関東周辺の温泉入湯レポや御朱印情報をご紹介しています。対象エリアは、関東、甲信越、東海、南東北。
関東温泉紀行 / 関東御朱印紀行
■ 希少な札所印
2022/06/21 UP
2021/09/18 UP
追記しました。
以前UPした記事をひとつにまとめました。
今後、追加していきます。
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札所巡りで御朱印をいただく場合、ふつうは当然いただきたい霊場を告げて授与をお願いするのですが、いまは廃れてしまった霊場の場合はあえて告げないことが多いです。
例えば廃れてしまった観音霊場で観音様が御本尊でない場合、もはや観音様の御朱印はお出しになれないケースが多く、無理に観音霊場の御朱印をお願いするとややこしいことになりかねません。
こういう場合は「ご朱印をいただきたい」旨だけを告げ、あとはお寺さんに委ねます。
とくに、東京下町の場合、廃れた複数の霊場(場合によっては10近くも)の札所となっているお寺さんも多く、よけいに霊場限定でお願いするのがむずかしい状況になっています。
このような札所の御朱印はその内容が楽しみ。
尊格は御本尊で札所印なしの場合が多いですが、思いがけない尊格や札所印をいただける場合もあります。
そんなことで、今回はとくに希少な札所印が捺されている御朱印をご紹介したいと思います。
※ここでご紹介した寺院の多くはメジャーな札所ではありません。ご不在で御朱印拝受できなかったり、現在御朱印授与を中止されている可能性もあります。
01.江戸東方四十八地蔵霊場
瑞松山 栄隆院 霊光寺
墨田区吾妻橋1-9-11
浄土宗
御本尊:阿弥陀如来
札所:〔江戸東方四十八地蔵霊場第40番〕、隅田川二十一ヵ所霊場第17番、新葛西三十三観音霊場第24番、墨田区お寺めぐり第22番
札所本尊:元日地蔵菩薩
古い霊場で、現在は他所ではほとんどいただけないのでは?
御本尊の阿弥陀如来と札所本尊の地蔵菩薩、そして「江戸東方四十八所四十番札所」の札所印が捺されています。
02.荒綾八十八ヶ所霊場/荒川辺八十八ヶ所霊場
草堂山 地福寺
足立区江北2-41-2
真言宗系単立
御本尊:地蔵菩薩
札所:〔荒綾八十八ヶ所霊場第72番〕、〔荒川辺八十八ヶ所霊場第22番〕
札所本尊:地蔵菩薩
こちらは御朱印授与が微妙なふたつの霊場札所を兼ねています。
このふたつの霊場を兼ねる札所は少なくないのですが、どちらかというと荒綾単独のケースが多く、荒川辺併記はめずらしいと思います。
御本尊の地蔵菩薩で、「荒川辺二十二番、荒綾七十二番」の札所印が捺されています。
03.荒川辺八十八ヶ所霊場(メジャー霊場との併記の例)
大悲山 観音寺 華蔵院
荒川区東尾久8-46-2
真言宗豊山派
御本尊:聖観世音菩薩
札所:〔荒川辺八十八ヶ所霊場第11番〕、〔豊島八十八ヶ所霊場第54番〕
札所本尊:聖観世音菩薩
豊島八十八ヶ所霊場の御朱印をお願いしたところ、荒川辺霊場とペアになった印判を捺していただけました。
御本尊の聖観世音菩薩で、「豊島八十八ケ所第五十四番」と「荒川周邊八十八ケ所第十一番」の印判が捺されています。
「荒川周邊」は「荒川辺」の別表記と思われます。
04.南葛八十八ヶ所霊場(いろは大師/大心講)/東三十三観音霊場
明王山 不動院 寳性寺
葛飾区堀切2-25-21
真言宗智山派
御本尊:不動明王
札所:〔南葛八十八ヶ所霊場(いろは大師)第60番〕、〔(京成)東三十三観音霊場第4番〕、荒綾八十八ヶ所霊場第12番、荒川辺八十八ヶ所霊場第62番、隅田川二十一ヵ所霊場第8番
札所本尊:不動明王
南葛八十八ヶ所霊場(いろは大師/大心講)も比較的古く、御朱印拝受がむずかしい霊場です。
こちらではこの南葛霊場札所印のみならず、希少な東三十三観音霊場(昭和十年京成電車が企画した霊場)の印判もいただけました。
御本尊の不動明王で、「南葛八十八ヶ所いろは大師第六十番」と「東第四番」の印判が別個に捺されています。
こちらは他に荒綾八十八ヶ所霊場12番、荒川辺八十八ヶ所霊場62番、隅田川二十一ヵ所霊場8番の札所も兼ねていますが、霊場を申告せずにお願いしたところ、この御朱印を拝受できました。
なお「南葛八十八ヶ所霊場」は2系統あります。
1.「いろは大師」(大心講)と呼ばれ、発願は葛飾区奥戸の善紹寺、結願は葛飾区奥戸の妙厳寺
2.通称名は不明。発願は江戸川区東小松川の善照寺、結願は江戸川区東小松川の宝積院
(2については、「南葛新四国霊場」と呼ばれることもあるようです。)
一部の札所は重複し、このふたつの南葛霊場の識別をよりむずかしいものにしています。
たとえば、「いろは大師」の葛飾区鎌倉の札所は「南葛八十八ヶ所まんだら六ヶ所参り」として、毎年11月下旬の1日のみ御開帳(というか巡拝)されます。
この6札所のうち、浄光院(1.では第14番、2.では第55番)、輪福寺(1.では第17番、2.では第56番)は札所が重複していますが、「六ヶ所参り」では、1.の「いろは大師」の御朱印が授与されます。
■「南葛八十八ヶ所まんだら六ヶ所参り」の御朱印
どちらも御朱印拝受がむずかしいですが、「1.いろは大師」の方が授与札所は多そうです。(調査中)
05.上野王子駒込辺三十三観音霊場
思惟山 浄業三昧寺 正受院
北区滝野川2-49-5
浄土宗
御本尊:阿弥陀如来
札所:〔上野王子駒込辺三十三観音霊場第4番〕、北豊島三十三観音霊場第23番、滝野川寺院巡り第14番
札所本尊:
江戸時代成立の古い観音霊場で、この霊場での御朱印授与例は少ない模様。
「上野王子駒込辺三十三観音霊場」というのは通称で、『江戸歳事記 4巻 付録1巻』(国立国会図書館DC)には「上野より王子駒込辺西国の写三十三所観音参」とあります。
こちらは第4番札所で拝受した御朱印。
尊格は御本尊の阿弥陀如来で霊場名はないですが「西國四番寫」の印判が捺されています。
観音霊場の御朱印で尊格が阿弥陀如来となる例は、浄土宗寺院の多い行徳・浦安三十三観音霊場などでもよくみられます。
この霊場の御朱印を出されている札所様はいくつかありますが、拝受時には「西国霊場の御朱印」と申告したほうが通りがいいようです。
06.大東京百観音霊場
補陀洛山 千手院
台東区根岸3-12-48
真言宗豊山派
御本尊:千手観世音菩薩
札所:〔大東京百観音霊場第28番〕、荒川辺八十八ヶ所霊場第88番、江戸東方三十三観音霊場第29番、御府内十三仏霊場第11番(阿閦如来)、根岸古寺めぐり第6番
札所本尊:千手観世音菩薩
渋い寺院を含む札所数の多い霊場ですが詳細不明。他霊場との重複も多く、この霊場の印判例は少ないとみられます。
こちらは荒川辺八十八ヶ所霊場88番、江戸東方三十三観音霊場29番、根岸古寺めぐり6番などを兼ねていますが、いずれも現役のメジャー霊場でなく、また、御本尊が観音様ということもあって、大東京百観音霊場が代表札所として表されたのではないでしょうか。
御本尊の千手観世音菩薩で、「大東京百観音第二十八番」の印判が捺されています。
07.世田谷三十三ヶ所観音霊場
大澤山 龍雲寺
世田谷区野沢3-38-1
臨済宗妙心寺派
御本尊:釈迦牟尼佛
札所:〔世田谷三十三ヶ所観音霊場第17番〕、玉川東組三十三ヶ所霊場(写坂東)第24番
世田谷区内の名刹が名を連ねる霊場ですが詳細不明で、御朱印対応なしの札所も多い模様。
またいただけたとしても別のメジャー霊場や札所印なしのケースが多いですが、こちらでは札所印入りの御朱印を拝受できました。
御本尊は釈迦牟尼仏ですが、御朱印尊格は札所本尊と思われる聖観世音菩薩で、「世田谷区内第十七番」の印判が捺されています。
08.下総三十三観音霊場
豊谷山 観音寺
千葉県流山市木1421
真言宗豊山派
御本尊:十一面観世音菩薩
札所:〔下総三十三観音霊場第28番〕、江戸川八十八ヶ所霊場第64番、同84番
札所本尊:十一面観世音菩薩
上総や安房の観音霊場にくらべるとマイナー感があり、御朱印もいただきにくい霊場です。
通称(長谷観音)と「下総第廿八番」の印判が捺されています。
09.新四国相馬霊場八十八ヶ所霊場
紅龍山 東海寺(布施弁天)
柏市布施1738
真言宗豊山派
