奇祭 “ 裸押合まつり ”

2014-02-08 | 日記

今夜、村の巣守神社 ( すもりじんじゃ ) で “ 裸押合まつり ” がある。その準備中である。社殿の中で裸の男たちが今年の五穀豊穣を願い、押合いながら、バラ撒かれる景品名が書かれた有り難いお札 ( ふだ、と読む。ここでは、さつ、とは読まない ) を奪い合うのである。奉納の大きな蝋燭に火が点くと、この急勾配の石段を武者震いの裸男たちが社殿へと駆け上がって行く。石段はまた参拝の人々をも一夜の結界へと誘うのである。

 

     

景虎を従えて龍頭の清水が満たす大きな石の水瓶に、押合いの途中、熱気を冷ましにあるいは心機一転をかけて男たちは飛び込んで身を清めてから社殿にまた駆け登って行く。真冬の中の寒々しくも熱い光景である。その水瓶の脇には、首の付け根が補修された石造の不動尊が剣を構えて、痛ましくも静かに立っている。御賽銭はあまり、ない。お面を売る露天も出ている。静寂の鎮守の森は今夜だけは賑わう。