絵本と児童文学

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里山とビオトープ

2002-04-21 14:57:32 | 身辺のこと・自然
[35] 里山とビオトープ        (2002年04月21日 (日) 14時57分)

 知多半島の丘陵は、萌え木がいっぱいで新緑が鮮やかです。木々の緑の濃淡がかもしだすハーモニーは、生命力があふれて爽快な気分にしてくれます。
 大学のそばの水田は、代掻き(しろかき)の作業まっただなかです。水田には水が張りつめられ、早苗が用意されているので、もうすぐ田植えになるのでしょう。9月には稲刈りなので、田植えが早いのです。山菜も取れるとのことであり、里山にある大学です。里山は人間にとっての良さを再認識せねばと、注目されている環境です。
 近代化のために失い欠けている棚田を守る運動、林業の衰退で荒れた森林を再生育成する森林ボランティア、農家に宿泊して農業体験をするグリーンツーリズムなどは、環境を守り維持することと、自然のなかで人間が暮らすことの大事さ取り込もうとしていることです。その流れはささやかでも、徐々に大きくなってきています。あわただしく画一的な暮らしを見なおそう、という発想ともつながっている考えでもあります。
 さて、里山を小規模にして誰もが暮らしに採りこもうとするのがビオトープであり、数年前からだんだん広まっています。今もっとも定着しているのは学校です。(財)日本生態系協会主催による、全国学校ビオトープ・コンクールは昨年が2回目になっています。コンクールは、強烈な啓蒙と誘導の役割を果たしています。
 ビオトープとはドイツ語ですが、人間の生活圏に動植物が生息する空間を作ることです。水と土を用意すればよいので、高層住宅のベランダでも大き目の水盤で可能です。水に魚を飼い水草を植え土の部分に野草を植えるのです。時には鳥が水を求めて立ち寄ります。
 ところでわが家は、狭いながらもビオトープガーデンです。ビオトープを成熟させていくには年月が必要です。始めて1年半ですからこれからといったところですが、自分で設計したもので、草木の成長にそって手入れと観察を楽しみます。手入れといっても、いわゆる園芸のガーデンのように人工的に造るのではなく、自然にゆだねそれを許して育てていくという発想です。
 野草は、全てを在来の里山に自生しているものとし、成り行きで生えるいわゆる雑草といわれているものす。雑草は11月から1月を除いては、季節ごとに入れ替わるのを楽しめます。山野草は今、エビネ、シラン、スズランの花が盛りです。エビネの花は、外側の紫褐色に唇弁が淡紫色で、咲きながら茎の丈が伸びていく味わい深いものです。シランは勢いのある長い葉から、その名のとおり鮮やかな紫の花が見事です。
 どこからか種が来て根づいたものに、オオマツヨイグサ(月見草、宵待草ともいわれている)の種があります。本来の黄色でなく白色です。夜から明け方まで白の花が咲き、朝はしぼんで桃色でだんだんそれが紫色になっていきます。今朝花を発見したので、8月いっぱいの長期間楽しめます。
 水深40センチほどの池は、流水ではないので週1回ぐらいモーターの掃除を必要とします。アシ、スイレンなどの水草が生えていて、ヌマエビ、タニシ、ドジョウ、フナ、モツゴ、モロコ、ハヤなどの魚がいます。全て地元の川から捕獲したものであり、池ですでに産卵して育っています。去年の5月の連休には、ヤンマトンボが池から飛び立ち感激したものです。
 野鳥を呼び寄せるようにしているため、水を飲んでいるのを見かけるときがあり、そのときはつい息を凝らすように見つめていまうのです。
 なお、ビオトープについてHPで知りたい方は、日本ビオトープ管理士会あるいは日本生態系協会にアクセスしてみてはいかがでしょうか。ビオトープ管理資格を作っています。

23日は子どもの読書の日

2002-04-20 23:49:17 | 絵本と児童文学
[34] 23日は子どもの読書の日     (2002年04月20日 (土) 23時49分)