御本尊:大弁財天
札所:〔新四国相馬霊場八十八ヶ所霊場第68番〕
札所本尊:大弁財天
柏市、我孫子市、茨城県取手市などを回る地域限定的な霊場。
布施弁天は関東三弁天に数えられる大寺ながらメジャー霊場に参画していないので、このローカルな霊場を大切にしている感じがします。
こちらでいただける布施薬師堂の御朱印にも相馬霊場の印判が捺されています。
御本尊の大弁財天で、「相馬第六十八番」の印判が捺されています。
10.上総国天羽作札薬師如来霊場
十宮山 薬王寺
千葉県富津市竹岡9
真言宗智山派
御本尊:薬師如来
札所:〔上総国天羽作札薬師如来霊場第12番〕
札所本尊:薬師如来
この霊場はまったく知らず、お寺さんに伺ってはじめて知りました。
寅年開帳のご開帳霊場らしいですが詳細不明。
こちらはこの霊場のみの札所で御本尊が薬師如来ということもあって、例外的にこの霊場の御朱印をいただけるのではないでしょうか。
御本尊の薬師如来で、「作札第十二番」の印判が捺されています。
11.奥多摩新四国霊場八十八ヶ所
別所山 西光院 金仙寺
埼玉県所沢市堀之内343
真言宗豊山派
御本尊:阿弥陀如来
札所:〔奥多摩新四国霊場八十八ヶ所第66番〕、武玉八十八ヶ所霊場第34番
札所本尊:千手観世音菩薩・弘法大師
東京都奥多摩エリアから埼玉県の飯能、狭山、入間、所沢にかけて札所が点在する昭和九年開創と伝わる弘法大師霊場。
御朱印帳への書き入れは難しそうですが、冊子タイプの専用納経帳が入手できればこちらに印判を捺印いただくかたちとなり、手数的には拝受しやすいと思います。
ただし、所在不詳の小さなお堂もあり、朱印所が個人宅のところも多いので、ナビでは歯が立たず嗅覚が求められることも。
お寺の境内で札所本尊と並んでおわされるお大師様のお堂をみつけると、無性に嬉しくなる。
札所本尊の千手観世音菩薩で、御寶印、寺院印と「奥多摩新四国第六十六番」の札所印が捺されています。
専用納経帳には、千手観世音菩薩と真如親王様のお大師様のおすがたと札番「新四国第六十六番」が印刷されています。
12.足立百不動尊
鶴林山 不動寺 正覺院
埼玉県戸田市中町2-14-3
真言宗智山派
御本尊:不動明王
札所:〔足立百不動第40番〕、北足立八十八箇所霊場第83番、北足立二十一ヶ所霊場第11番
札所本尊:不動明王
開創時期不明。川口市、さいたま市、戸田市、蕨市に札所を配する不動尊霊場。
多くは小規模なお堂のようですが寺院が札所の場合、札所印をいただける場合があります。
営々と酉年ご開帳が続けられている貴重な霊場です。
御本尊の不動明王で、御寶印、寺院印と「足立四拾番」の札所印が捺されています。
■12年に一度の御朱印 ~ 足立百不動尊 ~(2017/4/16~4/28)
13.武州葛飾坂東三十三観音霊場
高埜山 全長寺
埼玉県北葛飾郡杉戸町下高野443
曹洞宗
御本尊:聖観世音菩薩
札所:〔武州葛飾坂東三十三観音霊場第17番〕、日光街道すぎと七福神(布袋尊)
札所本尊:聖観世音菩薩
明和五年以前の開創との情報がある古い観音霊場で、埼玉県北東部の春日部、杉戸、幸手、久喜の各市に札所が点在していますが、廃寺も多く御朱印拝受例は多くない模様。
「新坂東三十三所」とも称され、武州葛飾西国三十三観音、武州葛飾秩父三十四観音とともに武州葛飾郡百観音を構成しています。
御本尊の聖観世音菩薩で、三宝印、寺院印と「新坂東三十三所第拾七番」の札所印が捺されています。
14.入比板東三十三観音霊場
青龍山 最勝寺
埼玉県入間郡越生町堂山287
真言宗智山派
御本尊:十一面観世音菩薩
札所:〔入比板東三十三観音霊場第27番〕、武州八十八霊場第15番、越生七福神(福禄寿)
札所本尊:十一面観世音菩薩
享保年間開創とされる古い霊場ですが、無住のお堂がメインで廃寺もあり、御朱印拝受が比較的むずかしい霊場。
ただ、いくつかの寺院で管理されるお堂の御朱印も授与されるケースもあるらしく、完全に廃れたとはいえない状況のようです。(どこかのお寺さんで復興の動きがあるともきいた。)
御本尊の十一面観世音菩薩で、三寶印、寺院印と「入比板東二十七番」札所印が捺されています。
15.行田救済菩薩十五霊場
延年山 安楽寺
埼玉県行田市埼玉4977
臨済宗建長寺派
御本尊:聖観世音菩薩
札所:〔行田救済菩薩十五霊場第14番〕、忍領西国三十三観音霊場第4番
札所本尊:聖観世音菩薩
平成4年開創とされる、行田市14、鴻巣市1の計15箇寺からなる比較的あたらしい霊場。
救済菩薩の霊場ながら札所本尊は多彩。
忍領西国三十三観音霊場や忍秩父三十四観音霊場の流れを受け継ぐ霊場かとも思いましたが、重複する札所は意外に少なく、むしろ忍城下七福神との重複札所が目立ちます。
御本尊の聖観世音菩薩で、御寶印と「救済菩薩第十四番」の札所印が捺されています。
16.上野国順礼札所三十四カ所霊場
貞枩山 崇徳寺
群馬県安中市松井田町松井田325
臨済宗妙心寺派
御本尊:釈迦牟尼佛
札所:〔上野国順礼札所三十四カ所霊場第14番〕
札所本尊:聖観世音菩薩
徳川時代中期に上州西毛地区に設定されていた百観音霊場のひとつという情報がありますが、現在、霊場としての活動は止まっているようです。
事前に札所の認識はありましたが、札番を揮毫いただけるとは思わず、ありがたいことでした。
札所本尊の子育聖観音菩薩で、三寶印、寺院印の捺印、そして「上野十四番札所」の揮毫があります。
17.南毛三十三観音霊場
龍田山 光徳寺
群馬県藤岡市藤岡2378
曹洞宗
御本尊:釈迦牟尼佛
札所:〔南毛三十三観音霊場第33番〕、西上州ご朱印めぐり第9番
札所本尊:馬頭観世音菩薩
西毛エリア、藤岡市から南の地域を巡る昭和57年に開創されたといわれる観音霊場で、「多野藤岡三十三観音霊場」とも呼ばれます。
比較的新しい霊場ですが知名度は高くないようで、不在率も高い模様。
札所本尊の馬頭観世音菩薩で、三寶印、寺院印と「南毛霊場 多野藤岡第三十三番」の札所印が捺されています。
篆書体の揮毫が素晴らしい御朱印です。
18.東上州三十三観音霊場
終南山 見松院 善導寺
群馬県館林市楠町3692
浄土宗
御本尊:阿弥陀如来
札所:〔東上州三十三観音霊場第5番〕、関東十八檀林(16)、館林七福神(毘沙門天)
札所本尊:千手観世音菩薩
東毛エリア、館林市、太田市、板倉町、桐生市などを巡る観音霊場。館林市、太田市、桐生市ともに寺院の多いところ。
地味な霊場ながら納経対応は比較的しっかりとしている模様で、この霊場が御朱印的な多彩さを添えています。
朱印尊格は六字御名号で、三寶印と寺院印、そして「東上州観音霊場第五番」の札番表記があります。
観音霊場の御朱印で尊格が阿弥陀如来や六字御名号となる例は、浄土宗寺院の多い行徳・浦安三十三観音霊場などでもよくみられます。
19.伊勢崎佐波観音霊場
瑠璃光山 無量寺 愛染院
群馬県伊勢崎市境461
真言宗豊山派
御本尊:愛染明王
札所:〔伊勢崎佐波観音霊場第31番〕、上州新四国八十八ヶ所第11番
札所本尊:千手観世音菩薩
伊勢崎市、佐波郡に集中する観音霊場。兼務寺や個人宅納経もありますが、御朱印授与の体制は比較的しっかりしている模様。
また、上州新四国八十八ヶ所との重複札所が多く、大日如来、不動明王などのご本尊と札所本尊である観音様の御朱印を拝受できるお寺が目立ちます。
東毛エリアは複数の霊場が重複し、とくに太田市、伊勢崎市などは関東屈指の御朱印エリアとなっています。
札所本尊の千手観世音菩薩で、御宝印、寺院印と「伊勢崎佐波観音霊場第三十一番」の札所印が捺されています。
上州新四国八十八ヶ所第11番(愛染明王)の御朱印も授与されています。
20.上州新四国八十八ヶ所霊場
瑠璃山 妙光院 照明寺
群馬県太田市新田反町町896
高野山真言宗
御本尊:薬師如来
札所:〔上州新四国八十八ヶ所霊場第62番〕、新田西国観音札所第24番
札所本尊:薬師如来
群馬県の東部(東毛エリア)、大田市・伊勢崎市・みどり市・桐生市を範囲とする弘法大師霊場。
知名度は低いものの、札所じたいははかなり残っていて納経所対応も比較的しっかりしている感じがありますが、巡拝する人は少ない模様。
