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社会的距離、ソーシャル・ディスタンス

2020-04-10 16:59:58 | 生活・教育・文化・社会
 ウィルスを拡散させないために「出かけないで家にこもっていてください。ステイホームです」と呼びかけられていますが、人間にとって人との関係を断つとはつらいことです。
 もし人と関係を持つ場合、あるいは人混みは社会的距離をとってくださいとのこと。英語でソーシャル・ディスタンスといいます。にわかに社会的距離が、ウイルス対策のため対人距離のキーワードとして、多くの人に行き渡るようになりました。しかし突然言われだした社会的距離という概念は分かりづらいです。
 人によってはフィディカル・ディスタンスとした方がよいという見解を持っている人がいます。対人距離なのでそのような表現がよいということです。医師の鎌田實氏は「離れてつながる」ということが大事ということです。対人関係を断ち切ることではなく、からだの距離をとるがつながらなければならない、とのことです。なるほど納得です。

 ところでにわかに世のキーワードになった社会距離という概念の出どころは、アメリカのE・T・ホールによる近接空間学からです。そこから一部を取り出したものなので、内容の全容を紹介します。次のように区別されています。

密接距離(0~46センチ)親密距離とも言い、ボディコンタクトが可能な距離。
私的距離(~1.22センチ)親しい関係、あるいは親しくしたい距離。
社会距離(~3.33センチ)公的空間をかろうじて保てる距離。
公共距離(~7.62センチ)お互いに直接関係を持たない距離。演劇、選挙演説会など。
 
 このように対人距離、あるいは空間の距離全体のなかでの社会距離の位置づけが分かれば、理解しやすいのではないでしょうか。
 この空間と対人距離のとり方を自分のものにすると、対人関係あるいは空間環境状況の見方や使い方など役立ちます。
 もともと家族など親しい人以外は、社会距離ぐらいの方がよいのですが、日本では公の場電車等では親密距離、私的距離が多いです。日本の生活様式からして平気ですが、人によってはそれ自体がストレスなっている場合があるでしょう。
 欧米の場合は出会い・挨拶で密接距離によって相互確認をします。そのような関係でない場合は社会距離ぐらいをとります。無関係なのに私的距離までになるとトラブルを発生させる場合があります。

 佐藤綾子著『自分をどう表現するか―パフォーマンス学入門』(講談社現代新書 95年10月初版発行)から引用しましたが、説明文はぼくが書いたものです。距離の数は、インチをセンチにしたものなのでおおよそと理解した方がよいでしょう。

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