2025 年6月26日
471-8571
愛知県豊田市トヨタ町1番地
トヨタ自動車株式会社
代表取締役会長 豊 田 章 男 殿
代表取締役社長 佐 藤 恒 治 殿
フィリピントヨタ自動車労働組合
(Toyota Motor Philippines Corporation
Workers Association (TMPCWA))
執行委員長 エド・クベロ
フィリピントヨタ労組を支援する会
代 表 山 際 正 道
フィリピントヨタ労組を支援する愛知の会
共同代表 若 月 忠 夫
共同代表 平 山 良 平
フィリピントヨタにおける長期労働争議の解決に関する抗議および要請
貴社フィリピン現地法人子会社フィリピントヨタ自動車株式会社(以下「TMP」)
において、労働者が自発的に自由意志のもとに組織したフィリピントヨタ自動車労働
組合(以下「TMPCWA」)が全正規一般職従業員の過半数の支持を得て、労働法に基
づき会社と労働協約を締結するための権限を有する唯一交渉代理人と認定されたこ
とをTMPが嫌悪して強行した、233名(後4名を加えて総数237名)にも達する、
大量虐殺にも等しい不当解雇から何と満24周年に当たる本年3月16日を迎えんと
する数日前に、TMPCWA はTMPC会長アルフレッド・ティー氏並びに貴社派遣の
社長橋本正人氏宛てに、フィリピン政府労働雇用省(「DOLE」)労働関係局の立会参
加のもとにTMP経営陣とTMPCWA間の交渉を行ない、もって当事者双方にとって
受忍かつ受諾可能な結論に到達することにより本件長期未解決労働争議を解決した
い旨、書簡をサンタロサのTMP本社に持参し申入れを行いました。ついては会長並
びに社長の連名連署による回答書簡をもって交渉の日時、場所を提案下さるよう希望
する旨をも付記しました。
TMPCWAの上記書簡は、その日にTMPにより正式に受領されました。またその
日のうちにDOLE労働関係局によっても受領されています(添付書類1:2025年3
月11日付のTMPCWA委員長エド・クベロ発のTMP会長アルフレッド・ティー氏
並びに社長橋本正人氏宛て書簡参照)。
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このような冷静、沈着かつ情理を尽くした全く控え目なTMPCWAの申入れを受け
取るところまでは受け取った TMP 経営陣は、なんと驚くべきことに、全く悪辣な、
資本力を笠に着た不当極まりない、力づくによる組合潰し的対応の挙に出てきたでは
ありませんか。即ち、第1に、組合TMPCWAを相手方当事者として認めた上での交
渉による解決を拒否したこと、第2に、解決の条件内容に関して、フィナンシャル・
アシスタンスが十分過ぎるものであるとして一片の譲歩、上乗せにも応じなかったこ
と、そして第3に、そのフィナンシャル・アシスタンスを受け取るのか受け取らない
かと、組合TMPCWAを通すことなく組合員個々人に対し強圧的に回答を迫ったこと
です。
かかる TMP 経営陣の態度は、「衡平な交渉による解決(equitable negotiated
solution)」に、具体的には「適正な補償金の支払(the payment of adequate
compensation)」に達するよう当事者間の仲立ちをするよう督励している国際労働
機関(以下「ILO」)結社の自由委員会の勧告(2012年11月のILO理事会において
承認され世界に向かって公表されている)に真っ向から逆らうものであることは明々
白々です。
これは全く許しがたいことです。なぜならば、貴社は「弊社も引き続き、フィリピ
ントヨタが誠実に本件を対応していくよう、支援してまいります」と、書面をもって
言い切ったからです(添付書類2:2024年2月2日付貴社回答文書参照)。同回答
文書において貴社は、「フィリピントヨタでは、2001年から継続して、ILO勧告の趣
旨に沿った、被解雇者への金銭的支援を実施しております」と、ILO勧告尊重を謳っ
ているのですから、貴社及びTMPの言っていることとやっていることは全く事実に
反するではありませんか。ILO 勧告の趣旨に従っていると言うなら、「もしも彼らを
復職させることが客観的かつ有無を言わさぬ理由により最早不可能ならば(if their
reinstatement is no longer possible for objective and compelling reasons)…
適正な補償金の支払(the payment of adequate compensation)」をせよと言って
いる上記2012年のILO勧告にこそ従うべきです。
それとも、もしかして、私たちの杞憂は杞憂ではなかったということでしょうか?
即ち、親会社である貴社は、子会社がこのようなとんでもない挙に出ることを予知予
感していたがゆえに、そうなった場合に備えて貴社の責任を逃れるために、上記昨年
2 月の回答文書をあたかも怪文書のごとく発信部署・役職・氏名を不記載にしておい
たのでしょうか?また回答文書上に宛先を記載しなかったのもそのためでしょう
か?さらに、同回答文書を私たち2つの支援団体には郵送したものの、当該労働争議
の当事者TMPCWAには送らなかったのもそのためであったのでしょうか?
しかし、そのようなことはいくら何でもあり得ませんよね。その回答文書なるもの
について貴社は一切関知するところではないなどと。なぜならば、貴社は昨年12月
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20 日にも我が支援する愛知の会に対して、貴社の見解は同回答文書と変わっていな
いと言明したのであり、そこには「フィリピントヨタは、隔たりの解消に向けた努力
を今後とも引き続き継続していく意思を持っております」とも述べているのですから。
私たちは、今般TMPが上記のような偽善的な態度に出てきたのは、貴社並びに貴
殿ら代表取締役ご両名の指示によるものであるとの合理的な疑いを抱いております。
もしもそれがそうでないというのであれば、貴社並びに貴殿ら代表取締役ご両名には
事態を明確に釈明してくださる責任があると、私たちは思量します。
そして、再度引用しますが、「弊社も引き続き、フィリピントヨタが誠実に本件を対
応していくよう、支援してまいります」と述べられていることは、TMP はともかく
として、貴社ならびに貴殿ら代表取締役ご両名ご自身が本件争議は解決しなければな
らないという最終段階に来ているとのご認識を表明していることを示すものである
と、私たちは受け止めております。
そこで、さらに1歩進めて、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に呼応して
『トヨタ人権方針』を定め、さらに佐藤社長を経団連の副会長に押し出した以上なお
さら、貴社並びに貴殿ら代表取締役ご両名ご自身が、責任をもって、本件労働争議を
即刻解決すべきです。
最後に、以上述べたことの要約をする代わりに、私たちはTMPCWAの抗議、要請
および要求をご覧になって頂きたく、そしてそれにしかるべき考慮を払って下さるよ
う念願します(添付書類3:TMPCWAエド・クベロ委員長からTMP橋本正人社長
宛ての2025年6月23日付書簡をご参照ください。同書簡は同日TMPにより受領
されています)。
私たちは以上の通り抗議および要請します。
添付書類:
1.2025-3-11 TMP会長・社長宛書簡
2.2024-2-2 トヨタ自動車回答
3.2025-6-23 TMP社長宛書簡