民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

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「本屋さんで待ちあわせ」 その9 三浦 しをん

2017年12月08日 00時08分29秒 | 本の紹介(こんな本がある)
 「本屋さんで待ちあわせ」 その9 三浦 しをん  大和書房 2012年

 『ミッキーかしまし』西 加奈子・著(筑摩書房) P-75

 泥酔!蛾と格闘!猫にかしづく!大阪の濃ゆいおっちゃんから(頼んでもないのに)モテモテ!泥酔泥酔また泥酔!
 テヘラン生まれの作家が繰り広げる、愉快な毎日が綴られたエッセイ。とにかく笑える。とんがってはいるが、嫌味がない。忘れちゃいけないのは、笑いの合間に細やかな抒情がひそんでいることだ。

「いいエッセイ」の条件は、「著者の体験や生活臭や考えがページから迫ってきて、『この人は私のためだけに書いてくれている』と読者に感じさせるもの」ではないかと、個人的には思う。本書はまさに、その条件を満たしている。

 だれもが自分はまっとうだと思っているが、実は世の中にまっとうなひとなど一人もいないのだなと、深く感得した。まっとうじゃなくても、まあいいか、他人にあまり迷惑をかけぬ範囲で、楽しく自由に生きていけば!そんなはた迷惑な前向きさが、読むとむくむく湧いてくる。