「Law&Order」が好きだ!!(邪道にて)

海外ドラマ「Law&Order」が好きです。
とにかく叫びたいので、ブログに叫びます。

SW IN 『Friendly Fire 』<2>

2014-02-01 16:20:43 | SW
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続きです


マレン家で話し合う3人。自分の考えを伝えるブライアン。
しかし、それはジーンとペグの期待を裏切るものだった。

陰謀も隠匿もない。誰かの出世の意図もない。

(原作本から抜粋)

・・・中佐の名前で送られてきた最初の手紙の写しを見つけた。
 そして読み上げた・・・
「マイクルの部隊は、手紙に書かれている通り 夜間防御後陣地にいました。
 部隊は
 『敵との接触に備え、予定される砲弾の射距離を調整』していたのです。
 マイクルは
 『砲弾が予想目標より近くに落下し、マイクルの位置の近くで爆発したため
  マイクルは致命傷』を受けました。
 たしかに、最小限の事実しか伝ええてられていませんが、
 ここに書かれていることは事実でした」・・・・

納得できないジーンとペグ。
もう何かに憑かれたように、質問を投げつけるジーン。
一つ一つ納得してもらおうと、答えるブライアン。

もうブライアンは、分かっていたのだ。
ジーンとペグは、自分達の作った話、都合の良い話しか受け付けないのだと。
そして、それは2人も、十分承知しているのだということを。

詳しく書くと、マイクルの死は、
射程が短くなったことだとされています。
これは、射撃指揮所にいた中尉が、計算ミスを犯したのが原因だと。
マイクルの部隊の布陣していた丘の上の木の高さを計算に入れなかった。
砲撃した兵士は、送られてきた計算通りにした。
砲弾が木に当たり、炸裂した砲撃の破片が眠っているマイクルの身体に・・・
これが、死をもたらしたものだった、と。
計算ミスを犯した中尉は、譴責処分を受けた。軍法会議ではなかった。

ここで、注目して欲しいのは、
著者であるブライアンが、登場人物となっている点です。
この事について、著者自身が本文で語っています。

(原作本から抜粋)
長文なので、要所を抜き出します。 

「・・・私はこの本に登場したくなかった。
 ただジャーナリストとして、偏見をもたず、冷静に、
 あらゆる事実を受け入れたいと思っていた。
 この戦争の悲劇を描き出す唯一の機会は
 自分は最初に意図したように、政府に対する人心の離反、
 日増しにつのる頑な思い込みと不信を説明する唯一の方法は
 焦点を絞ることにあると思っていた。
 ・・・マイクル・マレンの死に焦点を絞り
 この孤立したアイオワの一農家の物語に注意を集中することにより
 私は何とかして全体を包括したいと考えた。

 だが、やがてわかったのだが、この手法はジャーナリストのものではなく
 小説家のテクニックだった。
 このことから、必然的に、私自身がマレン家の物語に参加し、
 そこに割り込まざるを得なくなっただけでなく、
 私がいま味わっているような深い悲しみと失意がもたらされることとなった・・・」

そして、中佐について思い違いをしていると言う自分に対し
マレン夫妻が、自分を信用できるか分からなくなってしまい
真実を隠そうとする陰謀に加担しているのではないかと疑心暗鬼になっている。
そういう見解も書かれています。

そして・・・(原作本から抜粋)

「・・・(夫妻は)息子と同様、またこの国と同様に
 戦争の犠牲者となったのである。
 そして、この私の悲しみは、自分が何を言い、また何を書こうと
 それを変えられないことが分かっていることから生まれていた。
 それは、マレン夫妻が何を言い、何をやっても、
 彼らの息子を生き返らせることができないのと同じだった・・・」

この作品は、反戦ものと言えるのかもしれないが、
単に戦争や国を非難している訳ではない。
また、マイクルの死に対して誰に責任があるのか、を問うものでもない。
では、何なのか?
これは抜粋文の最後の言葉
「彼らの息子を生き返らせることができない・・・」だと思います。

多く人々が帰ってこない。
この現実を訴える作品だと思っています、私は。

このマレン夫妻とブライアンの言い争いは、激しい描写です。
原作本では、ジーンがテーブルを叩く音が、(バン!)(バン!)と
言葉の間間に書かれています。激しさが伝わってきます。
ドラマでは、当然もう怒ってるのが分かる。
ペグも、非難の表情で、ブライアンを睨みつけている。
ブライアンも、声を荒げてはいるが、決して怒ってはいない。
表情から、分かって欲しいという思いと、どうして分かってくれないんだという当惑、
そして自分の非力を悲しむような、そういう複雑な表情を見せています。

それまでは、本当に親子のような描写だったのですが。

そして悲しいのは、マイクルが戻らないという現実。
それを受け止めようとしても、できない両親。
受け止める手助けをしたかったのに、叶わなかった男。

ここで、物語は悲しさで溢れてしまいます。悲しい話だったんだ・・・という感じで。

私は2度読みましたが・・・
再読すると、もうマレン夫妻の活動が、悲しさにしか読めなくて。
そして、この作品は実話を取材したものであると同時に
小説としての手法も取り入れる結果となってしまった。著者が言うように。
それが、
マレン夫妻の心情を、より鮮やかに伝える事につながっているように思えます。
だから、人の心に訴える力が、強くなったと。

さて、物語はその後・・・原作では・・・
夫妻とブライアンは、喧嘩別れのようになってしまいます。
しかし・・・翌日再び訪れたブライアンを夫妻は受け入れます。

その時に電話が・・・ある見知らぬ女性からの電話。
ペグが対応します。
そしてジーンがブライアンに説明します。
息子を戦争に送りたくない母親が相談に連絡してくる。
ペグは、どうすれば良い方向に進むのかアドバイスし
関係機関の連絡先を教える。
また息子や夫が戦死したという母親や妻からも連絡が来る。
ペグは話を聞き、慰め、必要とあれば援助機関を教える。

ペグも話を終えて、会話に加わる。
そしてジーンはいきなり涙を流す

「いつまで、こんなことをやっていられるだろうか?」

ペグも泣き出す。

「・・・私は、ひとりごとを言ったものです。
 神様、私はずっとこんなことをして、自分の余生を送るのでしょうか?」 

その後、ジーンとブライアンは、マイクルの墓参りに・・・これで終わりです。

ドラマでは、気まずく分かれた翌日
マレン夫妻はマイクルの墓参りに。
そこに到着したブライアンを受け入れ、共に墓へ・・・で終わりです。

原作とドラマ、挿入場面は異なりますが
マイクルの死亡時の全容が、再現で語られます。

私は、素晴らしい作品だと思います。
死者は二度と帰って来ない、ということを伝える作品。
悲しい悲しい当たり前のことを、伝えている作品。
もうこれで十分じゃないの!ってことで。
私の好きなテーマであり、描写ですね。

さて!SWは・・・・?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続きます
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