書斎

家の片隅に工業用のミシンがあったのですが、どうも壊れていることと、もう使うこともないので、廃品回収に出しました。
ミシンもそれなりに大きかったのか、ミシンのあった場所はガランと空きました。
すると、その場所に机を置く。と、父がいうのです。
「ここに机を置いて、俺の書斎にする。」と、えらそうに宣言してました。
せっかく綺麗に場所が空いたのだから、そのままにしておいて、時々置き場のない物を一時的に置く。というスタンスにすればいいのに。と、思うのです。
そういえば、3階にも、2階にも自分で作った机を置いて書斎として使っている父です。
「どれだけ書斎がいるんだ。」と、思うのです。
そこで仕事をするわけでもないし、読書や趣味などに没頭するわけでもないのです。
ただ、机を置きたいだけなんです。
男って、陣地を欲しがるものなんですね。

たぶん、ミシンのあとに書斎にしても、夏は暑いし、冬は寒いので、結局、茶の間に居座って使えないパソコンを指一本でパチパチしているだけなんです。
父は昔、自分の部屋のない子供時代を過ごしました。
だから、個室が欲しいのです。
でも、根っからの寂しがり屋なので、人のいない場所がつまらないのです。
わかっているけど、なんか、変に「書斎。書斎。」と、言われるのが腹が立ちます。
出来るなら、何か一つにでも没頭する趣味を持て。と、言いたい。
それなら、書斎でもなんでも、くれてやる。のです。
私は家具を極力置きたくない人間なので、広く家を使いたいんです。
「書斎が欲しいなら、弟の家へ行って、好きなだけ机を置け。」と、心でつぶやくのです。