 制定されて初めての、子どもの読書の日である23日が近づいた。その日から子どもの読書週間とも伝えられているが、この情報にアンテナを高くしているつもりの私も詳細はつかめていない。よくあることとして、啓蒙や運動のためのイベントがありそうだが分からない。おそらく多くの人にゆきわたらない、子どもの読書の日となりそうだ。
 文科省が所轄し、全国の市町村が子どもの読書計画策定し公表することになっており、推定では4月には150市町村に及ぶとのことである。このような市町村の実施を支えていくブックスタート支援センター主催による、第1回「ブックスタート運動」の全国大会は、2月7日開かれた。『毎日新聞』(02・2・27)の報道から状況をみることにしよう。参加者は全国から460人。
 内容は先進的取り組みの3市町村(岡山県西栗倉村、愛知県幡豆町、北海道恵庭市)の事例報告。松居直(福音館書店元社長・作家・評論)、正高信夫(京大霊長類研究所・比較行動学)、岡崎義子(高槻文庫連絡会代表)によるシンポジウムである。
 「ブックスタート運動は絵本の普及運動ではない。言葉をどう伝え、育児で孤立・不安なお母さんを幸せにする運動だ」「言葉の本質である『語る』『聞く』を大切にしよう。文字はずっと後だ」と松居氏。
 事例報告によると、読みかかせの開始や絵本配布年齢が、幡豆町で3~4カ月児、恵庭市9~10カ月の健康診断時とのこと。図書館職員、保健婦、読み聞かせグループによる取り組みをしている。取り組みの実際を知りたいところだが、気になることとして配布する時期が早いことである。
 0歳の絵本の絶対量がまだ少ないため、選択が限られたものになる。この年齢の子どもと感情を込めた声と語りによるていねいな親子の交わりの必要はいうまでもないが、絵本を介在にしなければならないのだろうか。絵本の絵などの、あるものに子どもが着目できるのは、1歳過ぎから始まる指差し行動をするようになってからである。0歳の子どもに、本を親が代読するようになることは避けたいものである。0歳の親子の交わり方とともに、絵本の位置付けを考えていく必要があろう。
 私の出身地の小さな町でも、先進的取り組みの市の人による研修会をした、と新聞報道をされていた。政府が法律をつくると、当然のことながらその進展は早いものである。実践は行政だけでは展開できないし、良い内容をつくるのはサークルなど民間の力のはたす役割は大きい。
 いまのところ、これまで絵本と児童文学の普及と研究をしている団体があまり関心を示していないようにみえる。親子読書・地域文庫全国連絡会の『子どもと読書』には、わずかの紹介記事かあった。子どもの本研究会の『子どもの本棚』は、編集後記に触れているだけ。日本児童文学者協会の『日本児童文学』はまったく触れられていないのである。
 参考までに、ブックスタート運動に焦点を当てて出版された本を紹介する。『人生ではじめて出会う絵本100』(別冊太陽116、平凡社、02・1・13発行、1990円+税)。

春たけなわ

2002-04-02 05:49:21 | 身辺のこと・自然
[33] 春たけなわ   (2002年04月02日 (火) 05時49分)

 ソメイヨシノが、例年になく早く咲いて散り始めている。わが家の庭の野草は春のにぎわいになって来た。 ワスレナグサが紫色の花、ハハコグサが黄色の花、オドリコソウが桃色の花、カタバミが黄色の花、野生のスミレが紫色の花といったところである。
 いずれも小さく淡い色であり、見過ごされてしまうような草花たち。今年初めて目にするものもあって、どこから来たのかなと想像したり、生命力に感心したり、秋まで代わる代わる芽を出してくれるのが雑草の楽しみである。
 低木のヤマブキが鮮やかな黄色の花をつけはじめ、ミツバツツジの赤い花も膨らんできた。
 小さな池の魚たちの泳ぎが活発になり、今日はミズスマシを見つけた。
 今日は入学式であり、また新しい学生たちとの出会いがある。授業開始は来週からであるが、ゼミは部分的にでも3、4生が合同でしようと考えている。また、去年休んだ2年生の総合演習Ⅱの「セクシュアリティとジェンダー」を再開する。
 あちこちで緊張と喜びの新しい生活に取り組み始める、初々しい人達に出会うことになる。私も心新たにする、春が始まる。
 いつのまにか朝5時過ぎには空が白みかかるようになって、小鳥のさえずりを耳にする。春たけなわ、なのである。

近づくW杯に期待ふくらむ

2002-04-01 16:18:22 | サッカー
[32] 近づくW杯に期待ふくらむ    (2002年04月01日 (月) 16時18分)

 ポーランド戦(28日0時~)は、見ごたえある試合だった。前線からの早いプレスとラインを上げた安定したディフエンスで日本のペースを維持し、攻撃的サッカーに終始できた。日本チームは、柔らかく所々波打っているというピッチのコンディションと、ポーランドの特徴である堅い守りからのカウンター攻撃を消すことを考えた試合をした。いつものグランダーのパスをつながぐことをせず、ロビングで速めに前線に出す展開をしたのだ。
 得点の1点目は、ヒデから右サイドのスペースに走り込んでもらった市川のセンタリングをディフンダーがトラップミスをしたのをヒデが走り込んでシュートを決めた(10分)。2点目も、やはりヒデがらパスを受けた市川が、前線の逆サイドに出したボールを高原が決めた(42分)。 日本は主力(名波、伊東、服部、森岡)をけがで欠きながらも、25歳の若手中心によく戦った。改めて選手層が厚くなったことと、この4年間の日本サッカーのレベルアップに驚くばかりである。たまたまピッチでプレーした選手でも、誰もが指定席の切符を手にしたとは思っていないぐらいである。

