絵本と児童文学

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ビッグゲームでサッカーを楽しむ

2002-06-25 05:53:08 | サッカー
[48] ビッグゲームでサッカーを楽しむ     (2002年06月25日 (火) 05時53分)

 日本チームがトルコに敗れて1週間しかたっていないのに、遠い過去のように思える。高揚の後の喪失感がそうさせているのだろう。スポーツナショナリズムが主要だった人たちにとっては、もうW杯は終わったようなものだろうが、まだ4試合のビックゲームを残しているのだ。
 24日(土)は韓国×スペインとトルコ×セネガルを見た。韓国の、上昇の勢いとメンタリティーの強さと最後まで衰えない走力そしてチームとしての完成度の高さを、感じさせられた。5大会連続6回目出場で、1勝も出来なかった過去が、いっそうの国民上げての高揚をつくっているのだろう。
 また、イタリアやスペインならずとも、レフリー(ラインズマンも含めて)のジャッジへの疑問が残った。ミスジャッジもさることながら、改めてレフリーによって試合が演出されコントロールもされることを、実感したのである。韓国チームが、最後まで超人的に集中力が途切れないのもレフリーの試合コントロールの影響があるかもしれないと、ついとんでもないことまで考えてしまったのだ。とはいったても、サッカーは試合後VTRによる判定、と言ったことにはなじまない人間くさいものなので、いたしかたないが…。
 セネガルは、攻撃を厳しいしく押さえられるシフトを受け良さを出せなかった。トルコの、日本戦と違った生き生きした試合が印象に残った。
 さて、準決勝は今日の韓国×ドイツと、明日のブラジル×トルコである。韓国がさらなる奇跡のドラマを作るかに、注目をしたい。ブラジル×トルコはグループCでの試合の再現になるが、どのような違った試合展開になるかに興味がわく。


4 どろ団子づくり

2002-06-24 22:30:06 | 当世世間事情
[47]4 どろ団子づくり   (2002年06月24日 (月) 22時30分)

 久ぶりに幼稚園を訪ねる機会があった。その園では、テレビなどのメディアに取り上げられ、いま話題になっているどろ団子をづくりに取り組んでいた。硬くてピカピカの団子を、誇らしげに見せてくれた子どもたちであった。
 遊びについて親に話をしたのだ。完成したモノとの遊び(ゲームなど)が多くなっているが、子どもの能動性を育てるために、多様な遊びに発展する半完成のモノとの遊び(積み木など)や素材(砂場など)との遊びが重要ではないか、といったことを強調した。結果として、どろ団子づくりの活動を意味付けたことになった。メディアの影響力の大きさと、どろ団子づくりが似合う園生活の風景ってどのようなものなのだろう、といったことを考えながら帰路についたのだった。


スポーツナショナリズムの高揚

2002-06-19 09:14:32 | サッカー
[46] スポーツナショナリズムの高揚 (2002年06月19日 (水) 09時14分)

 日本チームが敗れるときが来てしまった。昨日のトルコ戦は、研究室で情熱的なサッカーフアンである、美和君と一緒に見た。あいにく会議のため後半途中までしか見られなかった。この会議の時間設定のとき、トルコ戦と結び付けられなくて、われながら悔しかった。会議に遅れてきた人に、日本の敗退を伝えられた。気がそぞろになった自分に気がついた。思い入れが意外と強かったのだと。
 予選リーグでのトルコの試合をテレビで見て、ワールドクラスの選手が多いチームといえども、日本のこれまでの戦い方をすれば勝てる、と考えていたのでかえすがえす残念である。イタリアだって負けたし・・・。私が危惧していた先発メンバー、コンディションの問題もあっただろう。
 それにしても日本中がスポーツナショナリズムで、高揚できたことは喜びである。この機にサッカーへの関心を深めた人も多かっただろう。サッカーに関心のある人は、4年に1度のW杯の質の高いこれからの8試合を、ゆっくり味わおうではないか。

植物が命を謳歌するとき

2002-06-18 04:42:19 | 身辺のこと・自然
[45] 動植物が命を謳歌するとき (2002年06月18日 (火) 04時42分)

