みちあき神父のふぉと日記

カトリック教会の司祭です。日記のテーマは「がんばらない―Take it easy―」。ここで、ひと息ついてくださいね。

三浦のトンビの物語

2012-08-13 20:20:00 | Everyday is special
これは7年ほど前に、三浦の修道院であった本当のお話・・・。

あるとき、修道院の番犬風子(フーコ)が、やぶの中に動く小さな生き物を見つけました。
それは、巣から落ちてしまったトンビのひな。
巣に返すこともできず、シスターたちが引き取って育てることにしました。

名前はピーコ。トンビの鳴き声から付けられました。

しかし、野生のひなを育てるのは難しいこと。
最初の3日間ほどは何も口にしなかったそうです。
いったい何を食べるのか。
シスターたちはミミズやら肉やらちくわなど、いろいろと試してみたところ、ようやく生のイワシなら食べることを発見しました。

人間に拾われたひなのことを、親鳥はしっかり見ていました。
その親が、魚やスズメを、何回かベランダの近くに落としていったそうです。
しかも、スズメは、ひなが食べやすいようにと内蔵も少し出してある。
「これを食べさせてやってください」と、言っているかのようでした。

そのうちに大きくなって、車にひかれたヘビも食べるほどに。
だんだん少し飛べるようになり、まずは車の上、そのうちに屋根の上まで行けるようになりました。

巣立ちの前日、ピーコは仲良くなった番犬のフーコの目の前に行き、クチバシをフーコの鼻の前に差し出しました。
フーコは前足でピーコを押さえつけましたが、大丈夫。これも仲良しのしるし。
シスターが言うには、おそらく巣立ちのあいさつだったのでは、とのこと。
じっさい、その翌日にピーコは巣立ちました。

と言っても、まだ完全な巣立ちではなく、修道院の聖堂脇の木にとまって、親鳥からえさをもらっていたそうです。
数日後、いよいよ巣立ったか、と思っても、2階のベランダにとまってはシスターにえさをねだって、もらったこともありました。

そして、元気に巣立っていきました。

その後、魚やスズメが修道院の玄関前に3日ほど続けて置かれていました。
きっと、ピーコがお礼に持ってきたのだろうと、シスターたちは言っていました。

これは、ピーコの恩返し。

7年経った今も、ピーコとその家族の群れが、修道院の周りにやってきます。
シスターたちが生のイワシを置くと、群れの一羽一羽がヒューッと飛んできて、器用に足で取っていきます。

トンビが、これほど人間になついているのを聞いたことがありません。
(育てている頃ですが、外でシスターの腕にとまっているピーコの写真もあります。)

トンビの親子の絆の深さを感じると同時に、トンビと人間との間の友情のようなものを感じました。
(絵本になりそうなお話ですね。・・・シスターの許可なしに作らないでね。)

写真は、そのトンビがエサを取る瞬間。
上の写真から連続でどうぞ。







連写で撮った写真を、少しトリミングして大きくしています。シスターに撮ってと頼まれて、なんとか撮れて、よかったです。
何度か何枚も撮りました。
カメラは愛用のリコーのGR Digital (4)。(GR BLOGトラックバック企画「動」に参加。 )


おまけは、フーコの写真。(クリックすると大きくなります。)