと考えておりますので。
敬 具
トヨタ・モーター・フィリピンズ・コーポレイション・ワーカーズ・アソシエイション(TMPCWA)
委員⻑ エド・クベロ (署名)
同封書類︓1)2012年のILO勧告
2)2013年のILO勧告
3)2015年のILO勧告
4)2025年3⽉11⽇のTMPCWAのTMPC宛て書簡
5)2025年6⽉23⽇のTMPCWAのTMPC宛て書簡
6)2025年7⽉21⽇のTMPCWAのDOLE宛て書簡、特に以下を含む
a) 2024 年2⽉2⽇のTMCの回答⽂書
b) 2025 年6⽉26⽇のTMC宛て抗議・要請書簡
(以上)