全トヨタ労働組合(ATU)

トヨタ自動車および関連企業で働く労働者の企業横断型労働組合です。一人でも加入できます。

異例ずくめのトヨタ春闘

2018年03月22日 11時44分05秒 | 組合創立10周年


 ――トヨタ労組の18春闘考える――
 トヨタ自動車労働組合は3月14日に2018年度の賃上げについて会社と合意した。だがこの18春闘は、「えっ、これが春闘と言えるの!」という異例ずくめのものであった。
 第1の異例は、例年では、まずトヨタが妥結し、このトヨタの妥結額を基準にして下請け企業の賃上げが決められていく。だが、今年の場合、まずデンソーやアイシンなどの下請け企業が1500円で妥結し、一日おいてトヨタが「昨年を上回る額」で妥結した。このようにして下請けメーカーがあたかも「自主的」に賃上げを協議し、決定したかのように演出したのである。

 第2には「一般組合員」の賃上げ額(賃金改善分)について、会社は「昨年(1300円)を上回る」とだけ発表し賃上げ額そのものを公表しなかった。そして組合はこれを受け入れた。社会性の高い春闘で賃上げ額を公表しないことは独りよがりであり、労使ともに社会に背向いている。大手下請け企業の賃上げ額は、ほぼ昨年同様の1500円という超定額であった。トヨタは賃上げ額を非公表にすることによって、この下請け企業の「トヨタ超え」を演出したのである。この演出は「トヨタを支える関係各社との、格差が、あまりにも開いてしまった」(豊田章男社長)ことを覆い隠すためである。

 第3には、再雇用者や期間従業員などを含む「全組合員の昇給額の一人平均額は11700円(率にして3.3%)」だと発表した。この中には「期間従業員への家族手当の導入」とか、「上級スキルドパートナーの拡大」とか「自主研鑽費用の補助」という賃上げとは到底言えないものを含めている。これらを含めて無理矢理、賃上げ3.3%とすることによって、3%以上の賃上げを要請している安倍政権に形だけ応えて見せ、同時に、「日本のリーデング企業」として、日本の労働者の賃上げを、生活改善には全く結びつかなかった昨年同様の低水準に追い込んだのである。けれどもこれが労働組合の春闘への取り組みだと言えるのだろうか?

死ぬ気で働けというのか
4回に渡って行われた労使協議会の中では、賃上げを巡る交渉はほとんど行われていない。「100年に一度の自動車産業の転換期だ」「生きるか死ぬかの闘いを生き抜くための競争力強化を」「人間力を含めた意識改革を」などの言葉が会社、組合双方から乱れ飛び、トヨタの競争力強化とそのための組合員の意識改革運動として行われたのが今年のトヨタ春闘の実態であったと言える。だがこれは、トヨタへの巨大な収益の増加と引き換えに、従業員にはさらなる長時間労働や労働強化を押しつけ、多発している過労死・自死、傷病を増加させることになるではないか。こうしたことの片棒を担ぐことは、組合として決してやってはいけないことではないだろうか。
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ニッパツ争議解決報告集会

2018年03月12日 16時27分31秒 | 組合創立10周年


 3月12日(日)午後1時30分から愛知県豊田市内にて、日本発条株式会社(ニッパツ)で働く13名のブラジル人労働者が、裁判を闘い企業と和解となって終息した報告会がありました。ブラジル人労働者は2013年から2016年にかけて相次いで雇止めにあい首を切られました。
 17年5月に名古屋地裁岡崎支部の判決では、労働契約上の地位を認める勝利判決でした。しかし双方が控訴して名古屋高裁で争われていました。裁判と団体交渉を並行して進めてきた結果、争議が長引くことを懸念したニッパツは、団交の席上で合意に達したことで、一気に控訴審での和解も進み合意に至ったものです。
 合意内容は、会社側に解決金を支払わせ雇止め期日をもって退職するものでした。ニッパツは契約通りの雇止めであったと主張してきましたが、今回の合意によって、ニッパツは非を認めることとなったのです。
 非正規労働者は、雇用の調整弁として人間扱いされず、雇用の継続を期待させながら、トヨタかんばん方式ではところてんのように人員整理をしてきます。今回の闘いは、人間の尊厳をかけた戦いであり、13名の労働者が団結を崩さず、多くの人たちに支援を受けてたたかったことに勝利の方程式があったと思います。13名の労働者は、異国の地で一生懸命働いてきたのに、理不尽なことに怒りを覚え、JMITUの労働組合に加入して支援を受けてきました。「日本人の仲間が親身になって支援してくれたことに感謝している」との言葉に感銘を受けました。
 この闘いで人として労働者として成長した糧を、社会や仲間のために発揮してほしいものです。

日本発条株式会社
代表取締役社長 茅本 隆司
ばね製品を製造
本社は横浜市
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