ボロボロになる同僚

人手の足りない施設に応援に駆り出された私と同僚は、早く元の施設に戻りたい。と、思っています。
私は、介護の経験が浅く雑用ばかり任されているのですが、それなりの経験を積んでいる同僚は戦力として活躍しています。

いくら食が細いご老人と言っても一人の人間なので、体を持ち上げるにしても重労働です。
それで、同僚は腰をいわしてしまったんです。
「腰が痛いから別の仕事を任された。」と、言っていたのですが、やっぱり人手が足りない施設なので、元の仕事に戻されてしまったんです。
かなり過酷な仕事です。

つい最近、彼女がこけた。という噂を聞きました。
両膝をついてしまって、かなり痛かったのでしょう。
もうご老人を持ち上げることもできないようなのです。
だんだんボロボロになっていく同僚を見て、「私は、同じ仕事を任されなくてよかった。」と、ちょっとだけ胸をなでおろします。
しかし、私もかなりハードな仕事を任されているのです。
ハードというより、スピードを要求されるのです。
これにはまいりました。
根っからののんびり屋の私は、スピードが出ないのです。
二人してボロボロになっていくようで、怖さを感じます。

できるなら早く元の施設に戻りたい。その一心で今までいたのですが、なかなか呼び戻してくれないのです。
「コロナが終息すれば。」と、前の所長が話してくれたんですが、今の所長は名前も知らないのです。
どんな気持ちでいるかまで知る由もないのです。
当てにしてはいけない。と、思ってしまう二人です。