差し替え式の専用納経帳があるらしいですが、御朱印帳書き入れいただけるケースも多くなっています。
御本尊の薬師如来で、御寶印、寺院印と「新四國第六十二番」の札所印が捺されています。
”反町薬師”の通称で知られる名刹です。
21.北足立八十八ヶ所霊場
寳松山 眞乗寺
埼玉県さいたま市南区松本1-18-5
高野山真言宗
御本尊:薬師如来
札所:〔北足立八十八ヶ所霊場第19番〕
札所本尊:大日如来
旧北足立郡域の南部(川口市・さいたま市・戸田市・蕨市)を範囲とする弘法大師霊場。
『利根川下流域の新四国巡礼』(小嶋博巳氏)によると、通称は「二度栗山大師」、講名は「光明講」で、明治31年(1898年)開創のようです。
現況霊場としての活動はしておらず、与野七福神、川口七福神、足立坂東観音霊場などとの兼務札所が多いので、御朱印はそちらでの授与となるケースが多く、この霊場の札所印はほとんどみたことがありません。
こちらは北足立八十八ヵ所霊場単体の札所なので、「北足立新四国十九番」という、この稀少な札所印を出されているのでは。
金胎二尊の大日如来の御寶印併印もめずらしいものかと思います。
22.小田急武相三十三観音霊場
天桂山 王寶寺
小田原市扇町5-1-28
曹洞宗
御本尊:釈迦如来
札所:〔小田急武相三十三観音霊場第24番〕
札所本尊:十一面観世音菩薩
昭和11年(1936年)、小田急電鉄が企画し沿線寺院によって札所が選定された観音霊場。
発願は新宿の天龍寺、第4番で経堂、第7番で向ヶ丘遊園、第10番で町田、第13番で海老名、第15番で厚木、第21番で秦野、第24番で小田原に至り、第33番結願はなぜか鎌倉・腰越の満福寺なので、江ノ島線利用の巡拝も兼ねていたと思われます。
宗派は多彩ですが、比較的禅宗が多く歴史ある名刹が目立ちます。
札所33ヶ寺のほか、特別霊場として豪徳寺、伊勢原の日向薬師、大山寺、大雄山最乗寺、藤沢の清浄光寺(遊行寺)のメジャー5寺院を招聘し、豪華な顔ぶれとなっています。
札所一覧は→こちら(「ニッポンの霊場」様)
このような鉄道会社が企画した霊場は、京成の「東三十三観音」、西武の「武蔵野三十三観音」、京王の「京王三十三観音」などがありますが、現役の霊場として活動しているのは「武蔵野三十三観音」のみとみられます。
札所印は稀少ですが、小田原の王寶寺(五百羅漢)でいただけました。
札所本尊は十一面観世音菩薩のようですが、御朱印尊格は御本尊(釈迦如来)でした。
古の観音霊場の場合、よくみられるケースです。
札所印は「小田急沿線武相観音第二十四番」と読めます。
23.武州八十八霊場
由城山 福聚院 慈眼寺
埼玉県坂戸市中小坂285
真言宗智山派
御本尊:十一面観世音菩薩
札所:〔武州八十八霊場第64番〕
札所本尊:十一面観世音菩薩
武州八十八霊場は、文化九年(1812年)、武州越生の法恩寺山主により企画された四国八十八札所の写し霊場(新四国霊場)で、範囲は越生、毛呂山、ときがわ、鳩山、坂戸、鶴ヶ島、東松山、吉見、川島、川越、狭山、入間、飯能、日高に渡っています。
その全容は従来ほとんど知られることはなく”幻の霊場”ともいわれたようですが、札所に名を連ねる主要なお寺様は武蔵野三十三観音、狭山三十三観音、入比板東三十三所観音、高麗板東三十三観音、比企西国三十三観音などの観音霊場と兼務される例も多いので、観音霊場御朱印の授与例はかなりあります。
2018年に出版された「幻の武州八十八霊場 埼玉の古寺をたずねて」(さきたま出版会/2018.2.15初版)の影響もあってか、ここにきてこの幻の弘法大師霊場の御朱印を授与される札所様がいくつか確認できています。
上記の観音霊場は札所本尊である観音様の御朱印が授与されることが多いので、御本尊の御朱印で授与される武州八十八霊場の御朱印は、その点からも貴重かと思います。
こちらは観音霊場の札所ではなく、御本尊十一面観世音菩薩の尊格で、「武州札所第六十四番」の霊場名入りの札所印をいただけました。
札所印の印影がきれいなので、新規に製作されたものかと思われます。
24.中武蔵七十二薬師霊場
巌殿山 修繕院 正法寺
埼玉県東松山市岩殿1229
真言宗智山派
御本尊:千手観世音菩薩
札所:〔中武蔵七十二薬師霊場第47番〕、坂東三十三箇所(観音霊場)第10番、関東百八地蔵尊霊場第13番、七観音霊場第5番
札所本尊:薬師如来
安永5年(1776年)、旧中武蔵国の入間郡・比企郡域に開創されたと伝わる薬師霊場。
12年に一度、寅年四月の御開帳で、前回は一部の札所で御開帳された模様です。
ほとんどが小規模な寺院やお堂で、通常は御朱印をいただけないので、御開帳されるとなるとすこぶる稀少な御朱印となります。
来年は寅年。御開帳なるか・・・。
非御開帳時でも御朱印を授与される札所様はいくつか確認していますが、こちらもそのひとつです。
こちらは坂東三十三箇所(観音霊場)第10番というメジャー寺院で、授与所で「中武蔵七十二薬師霊場」の御朱印を申告すると無事にいただけました。
札所本尊の薬師如来で、「第四拾七番」の札所印が捺されています。
なお、巡拝所は坂東三十三箇所とは異なり、境内の薬師堂となります。
→ 令和4年4月7日~4月13日、御開帳されました。
じつに61(お札含む)もの御朱印を拝受できました。
予想以上に札所印をお持ちの札所様が多かったです。
【写真 上(左)】 第13番 広谷山 正音寺(鶴ヶ島市)の御朱印
【写真 下(右)】 第58番 愛宕山 無量寺(吉見町)の御朱印
25.金沢三十四所観音霊場
昇天山 金龍院
神奈川県横浜市金沢区瀬戸10-12
臨済宗建長寺派
御本尊:宝冠釈迦如来
札所:〔金沢三十四所観音霊場第11番〕、かなざわの霊場めぐり第18番
札所本尊:聖観世音菩薩
宝暦年間(1751-1764年)頃に開創されたとされる武州金澤三十四所が、昭和に入って再編・再興された観音霊場です。
かつて武蔵国久良岐郡と呼ばれた横浜市金沢区、磯子区、港南区を巡拝する霊場で、複数の札所様で御朱印を授与されています。
新四国東国八十八ヶ所霊場と兼務される札所様が複数あり、新四国霊場で御朱印を授与されている場合はこの霊場で授与されないケースもありますが、両霊場の授与をされているお寺様もあります。
霊場会が組織されていないようなので、御朱印については各寺院様それぞれのご対応となっています。
こちらは、札所本尊聖観世音菩薩の尊格で、「金澤札所第十一番」という貴重な札所印が捺されています。
26.新四国四箇領八十八ヶ所霊場
上(左)が荒綾霊場、下(右)が新四国四箇領八十八ヶ所霊場の札所印
如意山 延命寺
東京都足立区竹の塚5-26-14
真言宗豊山派
御本尊:地蔵菩薩
札所:〔新四国四箇領八十八ヶ所霊場第86番〕、荒綾八十八ヶ所霊場第13番
札所本尊:地蔵菩薩
「ニッポンの霊場」様によると、「天保12(1841)年1月に開創、明治35(1902)年に再興された中川両岸沿いの4つの領(葛飾郡葛西領、葛飾郡二郷半領、 足立郡淵江領、埼玉郡八条領)に札所を持つ弘法大師霊場」です。
また、『利根川下流域の新四国巡礼』(小嶋博巳氏)によると、通称は「大正記念大師」、講名は「大正記念大師講」で、西新井八十八ヶ霊場とも称していたようです。
現況、霊場としての活動はまったくなく、「幻の霊場」といってもいいかもしれません。
宗派はほとんどが真言宗豊山派で、札所本尊は多彩です。
廃寺も多く、また、南葛八十八霊場、荒川辺八十八霊場、荒綾八十八霊場と兼務の札所が多く、御朱印を授与されるとしてもそちらの札所の御朱印となるため、この霊場の札所印をいただけることはまずありません。
こちらは、そもそも御朱印を授与いただけるかも不明で、いただけるとしても荒綾霊場と踏んでいたところ、想定外に荒綾霊場と新四国四箇領霊場のふたつの札所印つきの貴重な御朱印をいただけました。
この霊場は三郷市内、吉川市内などのいくつかの寺院で御朱印を拝受していますが、札所印をいただけたのはいまのところこちらだけかと思います。
27.江戸西方三十三ヶ所観音霊場
法臺山 大泉寺
八王子市大和田町7-13-1
曹洞宗
御本尊:釈迦牟尼仏
札所:〔江戸西方三十三観音霊場第8番〕
札所本尊:不詳
