乳房の季節

2017-05-23 | 日記

    

     

昨日は一日中かかって縁側の簾を、この薄青色のブラインドに替えた。夏の強い日差しに室内がとても暑くなるから、遮光機能を持つというブランドのブラインドに交換した。簾も長年使っていると破けたりしていて、日除けになっていなかった。積年の思いだったが、重い腰をやっと上げて交換したのだった。今朝の起きがけには腰がヤケに痛かったが、ま、痛みには替えがたいものがあって良かった。ブラインドの今朝の写真である。この数日は暑い日が続いていて、もう夏の日差しが来ている。六月を待たずに更衣(ころもがえ)である。

未明の床の中で丸谷才一(1925-2012)の本を読んでいて、西東三鬼(1900-1962)の句「おそるべき君等の乳房夏来(きた)」というのが紹介されていた。丸谷は「これは言ふまでもなく女体を歌ふ。女の体を恐れかつあこがれる。あるいはマンジュウ怖いみたいなもので、熱烈に求める。夏は恋情をそそり、高め、男女の仲を乱れさす。これは大兄も(いまこのページを読んでるあなたです)身に覚えがあるでせう」と言う。更衣は女性の乳房がいよいよ隆起する季節なのだ。萌え出づる乳房よ畏み畏み恐るべし、である。昔読んだ西脇順三郎の詩に「アン・ヴァロニカ」というのがあった。生物学の教授とアンはアルプスへ駆け落ちをする一週間前に、彼女は自分の故郷の家に別れに来ていた。恋の心で一ぱいになった彼女は懐かしい庭を見ながら、そして鬼百合の花びらを口にしながら、髪を細い指でかきあげながら言うのだ、「肉体も草花もあたしには同じだわ」。

脈絡のない話になったが、ブランドのブラインド、乳房のブラ、そしてヴァロニカの駆け落ち。やっぱり夏が近づくとトタン屋根が熱くなってどうしようもないように、頭もどうしようもなくなってしまう。