 わが家の池に、驚いたことにザリガニが大きく成長していたのが見つかった。川から小魚を捕獲して放したとき、小さなザリガニを苦労して選別して避けたはずなのに。他の生き物にとって脅威なので、さっそく釣り上げた。ウグイがオレンジ色でオイカワがるり色をかもしだし、成魚となったようである。産卵期は鮮やかな色になるだろう。
 ヒメシャラの木に、白い小さな花が咲いては落ちている。ギボウシが、鮮やかな紫の花を咲かせ始めた。ヤマアジサイとホタルブクロが、今が盛りに淡い桃色の花をたくさん咲かせている。地面には、ミズヒキソウが白い花、ツユクサが白と水色の花を咲かせて加わってハーモニーを奏でている。それに小さなアサガオ(原種に近いらしい)が鮮やかな紫色、ハギが淡い紫色と、庭はもう夏である。
 この付近の林では、例年より早くカブトムシが活動し始めているとのこと。動植物が命を謳歌する、季節なのである。

田植情報:6月1日(土)に豊橋市、小田原市付近でしていたのを、新幹線から見えた。6月8日(土)は町田市付近でしているのを、小田急線から見えた。


決勝トーナメント1回戦-トルコ戦を前に

2002-06-17 12:49:07 | サッカー
[44] 決勝トーナメント1回戦-トルコ戦を前に   (2002年06月17日 (月) 12時49分)

 W杯は決勝トーナメントとなり1回戦8試合中4試合が終了し、64試合中10試合残すのみとなり、佳境に入ってきた。予選リーグは、フランス、アルゼンチン、ポルトガルなどの、旨くて内容のあるサッカーをするチームが敗れて大荒れであった。これは、ヨーロッパのシーズン終了後まもないことから、チームとしてつくりあげる途上にあったのも一因と考えられる。
 決勝トーナメントとなると、各国チームの戦い方は、後がないだけに壮絶なものとなり、内容としても見ごたえあるものである。昨日のセネガル×スウェーデンは、日本チームの当たる可能性があるので、そんな観点で見た。
 セネガルは、勢いに乗る若い選手の個人技で勝利したといってよい。その前提となる組織性を底流にしつつ、身体能力の高さからプレー開始の一瞬のスピードはすごく、スウェエーデンのDFを3人ぐらいをも抜き去るプレーが何回か見られた。それに意表を突くようにさえ見える、一瞬のミドルシュートである。気になったのは、とくに前半ボティコンタクトの際、本来反則なのだが判定しにくい肘を使った激しいプレーである。これを受けた場合精神的ダメージだけではなく、徐々に疲労の蓄積にもなっていく。
 反則といえば今回のW杯の審判課題は、シミュレーション(審判を欺く行為)である。反則を受けたとしてフリーキックをもらうための、オーバーアクションである。それにユニホームを引っ張る行為もである。前回のフランス大会では、背後からのボディコンタクト(バックチャージ)とタックルを課題とした。このようにW杯での審判の課題が、その後全世界の試合での審判の判定基準になっていく。私はやがて肘を使うプレーも課題になるのではないか、と思ったものだった。
 さて日本チームは、明日決勝トーナメント1回戦をトルコと対戦する。予選リーグの日本チームの戦い方は、どちらかというとトーナメントのようでもあった。1勝もしたことがないため、挑戦者としてとにかく勝利するという試合である。課題でもあったリーグ戦突破と、Hグループ1位によりブラジルとの対戦を避けたいということもあっただろう。
 ロシア、チュニジアと試合を進めながら、チームとしての完成度が非常に高くなってきたことが、容易に理解できるほどである。縦のポジションチェンジ、DFのフラットスリー弱点といわれていることの克服、そして精神的充実からくる集中が途切れないでする、攻撃的プレス(ディフェンス)などである。
 トルコは、プレーオフで勝利してW杯出場を決めたほど苦しんだが、ヨーロッパではこのところ進境著しい国である。00年のUEFAカップを、国内リーグのクラブであるガラタサライが制したし、ナショナルチームは00年のEURO(欧州選手権)でベスト8まで進出した。上昇の背景は、旧西ドイツを中心に各地に移住し、そこのサッカー環境で育ったいわば二世がそのままトルコ人として、あるいはトルコへ戻っているためである。
 もともとイスラムを国教(現在は違うが、現政権はイスラム色を打ち出している)としていたアジアだっが、政策としてヨーロッパに位置づくべく近代化路線を進めている。サッカーは文化として深く根づいているが、国の政策としてのヨーロッパ化のために大きな役割を果たしていると思われる。
 日本チームは、これまでのような試合ができたら上昇中であり、勝機はないわけではない。注目点は、これまでは対戦チームを研究し尽くしてそれに対応する戦い方をしたが、トルコ戦でも十分できているだろうか。トルコに対応したメンバー選出と戦術は、どのようになるだろうか。また選手の疲労は、どうだろうか。
 だんだん欲が出るわけではないが、22日(土)の大阪でのセネガル戦、あるいは26日(水)の埼玉まで、ジャパンブルーの声援で日本中が沸き立つことを期待したい。


