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命拾いした選挙だった

2014年02月12日 10時31分14秒 | 戦争・改憲よりも平和・人権


 東京都知事選の感想について書くつもりでいましたが、喉が痛くてそれどころではありませんでした。このままでは時機を逸してしまいますので、取り急ぎ言いたい事だけ端的に述べさせてもらいます。

2014年都知事選データ
・執行日:2014.2.9 投票率:46.14% (前回比-16.46ポイント)
・主要候補の得票数・率、新旧別・所属党派:
 ・舛添 要一 2,112,979 43.40% 無所属・新 自民都連・公明推薦
 ・宇都宮健児  982,594 20.18% 無所属・新 共産・社民・みどり・新社会推薦
 ・細川 護煕  956,063 19.64% 無所属・新 民主・生活・結いの党推薦
 ・田母神俊雄  610,865 12.55% 無所属・新 維新・新風推薦

 今度の都知事選挙では、やはり下馬評通り自公推薦の舛添が当選してしまいました。これを見て宇都宮・細川支持者の中には意気消沈している人も多いようです。私は「何を寝言を言っているのか」と思いますね。こんな稚拙な選挙戦を展開しておきながら、この程度の傷で済んだのですから、寧ろ「不幸中の幸いだった」「命拾いした」と胸をなでおろすべきではないでしょうか。勿論、これは皮肉で言っています。

 何故そう思うのかは、上記の得票データをご覧になられたらよく分かります。今まで一致して石原や猪瀬を推し、しかも労働貴族の連合まで手なずけて、毎回大量得票を重ねてきた保守陣営が、今回初めて舛添・田母神の双方に分裂したのですよ。分裂選挙になったのは何も左派・リベラルだけではありません。そういう意味では、左派・リベラルにとっては、今回は都政奪回の千載一遇(せんざいいちぐう)のチャンスだった筈です。そのチャンスを前に、自分たちも保守と同じ愚を犯した挙句に、舛添に勝利をかっさらわれてしまったのですから。

 寧ろ「勝ったのが田母神ではなく舛添でまだ良かった」と私は思っています。今の安倍政権・自民党の動向からすれば、田母神を推薦する方に回っても一向に不思議ではありませんでした。思想的には舛添よりも田母神の方が、安倍政権の「本音」に近いのですから。でも、猪瀬辞任に伴う急な選挙で他に適当な候補が見当たらず、「後の東京オリンピックの事を考えれば流石に極右の田母神では拙い」という事で、「とりあえず知名度があり一番勝てそうな舛添で今回は我慢しておこう」となったのでしょう。

 舛添にはかつての石原や猪瀬の様なカリスマ性や指導力はありません。それどころか、政党助成金流用疑惑や女性スキャンダルも抱え、いつ失脚してもおかしくない状況にあります。どうせ短命都政に終わるでしょう。その後で、たとえオリンピックや公明党との協力関係にはマイナスに作用しようとも、「今度こそ田母神だ」と自民党が判断した時に、それに対抗できるだけの勢いが今の左派・リベラルにあると思いますか。今のままでは確実に負けますよ。
 実際、上記のTBS選挙特番データによっても、20代有権者の10.5%、30代有権者の20.7%が田母神に投票した事が明らかになっています。もっとも、投票率が一番低かったのも20代ですから、そのうちの1割の動向だけで世代全体を決めつける事は出来ません。しかし、他の候補が全然食い込めていないのに、田母神だけが一定食い込める事が出来た事については、今後警戒が必要でしょう。

 では、石原・猪瀬亜流のネトウヨ(ネット右翼)やホリエモンみたいな奴らから都政を住民に取り戻す為に、左派・リベラルは何をすべきなのか。まずは現在の立脚点を冷静に分析すべきでしょう。そうすれば、宇都宮・細川の非保守2候補の得票合計が舛添票に肉薄している事が分かります。そんなに悲観すべき状況でもない筈です。いくら前日の大雪被害のなごりが残っていたとは言っても、選挙戦術如何によっては、もっと票の上積みは可能だったと思います。
 少なくとも候補者一本化に成功し、2007年都知事選と同じ54%まで投票率を引き上げる事が出来、その時に得票した浅野・吉田両候補の合計2,322,872票(得票率42.18%)と同じ数を押さえる事が出来れば、舛添に勝つ事が出来たのですから。