「ニッポンの霊場」様によると、「東都歳事記(春・下巻)の中に記載のある観音菩薩巡拝の霊場で、開創は江戸時代中期頃とされている。」とのこと。
『東都歳事記』には「西方三十三所観音札所参」とあります。
発願は飯倉の順了寺、結願は西麻布の長谷寺(永平寺東京別院)で、かなりの札所が廃寺となり、現存寺院も御朱印不授与のところが多く、こちらの御朱印はまずいただけないものと思っていました。
ところが、思いもかけぬ八王子の寺院でこちらの札所印をいただけました。
こちらは曹洞禅ナビに御朱印授与情報があったので伺いました。
麻布今井町(現六本木3丁目)からの移転(昭和53年)という事前情報はありましたが、札所の認識はまったくありませんでした。
ところが、いただいた御朱印には「西方第八番」の明瞭な札所印が。
「西方」と名のつく霊場は「江戸西方三十三観音霊場」しか思い当たらず、麻布からの移転ということもあって、ご住職にお伺いすると、やはり「江戸西方三十三観音霊場」の札所印とのこと。
ふつう、都内から郊外に移転された霊場札所は、御朱印不授与となる例が多く、まして札所印をいただけることはほとんどありません。(メジャー霊場のぞく)
こちらは、ご対応もたいへん親切で、札所としての寺歴を大切にされているような感じを受けました。
甲州街道の要衝、八王子には武田家とゆかりのある寺院がいくつかありますが、こちらも寛永三年(1626年)甲府・大泉寺(武田信虎公の菩提寺)の草庵として創建なので、移転によって武田家ゆかりの寺院がひとつ増えたことになります。
御朱印尊格は観音さまではなく御本尊・釈迦牟尼佛ですが、これは古い観音霊場(とくに禅宗寺院)にはよくある例です。
28.京王三十三観音霊場
第33番結願寺 福聚山 慈眼寺(八王子市長房町)の御朱印
三栄山 常行院 大正寺
調布市調布ケ丘1-22-1
新義真言宗
御本尊:大日如来
札所:〔京王三十三観音霊場第15番〕、多摩新四国八十八ヶ所霊場第5番、多摩川三十四観音霊場第8番、調布七福神(恵比寿)
札所本尊:十一面観世音菩薩
「ニッポンの霊場」様によると、「観光ブーム+電車利用の促進を目的に、京王電鉄と沿線の寺院によって霊場札所が選定された。」とのこと。
開創時期、開創の経緯など詳細は不明です。
発願は新宿の天龍寺、第6番で下高井戸、第10番で調布、第18番で府中、第24番で八王子に至り、結願は八王子の慈眼寺です。
鉄道系の札所だけあって宗派は変化に富み、多摩川三十四観音、多摩八十八ヶ所、八王子三十三観音、武相卯歳四十八観音との重複札所がかなりあり、京王観音霊場の御朱印を出されている札所もいくつかありますが、どことなく通向けのイメージがある霊場です。
これは、兼務の霊場じたいがかなりマニアックなためと思われます。
発願寺の天龍寺は現在御朱印不授与のようですが、筆者の調べでは33の札所のうち31で、御朱印ないし御首題を授与されている模様です。
(ただし、京王観音霊場の札所印つきは数箇寺。大正寺様のように、現役の兼務札所がありながら、京王観音霊場の札所印をいただける例は希だと思われます。)
布多天神社のそばにある、すこぶる趣きのある寺院です。
京王三十三観音霊場の札所本尊は多摩川三十四観音霊場と同様、立入禁止の庭園おくにある観音堂に御座します。
29.武川筋三十三ヶ所観音霊場
蕃竹山 大公寺
韮崎市旭上条南割1961
曹洞宗
御本尊 釈迦如来
札所:〔武川筋三十三ヶ所観音霊場第22番〕、甲斐八十八ヶ所霊場第42番、甲斐百八霊場第78番
札所本尊:不詳
山梨県、かつての甲斐国には多くの観音霊場がありました。
代表的なのは甲斐国三十三観音霊場(札所)で、これは県内全域に渡る広域の観音霊場です。
これ以外にも地域観音霊場として下記の霊場が開設されています。
・府内観音札所(甲府(府内)周辺)
・郡内三十三番観音霊場(東部の都留(郡内)地方)
・逸見筋三十三ヶ所観音霊場(現・北社市の大泉・高根・長坂・須玉エリア)
・塩川筋三十三ヶ所観音霊場(現・北社市の須玉・明野エリア)
・武川筋三十三ヶ所観音霊場(現・北社市の白州・武川、韮崎市域、南アルプス市域)
・西郡筋(峡西)三十三ヶ所観音霊場(現・南アルプス市域)
・峡南(郷地)三十三ヶ所観音霊場(現・早川町、富士川町、身延町)
いずれも廃寺が多く、現役の活動はしていないようですが、札所印をいただける札所はけっこうあります。
今回は武川筋三十三ヶ所観音霊場の札所印のご紹介です。
『ニッポンの霊場』様(札所リストあり)によると、開創は天保五年(1834年)以前に遡り、塩川筋三十三観音霊場、逸見筋三十三観音霊場と併せて北多摩郡百観音霊場を形成していたようです。
宗派は曹洞宗がメインでした。
大公寺は、南アルプスの前衛、甘利山山麓の高台にあります。
観応元年(1350年)に足利尊氏の重臣一色太郎範氏の開基と伝わる古刹で、永正年間(1492-1520)に玄室慶参和尚が曹洞宗に改宗して中興されました。
こちらは、武川筋三十三ヶ所観音霊場のほか、甲斐の弘法大師霊場である甲斐八十八ヶ所霊場、新しい山梨の霊場である甲斐百八霊場の3つの札所を兼ねられ、この3つの札所印が捺された貴重な御朱印を拝受できました。
御朱印は庫裡にて拝受しました。
霊場・札所データについては下記サイトのデータを参考・引用させていただきました。いずれも貴重なデータ満載のすばらしい内容です。
「猫のあしあと」様 → Web
「ニッポンの霊場」様 → Web
「東大和と寺院散策」様 → Web
「日本を巡礼する」様 → Web
「マッハ墨朱&絵馬による布陣(仮)」様 → Web
【 BGM 】
メロが綺麗で透明感のある女性Vocal特集
■ Erato - 志方あきこ
難曲が多く、なかなか聴きやすい曲を歌ってくれないが、ときおりつくるヒーリング系のテイクは絶品。
■ それでも私は - 藤田麻衣子
つながりそうもないフレーズを縦横無尽に紡いでしまう感。
■ Always in my heart - 山田タマル
東京・杉並出身のシンガーソングライターでアニソン系の楽曲多数。力強さと透明感をあわせもち、安定感も抜群の逸材。
■ Story Teller - kicco
1:46~「覚えてるかな~」のサビ、2:14~「僕の服の袖を~」の大サビのメロ展開がただものじゃない感。
■ Mirai 未来 - Kalafina
こんな素晴らしいユニットが解散とは・・・。残念すぎる。
2021/09/18 UP
追記しました。
以前UPした記事をひとつにまとめました。
今後、追加していきます。
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札所巡りで御朱印をいただく場合、ふつうは当然いただきたい霊場を告げて授与をお願いするのですが、いまは廃れてしまった霊場の場合はあえて告げないことが多いです。
例えば廃れてしまった観音霊場で観音様が御本尊でない場合、もはや観音様の御朱印はお出しになれないケースが多く、無理に観音霊場の御朱印をお願いするとややこしいことになりかねません。
こういう場合は「ご朱印をいただきたい」旨だけを告げ、あとはお寺さんに委ねます。
とくに、東京下町の場合、廃れた複数の霊場(場合によっては10近くも)の札所となっているお寺さんも多く、よけいに霊場限定でお願いするのがむずかしい状況になっています。
このような札所の御朱印はその内容が楽しみ。
尊格は御本尊で札所印なしの場合が多いですが、思いがけない尊格や札所印をいただける場合もあります。
そんなことで、今回はとくに希少な札所印が捺されている御朱印をご紹介したいと思います。
※ここでご紹介した寺院の多くはメジャーな札所ではありません。ご不在で御朱印拝受できなかったり、現在御朱印授与を中止されている可能性もあります。
01.江戸東方四十八地蔵霊場
瑞松山 栄隆院 霊光寺
墨田区吾妻橋1-9-11
浄土宗
御本尊:阿弥陀如来
札所:〔江戸東方四十八地蔵霊場第40番〕、隅田川二十一ヵ所霊場第17番、新葛西三十三観音霊場第24番、墨田区お寺めぐり第22番
札所本尊:元日地蔵菩薩
古い霊場で、現在は他所ではほとんどいただけないのでは?
