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「江戸の卵は一個400円」 その14

2015年05月25日 00時21分50秒 | 雑学知識
 「江戸の卵は一個400円」 モノの値段で知る江戸の暮らし 丸太 勲 光文社新書 2011年

 「江戸の子供たちは勉強好き」 その1 P-79

 慶応年間(1865~1857)、江戸には1200~1300の寺子屋があった。江戸では寺子屋とは言わず、「手習い」に通うと言った。ここではわかりやすく寺子屋で話を続ける。
 当時子供たちの9割が寺子屋に通っていた。識字率は70%以上。これを他国の識字率と比べてみると、イギリスの主な工業都市で20~25%、フランス14%なので、江戸は図抜けて高い。
 この就学率、識字率の高さを支えているのは、一に教育に対する親の理解、二に寺子屋教育の優れた点にあった。子供が成長して一人前になるには教育が欠かせないことを親が理解し、寺子屋教育がそれに応えていたのだ。
 寺子屋ではまず基本となる読み書き算盤(そろばん)、手紙の書き方などを学ばせ、次に子供たちの将来の職業に合わせて往来物と呼ばれる実用の書で勉強した。たとえば大工の子なら『番匠往来』、商家に奉公に出る子なら、『商売往来』、農民の子供には『百姓往来』などが教科書として与えられ、いわばマンツーマンの教育が行われていた。勉強に競争するものではなく、それぞれのレベルに合わせて生きる知恵を学ぶことだった。女の子には師匠の妻が裁縫を教えることもあった。