3 殺菌スリッパ

2002-06-16 20:08:24 | 当世世間事情
[43] 3 殺菌スリッパ     (2002年06月16日 (日) 20時08分)

 歯科医に治療のため通院し始めた。3年ぶりだろうか、変わらない空間だがひとつだけ変化があった。待合から治療室へ入るときスリッパに履き替えるが、それが殺菌ボックスに入っている。上部を押すと、殺菌されたとするスリッパが下から出てくる。それを履いて、治療室へ行くのだ。
<スリッパを足入れに重ねて収納するのは、道理に合わないと多くの人が気づいている。そこに着目した商品であろう。『清潔はビョーキだ』(朝日新聞社)の著者の藤田紘一郎氏は、きっと意味がないという見解を持つだろうと思いつつ、こういった商品が普及するのは、今の人々気分を反映しているのだろう。もともと外靴を履き替えることは、主として日本独特の文化で、世界的には珍しいのだ。抗菌グッズの普及が、この手の清潔指向の力となり、人々のつながりでもある共有や公共という意識をもじわりと変えていく、とするのは考え過ぎだろうか。ちなみにこの商品は、「科学」雑巾など清掃用品メーカーであり、肉まんが禁止されている合成保存料を使用したものを長期間販売していた。ったく、「科学」的なんだから…。>


初勝利で、決勝トーナメント進出濃厚に

2002-06-10 00:35:16 | サッカー
[42] 初勝利で、決勝トーナメント進出濃厚に (2002年06月10日 (月) 00時35分)

