全トヨタ労働組合(ATU)

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ダイハツ工業 認証不正問題

2023年12月28日 08時31分49秒 | ダイハツ

ダイハツ認証試験不正・174件、全面的出荷停止

12月20日、ダイハツとトヨタ自動車は緊急に記者会見し、4月に発覚した認証試験不正(車両の衝突試験の手抜き)にともなって立ち上げた第3者委員会の調査結果を発表しました。その結果は、驚くことに不正は174件もあり、古くは1987年からですが、トヨタからOEM(相手先ブランドでの)開発・生産を開始してから一気に増えているそうです。

第3者委員会の報告(概要版(report_1.pdf (daihatsu.com))では「まずもって責められるべきはダイハツの経営幹部である」としながらも、実質上は現場の担当者に責任を押しつけています。すなわち、ダイハツが「短期開発」を他社との「差別化要因」にしてきたことを「経営」努力として容認し、「認証試験の担当者」(係長以下の現場担当者)が「タイトなスケジュールの下で絶対合格のプレッシャーに晒され」不正に手をそめた、「部室長級以上の役職者は」「不正を指示した事実は認められない」としています。しかしタイトな開発期間厳守でプレッシャーを与えられるのは開発部門全体であって「認証試験担当部署」でないです。認証担当部署には期限内に「合格」を出すために、試験を回避したり数値をごまかしたりすることが強制されるだけです。「役職者が指示していない」ということが事実ならば、それは指示なくともやるべきこととして経営―開発部門の中で当然視し、黙認されていたからでしょう。

また、この問題が明らかになったのは、社内での上部への告発が握りつぶされ続けてきたために外部への告発に踏み切ったからだと言われています。このことからも経営陣が黙認していたことは間違いありません。

もう一つの大きな問題は、報告(概要版)の中では「トヨタ」という言葉が一言も出てきません。トヨタ向けOEMの開始とともに認証試験不正が一気に拡大してきたという事実からしても、トヨタは開発費用の削減するために、ダイハツによる「短期開発」を利用し、きたより一層強制してきていたのは間違いありません。

トヨタ系大企業では不正行為や不祥事が連続しています。日野自動車でのエンジン認証試験不正(2020年発覚)、豊田自動織機での同じくエンジン認証試験不正(2023年発表)、そしてデンソーの燃料ポンプ欠陥による大量リコールと死亡事故の発生。これらはいずれもトヨタ自動車からのコスト削減や短納期、過度な品質要求などによって生じていると言えます。そしてこのような系列・下請け諸企業への過度な要請のうえにトヨタ自動車は史上空前の利益を上げているのです。

ダイハツの生産停止によって下請け企業は悲鳴を上げています。ダイハツは一定の保障をするとは言っていますが、中小の下請け企業は倒産の危機にも瀕しています。しかしトヨタやダイハツの企業内労組はこの一連の事態には沈黙を守っています。労働組合にとって一番の問題は、企業危機を労働者への賃金低下や労働条件の悪化に転嫁させないことです。また企業倒産などによる解雇をさせないことです。一連の不祥事の責任はあげてトヨタの利益優先の企業体質にあり、トヨタ系企業で働く労働者ではありません。このことをはっきりさせて、自分の身の回りから、賃上げ抑制や労働条件の切り下げに反対し、トヨタや系列大企業に社会的責任を果たせの声を上げていきましょう。

コメント (8)
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