御本尊の阿弥陀如来と札所本尊の地蔵菩薩、そして「江戸東方四十八所四十番札所」の札所印が捺されています。
02.荒綾八十八ヶ所霊場/荒川辺八十八ヶ所霊場
草堂山 地福寺
足立区江北2-41-2
真言宗系単立
御本尊:地蔵菩薩
札所:〔荒綾八十八ヶ所霊場第72番〕、〔荒川辺八十八ヶ所霊場第22番〕
札所本尊:地蔵菩薩
こちらは御朱印授与が微妙なふたつの霊場札所を兼ねています。
このふたつの霊場を兼ねる札所は少なくないのですが、どちらかというと荒綾単独のケースが多く、荒川辺併記はめずらしいと思います。
御本尊の地蔵菩薩で、「荒川辺二十二番、荒綾七十二番」の札所印が捺されています。
03.荒川辺八十八ヶ所霊場(メジャー霊場との併記の例)
大悲山 観音寺 華蔵院
荒川区東尾久8-46-2
真言宗豊山派
御本尊:聖観世音菩薩
札所:〔荒川辺八十八ヶ所霊場第11番〕、〔豊島八十八ヶ所霊場第54番〕
札所本尊:聖観世音菩薩
豊島八十八ヶ所霊場の御朱印をお願いしたところ、荒川辺霊場とペアになった印判を捺していただけました。
御本尊の聖観世音菩薩で、「豊島八十八ケ所第五十四番」と「荒川周邊八十八ケ所第十一番」の印判が捺されています。
「荒川周邊」は「荒川辺」の別表記と思われます。
04.南葛八十八ヶ所霊場(いろは大師/大心講)/東三十三観音霊場
明王山 不動院 寳性寺
葛飾区堀切2-25-21
真言宗智山派
御本尊:不動明王
札所:〔南葛八十八ヶ所霊場(いろは大師)第60番〕、〔(京成)東三十三観音霊場第4番〕、荒綾八十八ヶ所霊場第12番、荒川辺八十八ヶ所霊場第62番、隅田川二十一ヵ所霊場第8番
札所本尊:不動明王
南葛八十八ヶ所霊場(いろは大師/大心講)も比較的古く、御朱印拝受がむずかしい霊場です。
こちらではこの南葛霊場札所印のみならず、希少な東三十三観音霊場(昭和十年京成電車が企画した霊場)の印判もいただけました。
御本尊の不動明王で、「南葛八十八ヶ所いろは大師第六十番」と「東第四番」の印判が別個に捺されています。
こちらは他に荒綾八十八ヶ所霊場12番、荒川辺八十八ヶ所霊場62番、隅田川二十一ヵ所霊場8番の札所も兼ねていますが、霊場を申告せずにお願いしたところ、この御朱印を拝受できました。
なお「南葛八十八ヶ所霊場」は2系統あります。
1.「いろは大師」(大心講)と呼ばれ、発願は葛飾区奥戸の善紹寺、結願は葛飾区奥戸の妙厳寺
2.通称名は不明。発願は江戸川区東小松川の善照寺、結願は江戸川区東小松川の宝積院
(2については、「南葛新四国霊場」と呼ばれることもあるようです。)
一部の札所は重複し、このふたつの南葛霊場の識別をよりむずかしいものにしています。
たとえば、「いろは大師」の葛飾区鎌倉の札所は「南葛八十八ヶ所まんだら六ヶ所参り」として、毎年11月下旬の1日のみ御開帳(というか巡拝)されます。
この6札所のうち、浄光院(1.では第14番、2.では第55番)、輪福寺(1.では第17番、2.では第56番)は札所が重複していますが、「六ヶ所参り」では、1.の「いろは大師」の御朱印が授与されます。
■「南葛八十八ヶ所まんだら六ヶ所参り」の御朱印
どちらも御朱印拝受がむずかしいですが、「1.いろは大師」の方が授与札所は多そうです。(調査中)
05.上野王子駒込辺三十三観音霊場
思惟山 浄業三昧寺 正受院
北区滝野川2-49-5
浄土宗
御本尊:阿弥陀如来
札所:〔上野王子駒込辺三十三観音霊場第4番〕、北豊島三十三観音霊場第23番、滝野川寺院巡り第14番
札所本尊:
江戸時代成立の古い観音霊場で、この霊場での御朱印授与例は少ない模様。
「上野王子駒込辺三十三観音霊場」というのは通称で、『江戸歳事記 4巻 付録1巻』(国立国会図書館DC)には「上野より王子駒込辺西国の写三十三所観音参」とあります。
こちらは第4番札所で拝受した御朱印。
尊格は御本尊の阿弥陀如来で霊場名はないですが「西國四番寫」の印判が捺されています。
観音霊場の御朱印で尊格が阿弥陀如来となる例は、浄土宗寺院の多い行徳・浦安三十三観音霊場などでもよくみられます。
この霊場の御朱印を出されている札所様はいくつかありますが、拝受時には「西国霊場の御朱印」と申告したほうが通りがいいようです。
06.大東京百観音霊場
補陀洛山 千手院
台東区根岸3-12-48
真言宗豊山派
御本尊:千手観世音菩薩
札所:〔大東京百観音霊場第28番〕、荒川辺八十八ヶ所霊場第88番、江戸東方三十三観音霊場第29番、御府内十三仏霊場第11番(阿閦如来)、根岸古寺めぐり第6番
札所本尊:千手観世音菩薩
渋い寺院を含む札所数の多い霊場ですが詳細不明。他霊場との重複も多く、この霊場の印判例は少ないとみられます。
こちらは荒川辺八十八ヶ所霊場88番、江戸東方三十三観音霊場29番、根岸古寺めぐり6番などを兼ねていますが、いずれも現役のメジャー霊場でなく、また、御本尊が観音様ということもあって、大東京百観音霊場が代表札所として表されたのではないでしょうか。
御本尊の千手観世音菩薩で、「大東京百観音第二十八番」の印判が捺されています。
07.世田谷三十三ヶ所観音霊場
大澤山 龍雲寺
世田谷区野沢3-38-1
臨済宗妙心寺派
御本尊:釈迦牟尼佛
札所:〔世田谷三十三ヶ所観音霊場第17番〕、玉川東組三十三ヶ所霊場(写坂東)第24番
世田谷区内の名刹が名を連ねる霊場ですが詳細不明で、御朱印対応なしの札所も多い模様。
またいただけたとしても別のメジャー霊場や札所印なしのケースが多いですが、こちらでは札所印入りの御朱印を拝受できました。
御本尊は釈迦牟尼仏ですが、御朱印尊格は札所本尊と思われる聖観世音菩薩で、「世田谷区内第十七番」の印判が捺されています。
08.下総三十三観音霊場
豊谷山 観音寺
千葉県流山市木1421
真言宗豊山派
御本尊:十一面観世音菩薩
札所:〔下総三十三観音霊場第28番〕、江戸川八十八ヶ所霊場第64番、同84番
札所本尊:十一面観世音菩薩
上総や安房の観音霊場にくらべるとマイナー感があり、御朱印もいただきにくい霊場です。
通称(長谷観音)と「下総第廿八番」の印判が捺されています。
09.新四国相馬霊場八十八ヶ所霊場
紅龍山 東海寺(布施弁天)
柏市布施1738
真言宗豊山派
御本尊:大弁財天
札所:〔新四国相馬霊場八十八ヶ所霊場第68番〕
札所本尊:大弁財天
柏市、我孫子市、茨城県取手市などを回る地域限定的な霊場。
布施弁天は関東三弁天に数えられる大寺ながらメジャー霊場に参画していないので、このローカルな霊場を大切にしている感じがします。
こちらでいただける布施薬師堂の御朱印にも相馬霊場の印判が捺されています。
御本尊の大弁財天で、「相馬第六十八番」の印判が捺されています。
10.上総国天羽作札薬師如来霊場
十宮山 薬王寺
千葉県富津市竹岡9
真言宗智山派
御本尊:薬師如来
札所:〔上総国天羽作札薬師如来霊場第12番〕
札所本尊:薬師如来
この霊場はまったく知らず、お寺さんに伺ってはじめて知りました。
寅年開帳のご開帳霊場らしいですが詳細不明。
こちらはこの霊場のみの札所で御本尊が薬師如来ということもあって、例外的にこの霊場の御朱印をいただけるのではないでしょうか。
御本尊の薬師如来で、「作札第十二番」の印判が捺されています。
11.奥多摩新四国霊場八十八ヶ所