 日本がロシア戦に1-0で勝利した。この勝利は、日本のサッカーの歴史に新しい1ぺージを加えたとともに、開催国としての念願である決勝トーナメント進出の可能性を強くした。
 日本チームは、ロシアの中盤でボールをつないで組み立てるサッカーに対して、早いプレスでパスを寸断し終始試合を支配した。
 前半日本はプレスとロングフィードも使い、試合の主導権をにぎるとともに、シュートに持ちこむ場面が多かった。ロシアはシュートを何本か打ったが、日本のディフェンスにコースを狭められたり、足元のボールを何とかシュートへ持っていくといったものであった。もちろんGK楢崎の安定したプレーもあった。日本に得点の可能性を感じさせるものだったが0-0で終了した。
 後半立ちあがりロシアが果敢に攻めた。ところが中田浩二から逆サイド前線へのグランダーのスピードで出たボールを柳沢が受け、ディフェンスラインまで上がってきていた稲本につなぎ、中央を突破して得点をした(6分?)。それからはロシアは反撃すべくFWの選手を2人投入したが機能せず、むしろ日本の中盤での支配力が高まった。早くボールを取ってシュートに持ちこみ、ロシアに終始ペースを作らせなかった。したがって日本は、ショートパスも使うようになったし、クロスは低めのボールも織り交ぜ、多様な攻撃的展開が出来た。楢崎のファインセーブもあったが、ロシアのシュートは日本からのプレッシャーのなかでのものであり、脅威ではなかった。それに中山、服部そして福西(いずれもジュビロの選手)の交代もゲームプランとしても成功した。後半の半ば過ぎの時間帯での中山の投入は、トルシェ監督からピッチの選手へ、攻撃しつづけるという強いメッセージでもあっただろう。終了のホイッスルの時は、1点を守りきっていたのだった。
 ロシアは、たとえばヒデのプレーを封じるといった、日本対策が試合に現れなかった。いや、日本がそれをさせないほど、つねにプレスをかけインターセプトからの早い攻撃をしたからだろう。攻撃的で最後まで切れない集中力は、日本チームのコンディションのよさと、トルシエ監督のサッカー哲学が選手に浸透していることが読み取ることが出来る。
 日本のDFのフラットスリーの中央は宮本だった。ラインコントロールだけでなく、果敢なプレーと時には前線まで上がることもあった。これはDFの連携の良さの反映でもある。弱点といわれているDFライン前のディフェンス(相手チームの2列目からのシュート)は戸田の激しいプレーなどで問題はおきなかった。
 得点は、攻撃的位置にいた中田浩二の逆サイドへのグランダーのボールを柳沢がポストになり、ボランチながらスピードに乗った攻撃参加の稲本のシュートであった。この3人のプレーはそれぞれの持ち味を十分発揮したものであった。
 ヒデはフリーキックも含めて6本ほどシュートをし、得点してもよさそうだったがバーに阻まれたり、実らなかった。しかしチームのゲーム展開をリードするプレーは、彼の人間的大きさを感じさせるものであった。彼はつねに勝利を見ているのだ。
 日本チームの終始攻撃をしつづけるファイティングスピリットは、すごい。その集中力が途切れない攻撃的で精密機械のような組織的スピードプレーは、もしベスト4ぐらいまで上り詰めたならば、世界的に注目されるサッカーになる、と考えられる。現代の組織的サッカーをきわめれば、ワールドクラスの選手が2、3人でも高いレベルのチームができる、ということとしてである。いいかえれば、日本チームにワールドクラスの選手が8人ぐら必要ということであり、もしかなえられたならFIFAランキング10ぐらいの世界トップクラスのチームになるということである。
 予選リーグのもう一試合のチュニジア戦(14日)で負けなければ、決勝トーナメント進出なるが、その可能性は濃厚といってよい。
 ちなみに私が気にしていた気温は28℃、湿度35%であった。それにレフリーはドイツ人であった。

 ついでであるが、稲本はイングランドの名門アーセナル所属であるが、レギュラーを確保できていないでいる。監督のベンゲル(元グランパスの監督であり、世界的名将とされている)が、来日して試合を見ている。チーム外でのアピールとしては、十分な活躍である。
(このコラムは、テレビで試合を見てすぐ書いたものである。)


ロシア戦を前に

2002-06-09 19:58:36 | サッカー
[41] ロシア戦を前に   (2002年06月09日 (日) 19時58分)

 W杯は開始から1週間過ぎ、2試合目にさしかかって予選リーグの山場を迎えています。スペイン、ブラジルが予選リーグ突破を決めました。W杯出場予選で苦しんだブラジルだが、ロナウドも好調でさすが強いです。早めに決勝トーナメント出場を決めたチームは、今後の調整に有利になります。
 下馬評の高いフランス、イタリアが苦しんでいます。フランス×ウルグアイは、W杯ならではの壮絶な試合となり、引き分けました(6日)。イタリア×クロアチアは質の高い試合で、クロアチアが勝ちました(8日)。
 2試合で予選敗退を決めたのは、サウジ(6日)、中国(8日)、スロベニア(8日)、ナイジェリア(7日)で、アジアがワールドクラスに及ばないことが浮き彫りになっています。
 まもなく日本とロシア戦が始まります。私がホームの特典として期待していた高温多湿ではなく、この時期としては異例に湿度が低いのです。ベルギー戦で明らかなように、日本チームのコンディションはとてもいいのです。とくに精神面の良さを感じられ、合宿生活を反映しているのでしょう。日本中がスポーツナショナリズムに沸き立ち、それが17日か18日まで続けられることを期待しましょう。

1親が子どもをしかる  2怒る女性

2002-06-06 18:33:49 | 当世世間事情
40] 1 親が子どもをしかる     (2002年06月06日 (木) 18時33分)

