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現代の聖地、ディズニーの入園者減少

2005-11-20 07:07:08 | 生活・教育・文化・社会
 日本のリゾートの最大の集客を誇る、テーマパークの東京ディズニーランド、東京ディズニーシーが、05年度(4月から06年3月まで)の入園者数が25000万人と2年連続減少(04年比0.1%減)見通しとのこと。2年連続減少は、83年度開業以来初めてである。(朝日新聞11・9)
 リゾート法の後押しを受けて、バブル期に各地に第3セクターでつくったテーマパークの多くが消滅した。かろうじて残っているものも、苦戦しているようである。一人勝ちしているディズニーが、入園者減少とは意外な感がある。上昇を続けてきたことがむしろ特異であり、この辺が落ち着きどころかもしれない。

 ディズニーのキャラクター、歌、物語等は、保育園、幼稚園、学校はでも取り上げられることが多い。グッズ、衣類、寝具、幼児向けの雑誌、絵本、アニメなどあらゆる子どもの文化財に浸透しており、ディズニーから逃れられないといっても過言ではないだろう。今や幼いときからディズニー嗜好になる装置が出来上がっているのである。

 ディズニーは、文化が歴史や暮らしや宗教など人間の精神性と結びついたものというよりは、人間の感性のある部分に商品という形でうったえるアメリカ型の文化の典型である。
 おかしな表現であるが、バーチャルリアリティー(仮想現実)の体験空間でもあるのだ。その空間は、日常の砂塵にまみれた暮らしを洗い流してくれる。そしてなによりも、消費という行為のもっている誇大自己を満たしてくれる。
 その意味では、現代の聖地といってよいのではないだろうか。リピーターはさしずめ巡礼者のようでもある。ところが聖地といってもそこに行くまでの精神的昇華や修行などはなく、必要なのはお金なのである。

 数年前に、フランスにディズニーがつくられたという報道があった。ヨーロッパは歴史的文化を重んじることとプライドからか、フランスを訪れる観光客が多く利用するだろうとのことであったが、その後の様子を知りたいところである。この9月から、香港に日本の半分ぐらいの規模のものができたという。香港は内陸からの観光客が多くなっているので、中国人がアメリカ型の消費文化の象徴であるディズニーを楽しむことになる。
 マクドナルドは世界を席巻しているし、キューピーも100年ほど前にできたアメリカのキャラクターなのだ。アメリカ型文化が、世界を飛び交っているのである。

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