全トヨタ労働組合(ATU)

トヨタ自動車および関連企業で働く労働者の企業横断型労働組合です。一人でも加入できます。

トヨタ自動車株式会社に早期解決を求めて決議

2021年09月30日 17時05分23秒 | トヨタ自動車

 全トヨタ労働組合(ATU)は9月26日(日)に、定期大会を開催して2022年度の運動方針を決めました。2006年に結成してから15年となる当労組は企業内労組との違いを鮮明にして、個別問題に重点を置いて働く人たちのいのちと生活と権利を守る取り組みをしてきました。

 とりわけ結成当初から国際連帯活動として、国は違えども同じTOYOTAで働く仲間として、聞き捨てならぬフィリピントヨタ社で起きた237名の大量解雇事件は20年たった今日でも、フィリピントヨタ労組の要請にいまだ日本のトヨタ本社は話し合いのテーブルに就こうとしません。現地フィリピントヨタ労組の組合員の窮状を考えると心を痛めずにはおれません。

 26日に開催した定期大会で、下記の如く「大会決議」をしてトヨタ自動車株式会社豊田章男社長宛で郵送をしました。一刻も早く解決することを念願します。以下原文です。

 

トヨタ自動車株式会社

取締役 社長 豊田 章男 殿

 

トヨタ・モーター・フィリピン社における237名の不当な解雇を取り消し、

早急に解決することを求める

              決  議

 2001年にトヨタ・モーター・フィリピン社内にフィリピントヨタ労働組合(TMPCWA)を結成して会社と団体交渉権を得たことを嫌悪した会社は、無効の裁判を起こして労働組合潰しを企てました。労働雇用省が開催した組合承認の公聴会に年次有給休暇を利用して休んだ233名の組合員を不当にも解雇した事件でした。(その後4名解雇で237名の解雇事件)

 

 貴社は、従来から一貫してあらゆる差別に反対してきた人権尊重の企業であると企業憲章で国内外に表明をしています。しかしなぜ、貴社の現地法人であるトヨタ・モーター・フィリピン社において、21年に及んで237名の解雇事件は放置されているのでしょうか。

 国際労働機関(ILO)はフィリピン政府に対して団結権条約および団交権条約に違反すると7度にわたって批判勧告を行いました。勿論、勧告はトヨタ・モーター・フィリピン社の態度を批判し是正を求めているものです。解雇を取り消し職場復帰させるか、不可能ならば適正な補償金を払って解決することとの「勧告」を実施しようとするフィリピン政府に対し、トヨタがこれを無視(拒絶)し続けている傲慢な態度は、とても「人権尊重」の企業と言えません。 私達トヨタ及び関連企業で働く者で組織している全トヨタ労働組合(ATU)としてこの恥ずべき姿勢を改めるようこれまで再三にわたり求めてきました。

 

 トヨタはオリ・パラで人権尊重を掲げスポンサーのトップパートナー役を努めましたが、その狙いは日頃の人権無視、労働者の自主的な団結嫌悪の姿を覆い隠す恰好付けでしかありませんでした。

 

*トヨタはドゥテルテ大統領の下で強められているフィリピントヨタ労働組合(TMPCWA)解雇者237名と家族に対する殺人を含む弾圧を許容する姿勢を改めよ!

*トヨタはILO勧告を尊重して労働者の団結権・団交権・民主的権利を認め、フィリピントヨタ労組と話し合いのテーブルに就くべきです。

右決議する

 

第18回全トヨタ労働組合(all Toyota labor union)定期大会

 

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TOYOTAが20年も放置する労働争議

2021年09月21日 07時46分38秒 | トヨタ自動車

 

フィリピントヨタ労組支援・愛知行動が行われました

9月19日、20日の両日、フィリピントヨタ労組を支援する会と同・愛知の会はフィリピントヨタ労組支援の愛知行動を、19日は名古屋のミッドランドスクエア前で、20日はトヨタ本社前での抗議集会と、本社申し入れ行動に取り組みました。フィリピントヨタ社による237名の大量解雇から20年、しかしフィリピントヨタ労組の労働者たちは不屈に闘い続けています。しかし、いまフィリピンは重大な危機にあります。ドゥテルテ大統領がコロナを理由に戒厳令を敷き、その下で、いわゆる「超法規的殺害」(罪に問われない職業暗殺者による殺人)が労組活動家、人権活動家に対して吹き荒れているからです。フィリピントヨタ労組エド・クベロ委員長も標的にされています。そのため彼は現在居場所を隠さざるを得なくなっており、日本の支援者との連絡さえ困難になっています。今回も彼は来日出来ませんでした。