 W杯開始60日前になって、日本チームのテストマッチの戦い方と代表に誰が残れるかに関心がしぼられてきた。1~2月までの合宿は40人余りを召集し、目下30ぐらいに絞ぼられている。5月1日の予備登録で23人が決まる(正式には21日)ことになる。その中でもピッチ立てる選手は、1試合最大で14人(交代3人まで)という狭き門である。当然のことながら代表に選ばれたとしても、W杯のピッチに1度も立たない選手も出るのだ。
 振り返れば、フランス大会のときは指定席と思っていた選手がメンバーから外れて帯同を拒否して帰国して大騒ぎになった。サッカー界では指定席などありえないのに、日本のフアンとマスコミに同情論があり監督を非難するも向きもあった。当時岡田監督の自宅は警備体制をしいたり、家族の行動も制限されたという。このときの監督の選手選考は、スポーツでは明確な能力主義と監督の権限と責任で合理的にやったまでである。これはスポーツに持ちこまれてはまずい悪しき日本文化を葬り、その後のサッカーの水準を高めることに道を開いたエポックメーキングだったと、私は岡田氏評価している。今日のトルシエの選手選考の方式に、多くの人が異論をはさんでないことは、あのときの体験から学んだのではないだろうか。
 その前のアメリカ大会のときは、ドーハーでの予選でロスタイムに得点を許し負けた。あのときの落胆ぶりは、今となってみれば日本チームの力そのものだった。とてもW杯に出場できる力があったとは思えない。しかも当時はピッチの選手とベンチの選手との力の差さえ大きかったものだ。

 ところで選手はどのように選ばれるを、考えてみることにする。
 野球の場合は、個人データーがでるのでそれを資料にして選ぶ。ジャイアンツのように、長距離バッターをそろえることもある。チーム編成としてそれでよいのか、という疑問を持つ見解はあるにしても、いわば足し算が成り立つのである。チームプレーといっても、個人の集合体のような性格のスポーツである。
 それに対してサッカーは、ナショナルチームクラスでは、監督のチーム戦術から割り出した選手の組み合わせで選考するといってよい。いわば掛け算なのである。サッカーは、プレースタイルでも個性が大事にされるスポーツである。その個性を基にしつつ、たとえばパスでも選手どうしの瞬時のタイミングで試合は展開されていく。いわば「得点という目的のためにそれぞれ違うことをする」スポーツといってよく、組み合わせによって選手の良さが出るというもの。個性を出し合う、チームスポーツである。
 技術水準が高くとも、監督のチーム戦術に合わなければ選ばれない場合もありうる。日本も40人余りから必要な選手を選べるという、ようやくW杯出場を可能にする国の条件が整うぐらいになってきたのだ。
 ポーランド戦の得点に全て絡んだ市川(エスパルス)は、フランス大会のとき高校生で帯同組だった。トルシエになって、今回初めてピッチに立った。彼は、4バックシステムを採る場合の、右のサイドバックからスピードに乗ったオーバーラップの攻撃参加が持ち味だった。フラットスリーシステムのトルシエにとっては、選考にあがらなかったのだ。市川は、持ち前のスピードの上にボールテクニックの向上、アーリクロスの精度が高くなった、などから代表に選ばれないのは残念と、私は思っていた。今回は右のMF(いわゆる2列目)として、ヒデとうまく機能したため活躍できたのだ。ヒデは、スペースをつくりそこへスピードで走りこめる選手と組むと、自分の持ち味も出せるしパートナーも活かせる。このポジションには森島(セレッソ)がいる(場合によっては小野も)し、ディフェンブの場合は波戸もいる。市川が定着できるとは限らないのだ。
 これまで左サイドからの攻撃のタレントが多く(中村、三都主など)日本チームの特徴とされていたが、右からの攻撃の可能性も明るくなった。トルシエとしては、相手チームによってチーム戦術の幅が増えたので、直前になってもなお競争によって向上し続ける選手たちに確信を持ったころだろう。

 2月いっぱい続いた参加チームのキャンプ地誘致は、28ヵ所決まった。誘致のために多額の費用をかけて施設を造っただけではなく、滞在費の負担をする自治体もある。滞在費負担は、日本マネーは引き出せるという足元を見られているようであり、悪い慣例を作るのではないかと割りきれない思いがある。それにサッカーをよく知らないで誘致合戦を目的化したり、経済効果を当てにしている場合は、終わった後当事者が空虚感を持ってしまうかもしれないことを心配している。
 これからは参加各国のテストマッチも盛んになり、それへの関心が向く。とりわけ日本のグループHのベルギー、ロシア、チュニジアの戦いぶりを、私はテレビで見ている。ただしその国のチームが、大会に向けてチームコンデションづくりがどの段階かを、加味して見なければならない。本当に強いチームは、70%のぐらいの仕上がりで大会臨む場合もあるものだ。日本の当面はコスタリカ戦(4・17横浜)ホンジュラス戦(4・29国立)になるが、選手を決めてからの5月からのテストマッチからW杯モードになるのである。
 W杯は、のべ330億人がテレビで見るオリンピックをはるかにしのぐ、世界最大のスポーツイベントなのである。