 自然公園の駐車場でのこと。父親が3人の子どもを連れて歩いていた。父親からわずかに離れて歩いていた1年生ぐらいの長女が「一緒に歩けないなら車に引かれて死んでしまえ!」と叱責された。(02・6・2)
 この言葉が私にも飛込んできて、ドキッとした。言われた子どもはじっとそのまま歩いていた。父親がその言葉を発する事情は定かではないが、こんな言葉の投げかけが繰りかえられると、子どもは自己肯定感を失っていくだろうな。これに類似していることで、かなり以前から母親が自分の子どもに対して「そんなにぐずぐずするなら置いて行くわよ」といってさっさと歩いてしまことが見られた。子どもは必死で母親についていくのだ。こんなことを通して、子どもは母親に密着するようになる。かくて母親は自分になついていると思って、安心するのだ。

2 怒る女性
 ドアの近くで体が部分的に接触する可能性があるぐらいの、電車でのこと。乗換駅で50前後の女性が「本なんか読んでいる場合じゃねえだろう!」とどなりちらして下車した。言われた20代の男性は、あっけに取られてその人の後姿を視線で追っていた。(02・4・ )
 女性は、自分が下車する進路を妨害されたとでも思ったのだろうか。そういえば2、3年前から満員電車は、男性が控えめに気遣いをしている感じ。痴漢キャンペーンが浸透してきているのだろう。それに痴漢の冤罪を、大変なエネルギーを注いで裁判でたたかったて無罪になった例もあるからな・・・。別な観点からすれば、乗っている人どうしがとげとげしくなっているようにも感じる。ささいと思われることで、激しく衝突していることにも遭遇したこともある。そう言えば殺人にまでなったこともあったっけ。

日本はどう戦うか

2002-06-03 22:50:18 | サッカー
[39] 日本はどう戦うか    (2002年06月03日 (月) 22時50分)