2007年都知事選データ
・執行日:2007.4.8 投票率:54.35% (前回比+9.41ポイント)
・主要候補の得票数・率、新旧別・所属党派:
 ・石原慎太郎 2,811,486 51.06% 無所属・現 自民・公明推薦
 ・浅野 史郎  1,693,323 30.75% 無所属・新 民主・社民・国民新党推薦
 ・吉田 万三   629,549 11.43% 無所属・新 共産推薦
 ・黒川 紀章   159,126  2.89%  諸派・新  共生新党公認

 その為には候補の一本化は不可欠ですが、単なる数合わせではなく真の団結・共闘が勝ち取られなければなりません。後から出馬したくせに「俺の方が知名度に勝っているからお前は降りろ」と一方的な態度を取ったり、自民・保守陣営とも本質的には変わらない専制・金権体質を温存したままでは、有権者の心を揺り動かす事はできません。
 公約のすり合わせも必要です。より多くの人に受け入れられる公約にしなければなりません。しかし、「すりあわせ」だけに目が行き、舛添や田母神ともそう変わり映えしない内容になってしまえば、都政奪還の意味はなくなります。都心の新富裕層の動向にも目を配りながらも、基本はやはり「かつての石原都政の様な独裁的で開発優先の政治とは縁を切る」「脱原発・反極右・反格差」を志向した内容にすべきでしょう。
 それを成し遂げなければ、また棄権の山を築く事になり、保守や極右に今後もずっと都政を奪われたままです。そして、開発偏重・金権まみれの弱者切り捨てで、ブラック企業やホリエモンみたいな奴らだけが潤い、庶民には「日の丸・君が代」や情報統制だけが押し付けられるだけです。たまたま今回は「命拾い」したからまだ良かったものの、今までと同じ様な事を繰り返していたのでは、今度こそ取り返しのつかない事になってしまうでしょう。
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2 コメント

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今回の総括は (バッジ@ネオ・トロツキスト)
2014-02-12 17:05:51
あまり、いただけないなぁw
例えば↓。

>そういう意味では、左派・リベラルにとっては、今回は都政奪回の千載一遇(せんざいいちぐう)のチャンスだった筈です。そのチャンスを前に、自分たちも保守と同じ愚を犯した挙句に、舛添に勝利をかっさらわれてしまったのですから。

ここ↑には、二つの間違いがあると思いますよ。

まず、① 既に何人もが書いていますが、保守・右翼は前回猪瀬の430万票は大幅に下回りましたが、それでも舛添、田母神で計270万票も依然としてある。
田母神が出るのを許されたのも、田母神に舛添が多少食われても、舛添は勝てるという読みが体制側にあったからじゃない?相手が宇都宮と細川じゃ、(仮に両者が「一本化」で対抗して来ても)舛添は田母神に多少食われたって、なおも十分勝てるだろう、と。
つまり、反舛添側は、それぐらい安倍や自公になめられていた、ということですよ。オレは投票率4~50%以下の予測と共に、それも書いていましたよ。だから、みんなナンセンスなタナボタ選挙に乗せられているだけだ、大阪市長選とさして違わないとも。

それから②の「一本化」の可能性についても、初めから絶対にムリだったことは明白です。
まずA. 宇都宮は、共産社民の支持表明も待たずに先走って出馬発表するぐらいの出たがり屋なのですからね。前回選挙時の「他に誰もいなければ自分が引き受けます」なる殊勝な建前さえ今回は早々に投げ捨てて走り出していたのが宇都宮。
また、B. 相手が細川じゃ、これまた共産の組織や支持者、反貧困系や反新自由主義系の運動が絶対について来ない。みんな昨年来変な自信ももち始めているしね。
さらにC. 細川側も、情勢観が古い。
共産が勢力回復し始めた昨年の参議院選挙以前の古い古いピンボケ情勢観で自己過信していた。自分の方が宇都宮より上だという自惚れと時代錯誤で選挙情勢を誤認していた。実際の世間は、左右二極分解が進み始めているのに、まだ「中間派」ぶりっ子でしかない自分や小泉の影響力を過信していて結果が出てから赤っ恥かいた。だから一本化なんて全くの空論でしたよ。