別所山 西光院 金仙寺
埼玉県所沢市堀之内343
真言宗豊山派
御本尊:阿弥陀如来
札所:〔奥多摩新四国霊場八十八ヶ所第66番〕、武玉八十八ヶ所霊場第34番
札所本尊:千手観世音菩薩・弘法大師
東京都奥多摩エリアから埼玉県の飯能、狭山、入間、所沢にかけて札所が点在する昭和九年開創と伝わる弘法大師霊場。
御朱印帳への書き入れは難しそうですが、冊子タイプの専用納経帳が入手できればこちらに印判を捺印いただくかたちとなり、手数的には拝受しやすいと思います。
ただし、所在不詳の小さなお堂もあり、朱印所が個人宅のところも多いので、ナビでは歯が立たず嗅覚が求められることも。
お寺の境内で札所本尊と並んでおわされるお大師様のお堂をみつけると、無性に嬉しくなる。
札所本尊の千手観世音菩薩で、御寶印、寺院印と「奥多摩新四国第六十六番」の札所印が捺されています。
専用納経帳には、千手観世音菩薩と真如親王様のお大師様のおすがたと札番「新四国第六十六番」が印刷されています。
12.足立百不動尊
鶴林山 不動寺 正覺院
埼玉県戸田市中町2-14-3
真言宗智山派
御本尊:不動明王
札所:〔足立百不動第40番〕、北足立八十八箇所霊場第83番、北足立二十一ヶ所霊場第11番
札所本尊:不動明王
開創時期不明。川口市、さいたま市、戸田市、蕨市に札所を配する不動尊霊場。
多くは小規模なお堂のようですが寺院が札所の場合、札所印をいただける場合があります。
営々と酉年ご開帳が続けられている貴重な霊場です。
御本尊の不動明王で、御寶印、寺院印と「足立四拾番」の札所印が捺されています。
■12年に一度の御朱印 ~ 足立百不動尊 ~(2017/4/16~4/28)
13.武州葛飾坂東三十三観音霊場
高埜山 全長寺
埼玉県北葛飾郡杉戸町下高野443
曹洞宗
御本尊:聖観世音菩薩
札所:〔武州葛飾坂東三十三観音霊場第17番〕、日光街道すぎと七福神(布袋尊)
札所本尊:聖観世音菩薩
明和五年以前の開創との情報がある古い観音霊場で、埼玉県北東部の春日部、杉戸、幸手、久喜の各市に札所が点在していますが、廃寺も多く御朱印拝受例は多くない模様。
「新坂東三十三所」とも称され、武州葛飾西国三十三観音、武州葛飾秩父三十四観音とともに武州葛飾郡百観音を構成しています。
御本尊の聖観世音菩薩で、三宝印、寺院印と「新坂東三十三所第拾七番」の札所印が捺されています。
14.入比板東三十三観音霊場
青龍山 最勝寺
埼玉県入間郡越生町堂山287
真言宗智山派
御本尊:十一面観世音菩薩
札所:〔入比板東三十三観音霊場第27番〕、武州八十八霊場第15番、越生七福神(福禄寿)
札所本尊:十一面観世音菩薩
享保年間開創とされる古い霊場ですが、無住のお堂がメインで廃寺もあり、御朱印拝受が比較的むずかしい霊場。
ただ、いくつかの寺院で管理されるお堂の御朱印も授与されるケースもあるらしく、完全に廃れたとはいえない状況のようです。(どこかのお寺さんで復興の動きがあるともきいた。)
御本尊の十一面観世音菩薩で、三寶印、寺院印と「入比板東二十七番」札所印が捺されています。
15.行田救済菩薩十五霊場
延年山 安楽寺
埼玉県行田市埼玉4977
臨済宗建長寺派
御本尊:聖観世音菩薩
札所:〔行田救済菩薩十五霊場第14番〕、忍領西国三十三観音霊場第4番
札所本尊:聖観世音菩薩
平成4年開創とされる、行田市14、鴻巣市1の計15箇寺からなる比較的あたらしい霊場。
救済菩薩の霊場ながら札所本尊は多彩。
忍領西国三十三観音霊場や忍秩父三十四観音霊場の流れを受け継ぐ霊場かとも思いましたが、重複する札所は意外に少なく、むしろ忍城下七福神との重複札所が目立ちます。
御本尊の聖観世音菩薩で、御寶印と「救済菩薩第十四番」の札所印が捺されています。
16.上野国順礼札所三十四カ所霊場
貞枩山 崇徳寺
群馬県安中市松井田町松井田325
臨済宗妙心寺派
御本尊:釈迦牟尼佛
札所:〔上野国順礼札所三十四カ所霊場第14番〕
札所本尊:聖観世音菩薩
徳川時代中期に上州西毛地区に設定されていた百観音霊場のひとつという情報がありますが、現在、霊場としての活動は止まっているようです。
事前に札所の認識はありましたが、札番を揮毫いただけるとは思わず、ありがたいことでした。
札所本尊の子育聖観音菩薩で、三寶印、寺院印の捺印、そして「上野十四番札所」の揮毫があります。
17.南毛三十三観音霊場
龍田山 光徳寺
群馬県藤岡市藤岡2378
曹洞宗
御本尊:釈迦牟尼佛
札所:〔南毛三十三観音霊場第33番〕、西上州ご朱印めぐり第9番
札所本尊:馬頭観世音菩薩
西毛エリア、藤岡市から南の地域を巡る昭和57年に開創されたといわれる観音霊場で、「多野藤岡三十三観音霊場」とも呼ばれます。
比較的新しい霊場ですが知名度は高くないようで、不在率も高い模様。
札所本尊の馬頭観世音菩薩で、三寶印、寺院印と「南毛霊場 多野藤岡第三十三番」の札所印が捺されています。
篆書体の揮毫が素晴らしい御朱印です。
18.東上州三十三観音霊場
終南山 見松院 善導寺
群馬県館林市楠町3692
浄土宗
御本尊:阿弥陀如来
札所:〔東上州三十三観音霊場第5番〕、関東十八檀林(16)、館林七福神(毘沙門天)
札所本尊:千手観世音菩薩
東毛エリア、館林市、太田市、板倉町、桐生市などを巡る観音霊場。館林市、太田市、桐生市ともに寺院の多いところ。
地味な霊場ながら納経対応は比較的しっかりとしている模様で、この霊場が御朱印的な多彩さを添えています。
朱印尊格は六字御名号で、三寶印と寺院印、そして「東上州観音霊場第五番」の札番表記があります。
観音霊場の御朱印で尊格が阿弥陀如来や六字御名号となる例は、浄土宗寺院の多い行徳・浦安三十三観音霊場などでもよくみられます。
19.伊勢崎佐波観音霊場
瑠璃光山 無量寺 愛染院
群馬県伊勢崎市境461
真言宗豊山派
御本尊:愛染明王
札所:〔伊勢崎佐波観音霊場第31番〕、上州新四国八十八ヶ所第11番
札所本尊:千手観世音菩薩
伊勢崎市、佐波郡に集中する観音霊場。兼務寺や個人宅納経もありますが、御朱印授与の体制は比較的しっかりしている模様。
また、上州新四国八十八ヶ所との重複札所が多く、大日如来、不動明王などのご本尊と札所本尊である観音様の御朱印を拝受できるお寺が目立ちます。
東毛エリアは複数の霊場が重複し、とくに太田市、伊勢崎市などは関東屈指の御朱印エリアとなっています。
札所本尊の千手観世音菩薩で、御宝印、寺院印と「伊勢崎佐波観音霊場第三十一番」の札所印が捺されています。
上州新四国八十八ヶ所第11番(愛染明王)の御朱印も授与されています。
20.上州新四国八十八ヶ所霊場
瑠璃山 妙光院 照明寺
群馬県太田市新田反町町896
高野山真言宗
御本尊:薬師如来
札所:〔上州新四国八十八ヶ所霊場第62番〕、新田西国観音札所第24番
札所本尊:薬師如来
群馬県の東部(東毛エリア)、大田市・伊勢崎市・みどり市・桐生市を範囲とする弘法大師霊場。
知名度は低いものの、札所じたいははかなり残っていて納経所対応も比較的しっかりしている感じがありますが、巡拝する人は少ない模様。
差し替え式の専用納経帳があるらしいですが、御朱印帳書き入れいただけるケースも多くなっています。
御本尊の薬師如来で、御寶印、寺院印と「新四國第六十二番」の札所印が捺されています。