 明日のベルギー戦をかわきりに、日本の予選リーグ3試合が始まります。日本チームについて、メンバー決定時などにふれるべきでしたが、タイミングをはずしてしまったので、これからの試合を見る参考になればと思い、考えてみます。
 サッカーは、アメリカのスポーツである野球やアメフットのように、近代の特徴である役割分業、効率、あるいはインタバルがあるといったのでなく、いわばアナログ的文化です。
 ポジションという役割はあっても狭く固定したものではなく、ピッチ全体を視野にしかも相手との戦況によって複合的に役割をこなさなければなりません。とくに現代のサッカーは、トータルサッカー(全員攻撃全員守備)の方向を歩んでいます。トータルサッカーは74年のオランダチームによって披露された、サッカーに組織性の重要性を提案する画期的なものでした。サッカーというスポーツ文化の特徴から、選手の個性と構成員総体と監督の構想などによって、様々な特徴を持ったチームを作ることになります。
 チーム状況をふまえて監督の構想によってシステムと戦術を持ち、チームが作くられます。それを対戦相手チームの特徴に対応する戦術を持ち、試合に臨みます。競技結果だけではなく、そのような試合内容めぐって考えをめぐらしたり語り合うこともサッカーのおもしろさです。
 日本選手良さは、個人技が比較的高い、組織性とそのスピードがある、戦術的高いサッカーが可能、運動量とねばりがあるといった点です。それに対してフィジカルが弱くボディコンタクトに負ける、ワールドクラスで通用する選手が少ない、FWで得点力のある選手が少ないといった弱点があります。
 日本はトルシエ監督によって、象徴的にはディフエンス(DF)をフラットスリーのシステムを採用しているのが特徴です。これはよく使われるフォーバックのディフェンシヴな布陣よりは、攻撃的なサッカーのシステムです。つねに攻撃の意識を持ち、しかもスピードにのった組織的な攻撃という、難しいサッカーでもあります
 3人のディフエンスがバックスのラインを上げて中盤をコンパクト(狭く)にします。その場合つねに相手選手にプレスをかけ、自由にプレーをさせないだけでなく場合によってはインターセプトをして攻撃につなげます。それは同時に、これはボティコンタクトをさける戦術でもあります。
 攻撃であるFWは2人(ツートップという)で、MFはDFの前にダブルボランチの2人とその前の両サイドに2人、その少し前の中央に1人(トップ下、あるいは2列目ともいう)というシステムです。
 このシステムは、FWもMFもプレスをかけてゲームを支配しなければならないので、相当な運動量と組織性を必要とされます。それをしなければ、数的不足のディフエンスをオフサイドトラップで攻撃を断ち切るだけでは、リスクがともないます。
 また、DFのラインが上がることが多いので、GKはゴールエリアだけではなく、ぺナルティエリアをもプレー範囲としなければなりません。ゴールマウスを守るだけではなく、時にはDFのフィルドプレや-のようなプレーを要求されているのが、現代のGKです。日本の3人のGKの中でポジショニングとファイティングスピリットで優位なのが、川口といえるでしょう。
 ここで先発メンバーの有力な選手を例に、ポジションの特徴ついてイメージをして見ましょう。フラットスリーを維持するための中央は、トルシエは森岡隆三によって可能という構想です。相手の攻撃への対応だけでなく、ラインの上げ下げの状況判断とその一瞬のタイミングも求められます。右の松田直樹は、身長が高くスピードがあり身体能力が高い選手です。左の中田浩二は、戦術能力が高く戦況判断がよい選手です。フラットスリーの早期の理解者でもあります。ディフエンスの対応だけでなく、時には前線のロングボールも正確です。
 ダブルボランチの戸田和幸は、戦況を見て枚数の足りないのディフェンスと危ないときは激しいプレーで対応するのでトルシエの信頼は厚いでしょう。稲本潤一は、戦況によっては攻撃参加をし、そのスピードで力を発揮します。
 MFの右は対戦相手によって先発は様々考えられます。スピード攻撃参加の場合は、市川大祐が考えられます。スペースへ走り込んでパスをもらいクロスを出すといった仕事が出来ます。左も相手によって様々な選手が考えられます。小野伸二の場合は、前線へのパスは攻撃の多様さを作るのと、ワールドクラスのプレーやとして貴重です。ヒデはトップ下でしょうが、彼へのチームとしての期待は、パッサーとしてと2列目からのストライカーカーとしてもです。ワールドクラスのプレーヤーですから、タイトなマークは覚悟しなければなりませんが、彼に負担がかかりすぎるようでは、かなり劣勢の試合になるでしょう。
 FWは、ディフエンスをこじ開けるというタイプの選手はいないのです。ポストプレーやスペースを作る動き(いわゆる第3の動き)のタイプばかりです。今回のメンバーとちょっと違うタイプのFWは、高原(ジュビロ)や久保(サンフレッチェ)でしょう。とくに高原は日本にはあまりいないストライカーになる可能性があると、私は見ています。鈴木、柳沢と西沢、森島はコンビで力を発揮するという観点もあったかもしません。鈴木が得点をめったにしないのに選ばれているのは、FWのディフンシヴなプレーに対する評価でしょう。柳沢はポストプレーが、彼のよさです。FWは、残念ながらワールドクラスの選手がいないだけではなく、ストライカーとしての凄みを持っている選手もいません。MFとの(いわゆる2列目)コンビネーションで得点をたたき出すわけです。
 いずれにしても日本は細かい戦術とそれに必要な組織性とスピードで、最後まで集中が途切れないでプレーをすることによって、勝機がめぐってきます。
 ベルギーは身長190センチのディフエンスの堅い守りから、すばやいカウンター攻撃のチームです。ミスを少なくボールをつないでゲームを支配できる時間が多く出来れば期待が持てます。しかしW杯常連でもあるベルギーであり、劣勢を覚悟して前半を0か1点で押さえられれば光がみえてくるでしょう。後半は、勝とうとすればむしろ負ける可能性がでてくるので、状況によっては引き分けねらいでいくと勝利が転がり込んでくるかもしれません。それがリーグ戦の戦い方でもあります。
 それに蒸し暑い気候になれば、後半にベルギーの運動量は落ちるでしょう。雨が降ると日本のスピードに乗ったパスによる試合の支配が出来なくなり、空中戦になると、日本は苦しむことになります。