「葬式は、要らない」 その10 島田 裕巳(ひろみ)1953年生まれ 幻冬舎新書 2010年
禅宗からはじまる仏教式の葬式 P-66
『禅苑清規(1103年に中国の宋で編集された書物)』が定めた葬式の作法は、「尊宿(そんしゅく)葬儀法」と「亡僧(ぼうそう)葬儀法」に分かれる。前者がすでに悟りを開いた僧侶のための葬式の方法であるのに対して、後者は、修行の途中で亡くなった僧侶のためのものだった。
修行の途中にあるということは、完全な僧侶であるとは言えず、その立場は在家に近い。そこで、 亡僧葬儀法を在家の信者にも適用した。これによって、亡くなった在家の信者をいったん出家したことにし、出家者の証である戒名を授けるという葬式の方法が確立される。
ただ、念仏を唱えるだけであれば、特別な儀式は必要とされない。ところが、禅宗において、在家のための葬儀の方法が確立され、それが日本の社会全体に広がることによって、日本的な仏教式の葬式の基本的な形態がうまれた。こうして仏教は死の世界と密接な結びつきをもつにいたったのである。
禅宗からはじまる仏教式の葬式 P-66
『禅苑清規(1103年に中国の宋で編集された書物)』が定めた葬式の作法は、「尊宿(そんしゅく)葬儀法」と「亡僧(ぼうそう)葬儀法」に分かれる。前者がすでに悟りを開いた僧侶のための葬式の方法であるのに対して、後者は、修行の途中で亡くなった僧侶のためのものだった。
修行の途中にあるということは、完全な僧侶であるとは言えず、その立場は在家に近い。そこで、 亡僧葬儀法を在家の信者にも適用した。これによって、亡くなった在家の信者をいったん出家したことにし、出家者の証である戒名を授けるという葬式の方法が確立される。
ただ、念仏を唱えるだけであれば、特別な儀式は必要とされない。ところが、禅宗において、在家のための葬儀の方法が確立され、それが日本の社会全体に広がることによって、日本的な仏教式の葬式の基本的な形態がうまれた。こうして仏教は死の世界と密接な結びつきをもつにいたったのである。