”反町薬師”の通称で知られる名刹です。
21.北足立八十八ヶ所霊場
寳松山 眞乗寺
埼玉県さいたま市南区松本1-18-5
高野山真言宗
御本尊:薬師如来
札所:〔北足立八十八ヶ所霊場第19番〕
札所本尊:大日如来
旧北足立郡域の南部(川口市・さいたま市・戸田市・蕨市)を範囲とする弘法大師霊場。
『利根川下流域の新四国巡礼』(小嶋博巳氏)によると、通称は「二度栗山大師」、講名は「光明講」で、明治31年(1898年)開創のようです。
現況霊場としての活動はしておらず、与野七福神、川口七福神、足立坂東観音霊場などとの兼務札所が多いので、御朱印はそちらでの授与となるケースが多く、この霊場の札所印はほとんどみたことがありません。
こちらは北足立八十八ヵ所霊場単体の札所なので、「北足立新四国十九番」という、この稀少な札所印を出されているのでは。
金胎二尊の大日如来の御寶印併印もめずらしいものかと思います。
22.小田急武相三十三観音霊場
天桂山 王寶寺
小田原市扇町5-1-28
曹洞宗
御本尊:釈迦如来
札所:〔小田急武相三十三観音霊場第24番〕
札所本尊:十一面観世音菩薩
昭和11年(1936年)、小田急電鉄が企画し沿線寺院によって札所が選定された観音霊場。
発願は新宿の天龍寺、第4番で経堂、第7番で向ヶ丘遊園、第10番で町田、第13番で海老名、第15番で厚木、第21番で秦野、第24番で小田原に至り、第33番結願はなぜか鎌倉・腰越の満福寺なので、江ノ島線利用の巡拝も兼ねていたと思われます。
宗派は多彩ですが、比較的禅宗が多く歴史ある名刹が目立ちます。
札所33ヶ寺のほか、特別霊場として豪徳寺、伊勢原の日向薬師、大山寺、大雄山最乗寺、藤沢の清浄光寺(遊行寺)のメジャー5寺院を招聘し、豪華な顔ぶれとなっています。
札所一覧は→こちら(「ニッポンの霊場」様)
このような鉄道会社が企画した霊場は、京成の「東三十三観音」、西武の「武蔵野三十三観音」、京王の「京王三十三観音」などがありますが、現役の霊場として活動しているのは「武蔵野三十三観音」のみとみられます。
札所印は稀少ですが、小田原の王寶寺(五百羅漢)でいただけました。
札所本尊は十一面観世音菩薩のようですが、御朱印尊格は御本尊(釈迦如来)でした。
古の観音霊場の場合、よくみられるケースです。
札所印は「小田急沿線武相観音第二十四番」と読めます。
23.武州八十八霊場
由城山 福聚院 慈眼寺
埼玉県坂戸市中小坂285
真言宗智山派
御本尊:十一面観世音菩薩
札所:〔武州八十八霊場第64番〕
札所本尊:十一面観世音菩薩
武州八十八霊場は、文化九年(1812年)、武州越生の法恩寺山主により企画された四国八十八札所の写し霊場(新四国霊場)で、範囲は越生、毛呂山、ときがわ、鳩山、坂戸、鶴ヶ島、東松山、吉見、川島、川越、狭山、入間、飯能、日高に渡っています。
その全容は従来ほとんど知られることはなく”幻の霊場”ともいわれたようですが、札所に名を連ねる主要なお寺様は武蔵野三十三観音、狭山三十三観音、入比板東三十三所観音、高麗板東三十三観音、比企西国三十三観音などの観音霊場と兼務される例も多いので、観音霊場御朱印の授与例はかなりあります。
2018年に出版された「幻の武州八十八霊場 埼玉の古寺をたずねて」(さきたま出版会/2018.2.15初版)の影響もあってか、ここにきてこの幻の弘法大師霊場の御朱印を授与される札所様がいくつか確認できています。
上記の観音霊場は札所本尊である観音様の御朱印が授与されることが多いので、御本尊の御朱印で授与される武州八十八霊場の御朱印は、その点からも貴重かと思います。
こちらは観音霊場の札所ではなく、御本尊十一面観世音菩薩の尊格で、「武州札所第六十四番」の霊場名入りの札所印をいただけました。
札所印の印影がきれいなので、新規に製作されたものかと思われます。
24.中武蔵七十二薬師霊場
巌殿山 修繕院 正法寺
埼玉県東松山市岩殿1229
真言宗智山派
御本尊:千手観世音菩薩
札所:〔中武蔵七十二薬師霊場第47番〕、坂東三十三箇所(観音霊場)第10番、関東百八地蔵尊霊場第13番、七観音霊場第5番
札所本尊:薬師如来
安永5年(1776年)、旧中武蔵国の入間郡・比企郡域に開創されたと伝わる薬師霊場。
12年に一度、寅年四月の御開帳で、前回は一部の札所で御開帳された模様です。
ほとんどが小規模な寺院やお堂で、通常は御朱印をいただけないので、御開帳されるとなるとすこぶる稀少な御朱印となります。
来年は寅年。御開帳なるか・・・。
非御開帳時でも御朱印を授与される札所様はいくつか確認していますが、こちらもそのひとつです。
こちらは坂東三十三箇所(観音霊場)第10番というメジャー寺院で、授与所で「中武蔵七十二薬師霊場」の御朱印を申告すると無事にいただけました。
札所本尊の薬師如来で、「第四拾七番」の札所印が捺されています。
なお、巡拝所は坂東三十三箇所とは異なり、境内の薬師堂となります。
→ 令和4年4月7日~4月13日、御開帳されました。
じつに61(お札含む)もの御朱印を拝受できました。
予想以上に札所印をお持ちの札所様が多かったです。
【写真 上(左)】 第13番 広谷山 正音寺(鶴ヶ島市)の御朱印
【写真 下(右)】 第58番 愛宕山 無量寺(吉見町)の御朱印
25.金沢三十四所観音霊場
昇天山 金龍院
神奈川県横浜市金沢区瀬戸10-12
臨済宗建長寺派
御本尊:宝冠釈迦如来
札所:〔金沢三十四所観音霊場第11番〕、かなざわの霊場めぐり第18番
札所本尊:聖観世音菩薩
宝暦年間(1751-1764年)頃に開創されたとされる武州金澤三十四所が、昭和に入って再編・再興された観音霊場です。
かつて武蔵国久良岐郡と呼ばれた横浜市金沢区、磯子区、港南区を巡拝する霊場で、複数の札所様で御朱印を授与されています。
新四国東国八十八ヶ所霊場と兼務される札所様が複数あり、新四国霊場で御朱印を授与されている場合はこの霊場で授与されないケースもありますが、両霊場の授与をされているお寺様もあります。
霊場会が組織されていないようなので、御朱印については各寺院様それぞれのご対応となっています。
こちらは、札所本尊聖観世音菩薩の尊格で、「金澤札所第十一番」という貴重な札所印が捺されています。
26.新四国四箇領八十八ヶ所霊場
上(左)が荒綾霊場、下(右)が新四国四箇領八十八ヶ所霊場の札所印
如意山 延命寺
東京都足立区竹の塚5-26-14
真言宗豊山派
御本尊:地蔵菩薩
札所:〔新四国四箇領八十八ヶ所霊場第86番〕、荒綾八十八ヶ所霊場第13番
札所本尊:地蔵菩薩
「ニッポンの霊場」様によると、「天保12(1841)年1月に開創、明治35(1902)年に再興された中川両岸沿いの4つの領(葛飾郡葛西領、葛飾郡二郷半領、 足立郡淵江領、埼玉郡八条領)に札所を持つ弘法大師霊場」です。
また、『利根川下流域の新四国巡礼』(小嶋博巳氏)によると、通称は「大正記念大師」、講名は「大正記念大師講」で、西新井八十八ヶ霊場とも称していたようです。
現況、霊場としての活動はまったくなく、「幻の霊場」といってもいいかもしれません。
宗派はほとんどが真言宗豊山派で、札所本尊は多彩です。
