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「本屋さんで待ちあわせ」 その14 三浦 しをん  

2017年12月18日 00時08分59秒 | 本の紹介(こんな本がある)
 「本屋さんで待ちあわせ」 その14 三浦 しをん  大和書房 2012年

 愛と観察眼が炸裂 その1
 『猫座の女の生活と意見』浅生ハルミン・著 (晶文社) P-124

 本書の著者は、「もし生まれ変われるものなら猫ではなく、猫の舌に毎日舐められる猫のごはんの皿になりたい」ほどの猫好きである。猫のごはんの皿!

 このエッセイ集では、猫やこけしや古本などについて、著者の愛と観察眼が静かに炸裂していて、読者は思わず自問自答せずにはいられない。私はこれまで、かくまで深くなにかを愛したことがあっただろうか(いや、ない)、と。

 少女時代から現在までつづく、俳優・藤竜也への愛を表明するくだりなど、絶好調を通り越してほとんど絶頂に達している感がある。私はこれまで(以下略)。

 著者が愛するものは、(猫や藤竜也氏は別として)世間が想像する「女子の好むもの」とはちょっとちがうことが多い。こけしと古本を集める女性って、現代ではやっぱり少数派だと思うのだ。だが、「私はひととちがう」と気取る気配は微塵もない。愛好者だけの世界にはまりこむこともしない。「これが好きだなあ」と思いつつ、淡々かつ飄々と日常を生きている。