「○○をさせていただきます」という表現は、いつのころからか頻繁に耳にするようになった。何かの会合で説明をする際の冒頭、国会での議員のやり取り、さてはNHKのアナも時には口にする人がいる。
わたしはこの言葉に抵抗があって使わない。そのような言葉文化圏で育たなかったことと、人間の関係性に虚飾を廃しフラットな関係を望むからかもしれない。わたしの言語感覚からすると、「させていただきます」を多用されると慇懃(いんぎん)無礼な思いになることがある。本来の人々への敬いというより、話の開始宣言、あるいは異論を示すときの枕詞だったりすることもある。そして「させいただきます」という表現を使って自分を励ましている、あるいは気取っていると思う場面にも遭遇している。
また日本語について造詣が深い、作家井上ひさしが90年代初めに出した本に「待遇表現の多用は問題」という記述があったので、わたしはそれに納得している。井上ひさしは「させていただく」という謙譲表現を、待遇表現という概念を使っている。
ところで「させていただく」は、わたしの推測では東海、関西(とくに京都)中国地方などでは、謙譲の意味をさほど持たせなくて使う言語文化ではないか。地域によっては謙譲の意味をこめなくとも「○○をする」を「○○をさせていただく」というのである。たとえば「入所している」を「入っておられます」と表現をする。それに電車のアナウンスの場合でも「ご利用の皆様」を「ご利用されている」という具合になる。
このように地域の言語文化が、全国的に普及してきたと思われる。それに商的サービスコミュニケーションという業界表現が、一般化して多用に拍車をかけたのではないか、とも思っている。
さて普段気になっているこの表現について、朝日新聞8月30日(夕刊)の「窓-論説委員室から」(清水建宇)が取り上げていた。
タイトルは「させていただく」であり、この表現が増加したことについて、「過剰な敬語では敬意は伝わらない。その場にふさわしい正しい敬語を使う習慣が広がってほしいものだ」として、多用を戒めている。
それによると朝日新聞のデーターベースでは、「させていただく」表現は、87年まで年に十数件、97年100件を超え、01年に200件、05年300件と、うなぎ上りの増加である。
文化審議会国語分科会は、今年1月の敬語小委員会で「させていただく」を取り上げたとのこと。
「本来、それによって恩恵を受ける場合に発する謙譲表現である」この用法を、このように気持ちをこめて「させていただく」を使っているだろうか。そして「ただし、実際に許可や恩恵を受けていなくとも、受けているかのように見立てて相手を敬う発想が日本にある。だから、本来の用法より広く使われやすい」としている。そして「わたしは○○高校を卒業させていただきました」という不適切な事例を挙げている。
わたしはこの言葉に抵抗があって使わない。そのような言葉文化圏で育たなかったことと、人間の関係性に虚飾を廃しフラットな関係を望むからかもしれない。わたしの言語感覚からすると、「させていただきます」を多用されると慇懃(いんぎん)無礼な思いになることがある。本来の人々への敬いというより、話の開始宣言、あるいは異論を示すときの枕詞だったりすることもある。そして「させいただきます」という表現を使って自分を励ましている、あるいは気取っていると思う場面にも遭遇している。
また日本語について造詣が深い、作家井上ひさしが90年代初めに出した本に「待遇表現の多用は問題」という記述があったので、わたしはそれに納得している。井上ひさしは「させていただく」という謙譲表現を、待遇表現という概念を使っている。
ところで「させていただく」は、わたしの推測では東海、関西(とくに京都)中国地方などでは、謙譲の意味をさほど持たせなくて使う言語文化ではないか。地域によっては謙譲の意味をこめなくとも「○○をする」を「○○をさせていただく」というのである。たとえば「入所している」を「入っておられます」と表現をする。それに電車のアナウンスの場合でも「ご利用の皆様」を「ご利用されている」という具合になる。
このように地域の言語文化が、全国的に普及してきたと思われる。それに商的サービスコミュニケーションという業界表現が、一般化して多用に拍車をかけたのではないか、とも思っている。
さて普段気になっているこの表現について、朝日新聞8月30日(夕刊)の「窓-論説委員室から」(清水建宇)が取り上げていた。
タイトルは「させていただく」であり、この表現が増加したことについて、「過剰な敬語では敬意は伝わらない。その場にふさわしい正しい敬語を使う習慣が広がってほしいものだ」として、多用を戒めている。
それによると朝日新聞のデーターベースでは、「させていただく」表現は、87年まで年に十数件、97年100件を超え、01年に200件、05年300件と、うなぎ上りの増加である。
文化審議会国語分科会は、今年1月の敬語小委員会で「させていただく」を取り上げたとのこと。
「本来、それによって恩恵を受ける場合に発する謙譲表現である」この用法を、このように気持ちをこめて「させていただく」を使っているだろうか。そして「ただし、実際に許可や恩恵を受けていなくとも、受けているかのように見立てて相手を敬う発想が日本にある。だから、本来の用法より広く使われやすい」としている。そして「わたしは○○高校を卒業させていただきました」という不適切な事例を挙げている。