廃寺も多く、また、南葛八十八霊場、荒川辺八十八霊場、荒綾八十八霊場と兼務の札所が多く、御朱印を授与されるとしてもそちらの札所の御朱印となるため、この霊場の札所印をいただけることはまずありません。
こちらは、そもそも御朱印を授与いただけるかも不明で、いただけるとしても荒綾霊場と踏んでいたところ、想定外に荒綾霊場と新四国四箇領霊場のふたつの札所印つきの貴重な御朱印をいただけました。
この霊場は三郷市内、吉川市内などのいくつかの寺院で御朱印を拝受していますが、札所印をいただけたのはいまのところこちらだけかと思います。
27.江戸西方三十三ヶ所観音霊場
法臺山 大泉寺
八王子市大和田町7-13-1
曹洞宗
御本尊:釈迦牟尼仏
札所:〔江戸西方三十三観音霊場第8番〕
札所本尊:不詳
「ニッポンの霊場」様によると、「東都歳事記(春・下巻)の中に記載のある観音菩薩巡拝の霊場で、開創は江戸時代中期頃とされている。」とのこと。
『東都歳事記』には「西方三十三所観音札所参」とあります。
発願は飯倉の順了寺、結願は西麻布の長谷寺(永平寺東京別院)で、かなりの札所が廃寺となり、現存寺院も御朱印不授与のところが多く、こちらの御朱印はまずいただけないものと思っていました。
ところが、思いもかけぬ八王子の寺院でこちらの札所印をいただけました。
こちらは曹洞禅ナビに御朱印授与情報があったので伺いました。
麻布今井町(現六本木3丁目)からの移転(昭和53年)という事前情報はありましたが、札所の認識はまったくありませんでした。
ところが、いただいた御朱印には「西方第八番」の明瞭な札所印が。
「西方」と名のつく霊場は「江戸西方三十三観音霊場」しか思い当たらず、麻布からの移転ということもあって、ご住職にお伺いすると、やはり「江戸西方三十三観音霊場」の札所印とのこと。
ふつう、都内から郊外に移転された霊場札所は、御朱印不授与となる例が多く、まして札所印をいただけることはほとんどありません。(メジャー霊場のぞく)
こちらは、ご対応もたいへん親切で、札所としての寺歴を大切にされているような感じを受けました。
甲州街道の要衝、八王子には武田家とゆかりのある寺院がいくつかありますが、こちらも寛永三年(1626年)甲府・大泉寺(武田信虎公の菩提寺)の草庵として創建なので、移転によって武田家ゆかりの寺院がひとつ増えたことになります。
御朱印尊格は観音さまではなく御本尊・釈迦牟尼佛ですが、これは古い観音霊場(とくに禅宗寺院)にはよくある例です。
28.京王三十三観音霊場
第33番結願寺 福聚山 慈眼寺(八王子市長房町)の御朱印
三栄山 常行院 大正寺
調布市調布ケ丘1-22-1
新義真言宗
御本尊:大日如来
札所:〔京王三十三観音霊場第15番〕、多摩新四国八十八ヶ所霊場第5番、多摩川三十四観音霊場第8番、調布七福神(恵比寿)
札所本尊:十一面観世音菩薩
「ニッポンの霊場」様によると、「観光ブーム+電車利用の促進を目的に、京王電鉄と沿線の寺院によって霊場札所が選定された。」とのこと。
開創時期、開創の経緯など詳細は不明です。
発願は新宿の天龍寺、第6番で下高井戸、第10番で調布、第18番で府中、第24番で八王子に至り、結願は八王子の慈眼寺です。
鉄道系の札所だけあって宗派は変化に富み、多摩川三十四観音、多摩八十八ヶ所、八王子三十三観音、武相卯歳四十八観音との重複札所がかなりあり、京王観音霊場の御朱印を出されている札所もいくつかありますが、どことなく通向けのイメージがある霊場です。
これは、兼務の霊場じたいがかなりマニアックなためと思われます。
発願寺の天龍寺は現在御朱印不授与のようですが、筆者の調べでは33の札所のうち31で、御朱印ないし御首題を授与されている模様です。
(ただし、京王観音霊場の札所印つきは数箇寺。大正寺様のように、現役の兼務札所がありながら、京王観音霊場の札所印をいただける例は希だと思われます。)
布多天神社のそばにある、すこぶる趣きのある寺院です。
京王三十三観音霊場の札所本尊は多摩川三十四観音霊場と同様、立入禁止の庭園おくにある観音堂に御座します。
29.武川筋三十三ヶ所観音霊場
蕃竹山 大公寺
韮崎市旭上条南割1961
曹洞宗
御本尊 釈迦如来
札所:〔武川筋三十三ヶ所観音霊場第22番〕、甲斐八十八ヶ所霊場第42番、甲斐百八霊場第78番
札所本尊:不詳
山梨県、かつての甲斐国には多くの観音霊場がありました。
代表的なのは甲斐国三十三観音霊場(札所)で、これは県内全域に渡る広域の観音霊場です。
これ以外にも地域観音霊場として下記の霊場が開設されています。
・府内観音札所(甲府(府内)周辺)
・郡内三十三番観音霊場(東部の都留(郡内)地方)
・逸見筋三十三ヶ所観音霊場(現・北社市の大泉・高根・長坂・須玉エリア)
・塩川筋三十三ヶ所観音霊場(現・北社市の須玉・明野エリア)
・武川筋三十三ヶ所観音霊場(現・北社市の白州・武川、韮崎市域、南アルプス市域)
・西郡筋(峡西)三十三ヶ所観音霊場(現・南アルプス市域)
・峡南(郷地)三十三ヶ所観音霊場(現・早川町、富士川町、身延町)
いずれも廃寺が多く、現役の活動はしていないようですが、札所印をいただける札所はけっこうあります。
今回は武川筋三十三ヶ所観音霊場の札所印のご紹介です。
『ニッポンの霊場』様(札所リストあり)によると、開創は天保五年(1834年)以前に遡り、塩川筋三十三観音霊場、逸見筋三十三観音霊場と併せて北多摩郡百観音霊場を形成していたようです。
宗派は曹洞宗がメインでした。
大公寺は、南アルプスの前衛、甘利山山麓の高台にあります。
観応元年(1350年)に足利尊氏の重臣一色太郎範氏の開基と伝わる古刹で、永正年間(1492-1520)に玄室慶参和尚が曹洞宗に改宗して中興されました。
こちらは、武川筋三十三ヶ所観音霊場のほか、甲斐の弘法大師霊場である甲斐八十八ヶ所霊場、新しい山梨の霊場である甲斐百八霊場の3つの札所を兼ねられ、この3つの札所印が捺された貴重な御朱印を拝受できました。
御朱印は庫裡にて拝受しました。
霊場・札所データについては下記サイトのデータを参考・引用させていただきました。いずれも貴重なデータ満載のすばらしい内容です。
「猫のあしあと」様 → Web
「ニッポンの霊場」様 → Web
「東大和と寺院散策」様 → Web
「日本を巡礼する」様 → Web
「マッハ墨朱&絵馬による布陣(仮)」様 → Web
【 BGM 】
メロが綺麗で透明感のある女性Vocal特集
■ Erato - 志方あきこ
難曲が多く、なかなか聴きやすい曲を歌ってくれないが、ときおりつくるヒーリング系のテイクは絶品。
■ それでも私は - 藤田麻衣子
つながりそうもないフレーズを縦横無尽に紡いでしまう感。
■ Always in my heart - 山田タマル
東京・杉並出身のシンガーソングライターでアニソン系の楽曲多数。力強さと透明感をあわせもち、安定感も抜群の逸材。
■ Story Teller - kicco
1:46~「覚えてるかな~」のサビ、2:14~「僕の服の袖を~」の大サビのメロ展開がただものじゃない感。
■ Mirai 未来 - Kalafina
こんな素晴らしいユニットが解散とは・・・。残念すぎる。
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