民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

語り手のわたしと聞き手のあなたが
一緒の時間、空間を過ごす。まさに一期一会。

「本屋さんで待ちあわせ」 その7 三浦 しをん  

2017年12月04日 00時08分41秒 | 本の紹介(こんな本がある)
 「本屋さんで待ちあわせ」 その7 三浦 しをん  大和書房 2012年

 時に抗(あらが)った作家の生 その1 P-48
 ――『星新一 1001話をつくった人』最相葉月(さいしょうはづき)・著(新潮社/新潮文庫、上下巻)

 なにをもって己れが生きた証(あかし)とするか。
 銅像を建てる。子孫を残す。世界遺産や国宝に指定されるような建築物・芸術品を作る。手段はいろいろある。
 しかし、500年も経てばと想像すると、すべてはむなしい。時の流れのなかで、「個」は埋没していく。それは抗いようのないことだ。
 抗ったひとがいる。作家、星新一だ。膨大なショートショートを書き、国語の教科書に作品が採用され、広く人々に愛読されながら、彼はまだ満足しなかった。長く読み継がれることを願って、晩年の星新一は自作を手直ししつづけた。時代の変化から取り残されそうな単語や表現を、執拗なまでに作中から排除した。