今日は青空が澄んでいて穏やかな日だった。作品用にと溜め込んでいた “ 拾い物 ” に少し手を入れて、完成した一つがこのボックスである。箱は壊れた古い柱時計で、内部には白い水性ペンキを二回塗った。机の上に飾って見た。壊れた古時計を買った時点で作品タイトルは決まっていて、「 亡き婦人のためのパヴァーヌ 」 と付けていたのである。フランスの作曲家モーリス・ラベル ( 1875-1937 ) の高雅にして感傷的なピアノ曲集からの引用である。箱の中には、急流に沈んでいたトビ色の小石と古いカクテル・グラスを婦人へのササヤカな供物とした。左の細い金属棒を上に少し押し上げると、小さなハンマーが下に長く延びている二本の真鋳の鐘を叩き、これを運命への弔鐘とするのである。婦人の青く柔らかい襟巻きは、今日という日の澄み切った青空である。