最近の倒産を注意してみると、東日本大震災によるもの、円高の影響につづいてデリバティブ取引が結構多いことに気づきます。
デリバティブ取引による倒産は、取引銀行から勧めがあったものを、その取引が持つリスクを充分に理解しないまま契約をしてしまい、多額の損害を被ったものが多いと聞きます。
融資などによって支えてくれている銀行からの勧めなので、ある意味で安心しながら安易に契約というケースも多かったはずです。
2004年ごろから2010年9月まで、メガバンクが中心となって日本中で販売された「為替デリバティブ」の被害はこれから表面化するのかも知れません。
実際には6万件以上が販売されたそうですが、その後の急激な円高によって損害額はますます大きくなってしまった可能性もあります。
銀行はあの不動産バブルの時代に取引先に不動産投資を勧めたり、ゴルフ会員権投資を勧めたりして、多くのお客様に大損害を被らせた前科がありながら、銀行の収益確保という目標のもとに「為替デリバティブ」を販売していたというのですから、まったくバブル時の反省がなかったと言ってもよいのでしょう。
もちろん契約をした当事者に責任があることは当然ですが、銀行員が勧めてくれるのだから間違いないだろうという顧客側の信頼感に乗じた売り込みに問題がないとは言えません。
私は元銀行員でしたので、この手の話にはまったく興味がなかっただけでなく、「そんな商品はお客をだますことにならないの?」と質問したこともありました。
その損害によって本業とはまったく関係のない倒産が増えてしまうことが残念だと思っています。