今日も髪はクルックル

コーヒーロースターの毎日です。

そこには誰もいない

2015-01-26 08:53:41 | Weblog
9年前にコーヒーロースターをはじめた。
その時点で業界はすでに飽和状態だった。
地方で経験もなく始めるというのはとても無謀な事だと言われた。
コーヒー業界にいなかったから出来たことだと思う。
いたら絶対に開業しなかったと今なら胸を張って言える。
開店当時エスプレッソは流行の兆しを見せていた。
それとフレンチプレスで淹れる方法。
だからペーパードリップを選んだ。
ペーパードリップもコーノ、カリタが主流だった。
私は一番安価で淹れやすいメリタを選択した。
出来るだけみんなと違うことを意識していた。
経験も実績もお金も人脈のない私は人と同じ事をするのがとても怖かったんだ。
同じ土俵に立つと絶対に敵わない。それが小さなときから根本にあるんだ。

ドリップパックやリキッド、カフェオレベースの加工品も作らなかった。
コーヒー豆の販売量が減る夏場には喉から手が出るほど欲しい商品なのだけれど作らなかった。
「すごく売れるのに、なんで作らえへんの?」同業の方にもよく言われた。
いろんな理由があるけれど、やはりみんながやってるからというのが一番大きい理由だ。
同じ土俵に乗らない。闘わない。それが私の基本姿勢。
弱虫で臆病者だからみんなのいるところを避けて、隣にある荒れ地を耕したんだ。
時間はかかったけれど、その場所には私しかいないんだ。
ここなら周りの事を気にせずに自分のペースで生きられる。
だから今はとても幸せな日々を送っている。

切磋琢磨して高みを目指す人もいる。
日々の生活を大切に仕事と余暇のバランスを重視する人もいる。
なんとなく日々は流れていくんだと思う私のような人もいる。
みんな自分の場所を持っているんだ。
若い頃苦しかったのは自分の場所じゃないところでいたからだとわかった。
場所は自分で作ればいい。でもってその場所に誰かいて仲良くできればいいけれど
闘わなければならないのなら逃げればいい。
隣に空いている場所は必ずあるんだから。

そこには誰もいないですか?

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