この2日間の行動においては、エド委員長の現在の危機には、ドゥテルテ委員長に公用車など多数の贈り物を行って取り入り、取り込んで、フィリピントヨタ労組の弾圧をさせてきたトヨタに大きな責任がある事が多くの参加者によって訴えられました。そしてまた、先日の名古屋高裁で出されたトヨタ社員の過労自死を労災だと認めた判決にも多くの方がふれ、豊田章男社長は被災者家族に誠意を持って謝罪し、従業員への態度を改めていくべきだということも訴えられました。

もしエド委員長が殺害されるようなことがあれば、トヨタの責任は大きく、共犯者のそしりを免れ無いでしょう。私たちATUもこのことをトヨタに突きつけていきましょう。

TOYOTAのOB若月氏は、本社への要請団として、「237名の現況は20年もの間国内で就労につけず窮状のありさまでトヨタは皆殺しをしようとしている。先のソフトボール選手の表敬訪問で名古屋市長がマスクを外してメダルをかじったことに、TOYOTAは選手の心情に(だけではないが)思いを馳せ、抗議書を出しました。河村市長は謝りに来たそうです。日本で支援する私たちも237名の組合員が不当に解雇されたことにと、20年もの長きにわたって、現地のことは現地でとうそぶきTOYOTA本社は放置してきたことに怒り、私たちは「抗議」しているのです。しかも、紳士的に「要請書」を手渡そうとして対応するのは一般社員です。「要請書」は受け取らないと拒否をするなど傲慢な態度は日本の代表的な企業であり、オリ・パラのトップスポンサーでもあるTOYOTAにあるまじき行為です」と早期解決を訴えました。

なお、この愛知行動に先立ち、9月13日に刈谷駅でフィリピントヨタ労組支援を呼びかけるビラを2500枚配布しました。

ATUは引き続き解決するまで国際連帯行動として支援していきます。

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トヨタ社員労災認定高裁判決 逆転勝訴

2021年09月16日 20時36分48秒 | トヨタ自動車

9月16日、トヨタ社員の労災認定裁判が名古屋高等裁判所で午後1時30分から開かれ判決がありました。一審で強度が「中」とされていた精神障害(うつ病)について、裁判長は「客観的に見て精神障害を発病させるだけの(強)度のあるパワハラを受けていた」と「新認定基準」で認定しました。また業務と発病との関係でいうと因果関係があると認める」と指摘し、一審判決を破棄し「労災」として認める判決を下し、「逆転勝訴」となりました。

上告期限は9月30日です。裁判終了後に会場を移して、報告会を(記者会見も行われました)終えた後に弁護士と原告本人と支援する会メンバーで労働局を訪ね「上告しないよう」要請をしました。原告本人はトヨタに「謝罪をしてほしい」と述べていました。

マスコミが企業に対してコメントを求めるとほとんどは「判決文を読んでいませんので」と差し控えるのですが、今回ネットニュースを見ると、トヨタ本社は「ー会社として手を差し伸べることが出来なかったことは反省すべきで、風通しの良い職場風土を築くよう努力を続けるー」とコメントしたようです。

トヨタに対して、資料等の情報を求めても「黒塗りであったり、白抜きであったり」で手を差し伸べてこなかったことへの反省なのか、いずれにしても手際よくコメントを発表したことは評価しても良いかなと思います。

ただトヨタ社長の思いは空回りしていると思わざるを得ません。まだまだ自己保身に走るばかりに「ハラスメント」をやってはならない意識の薄い管理職或いは監督職がいるのです。

今回の裁判の特徴は、長時間労働により過労で死んでしまったと言うものではなく、アメリカ発リーマンシヨックにより経費削減で「人員を削減する」「残業は一切禁止」でした。しかし開発業務の手を緩めることはなく、短時間或いは短期間で業務を進めなければならないジレンマに置かれ、業務の負荷が重くのしかかり、身体的・精神的に追い込まれているところに、同僚の前で大きな声を張り上げて業務の進捗状況をなじるなどのパワハラが横行していたのです。

トヨタ生産方式は「ムリ」「ムラ」「ムダ」を無くし秒単位で生産時間を短縮することを日常の業務として行われ、効率よく生産し最大の利潤を得る目的としています。ですから、業務に従事する労働者の能力・技能力は皆同じで同じようにできるとみなされています。がどっこい、それでは人事評価はと言うと、絶対評価ではなく、相対評価です。

2016年に「技能発揮考課・技能発揮給制度」なるものを導入して、技能職メンバー(労働者)の日々の働きぶりを毎月評価し加点方式で上げたり下げたりと賃金に反映させることでモチベーションを上げていくという狙いです。つまりアメとムチで働かせ過酷な労働をさせているのです。

今回の裁判は、トヨタにおける「働き方」「働かせ方」「労務管理の在り方」「人間尊重」の観点から業務の在り方を見直すきっかけになるよう働きかけていかなければなりません。

もう一つの裁判で、トヨタ自動車を相手に「損害賠償請求」裁判を名古屋地裁にて行っています。次回の裁判は11月17日(水)に行われます。皆さんのご支援を引き続きお願いします。

 

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