だいいち、細川でストップ・ザ・安倍なんていう悪い冗談は、細川信者以外、誰も信じっこない。リベラルな一般有権者だって、「それ、どういうこと?w」「具体的にはいったいどうやるの?w」とか、半ばバカにしていた。ましてや、安倍の靖国参拝を40%以上が容認しているようなこの国の一般タイシューに向かって、ペシミスティックでアタマでっかちな左翼狼少年的人民戦線論や反ファッショ統一戦線論なんか説教してみたって、馬の耳に念仏だってことです。中国のGDPがいつの間にか日本の2倍になっていることにさえ気がついていない一国主義的な情勢観は理解出来ないでしょうがね。

あと、宇都宮派も細川・小泉派も、これまたみんなが主観的願望で読みを間違えていると思いますが、「反原発運動の分裂の修復」なんて、出来ないと思いますよ。出来ないだろうし、する必要もない。選挙後に、両派から善意の関係修復願望が表明されていますが、多分そうはいかないでしょう。
だって、「分裂」した今回の選挙こそ、今までのナンチャッテ反原発に内在していたデタラメの必然的帰結、行き着いた先だったのですからね。
そう、反原連的な「再稼働反対」路線では、もう古いんです。絶対に。細川・小泉の都知事選参戦という自業自得を招いてしまった共産党的なシングルイシュー反原発主義も、間もなくご臨終でしょうw
そんなことは、左翼を自認する人間なら、とっくに気がついているべきでしたけれど、例えば、日本にいるガイジンに聞いてみてもすぐに解りますよ。ドイツではフランスからの買電政策を継続・温存するような中途半端な立場だって反原発運動内から放逐されていったらしいですからね。米軍の核艦船や中韓の原発に物を言えない、安保容認や中韓排外主義右翼の立場では今後は運動に残れないでしょう。一国主義の共産・社民・緑だってうかうかできない「危険な兆候」が既に出てきている。そう、若者の次はガイジンの運動への参加の兆候です。今回の都知事選は、結果的にそういう兆候さえ産み出したのでしょう。小泉ナンチャッテによる、予期せぬご利益です。

ま、時は流れるし、諸行無常なんですねwwwww
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コアの脱原発は200万弱 (あるみさん)
2014-02-12 23:14:33
拙ブログに書いたり、四トロ二次会にも書いたのですが、おそらく今回の「悪天候」の影響で投票率が少なかったとしても、「コアな脱原発派」は這ってでも投票所に行き、宇都宮氏もしくは細川氏に投票したでしょう。あとの浮動票兼棄権は、「なんとなく舛添でエエけど、まあ勝つだろう」という人たちで、(かつその中にもなんとなく「脱原発じゃないと不味いなぁ」と思っている人はいる)、要するにコアな票は200万弱しかない。バッジさんと同じだけれど、舛添+田母神で260万票とっているのだから、「統一候補」や(宇都宮氏とは違う)「立派な候補」が出ても、所詮無理だったでしょう…しかし200万弱という数は決して少ない数ではない…ここから私たちは始めないといけない。
また、革新・市民連合で「立派な(誰が細川氏に勝てる知名度を持っているかはわからないが」候補者を出しても、おそらく細川・小泉連合は立候補したでしょう(あいつら政界再編目指して、なんかたくらんでいるようだから)そうなると、今回の結果とほとんど変わらない。また、投票者や宇都宮支援者の多くは、「宇都宮選対問題」をはじめとする宇都宮陣営の「結核性」については知らないでしょう。だから真面目に「新自由主義」に反対する宇都宮氏を支持できるし、それに答えない細川氏は支持しない。

とはいえ、マスコミの露出のおかけか、トンデモ歴史論文を書いて自衛隊を止めさせられた危険な田母神氏に61万もの票がいくことは、危機感をもって対応しないといけないでしょう。特に40代(私と同じ世代です)の支持が多いことは…非常に残念です。あーあ。
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