新聞でもあまり大きな扱いではないが、24日、陸山会公判が続いている。小沢さんの元秘書、衆院議員・石川知裕さんへの弁護側の質問。朝日新聞では…「検事は自分の主張を聞き入れてくれなかった」と主張した。「諦めや絶望感があった」。東京地検特捜部の取り調べで、小沢氏との共謀があったことをほのめかす内容の供述調書に署名した石川議員は弁護人からその時の心境を聞かれ、こう振り返った。
…虚偽記載に関する説明を受けた小沢氏の言葉が、調書では「おう、分かった」だけだったため、検事からは「『表現が弱いので、小沢議員がもう少し話している調書を取れ』と上司に言われた」と聞かされたとも明かした。
…石川議員は、自らの虚偽記載を認める内容の調書にも署名していた。石川議員によれば、検事から「この事件はどう収めるかだ」と言われ、小沢氏の自宅や議員会館の家宅捜査のほか、小沢氏の妻の聴取も示唆されたという。「調べできちんと認めないと操作が拡大していくと思い、ある程度どこかで妥協すべきだと考えた」と語った。
小沢氏について審査した検察審査会の「起訴議決」は、土地購入と同日に小沢氏名義で銀行から融資を受けた4億円を「本来の原資の隠ぺい工作」と指摘。この資金操作についても調書では、数日前に小沢氏の了解を得たと記されているという。石川議員は「そんな事実はない。検事は『どこかで小沢議員に報告した時間を作らないといけない』と言ったと語った。(おわり)
石川さんは密室における長時間の取り調べに疲れ、検事に対していくらそうではないといっても聞き入れらず、その上、小沢さんや小沢さんの妻をも巻き込むことを恐れ、「諦めや絶望感」に駆られ、不本意ながら調書にサインした経過を告白している。
記者会見であれだけしっかりと受け答えをした村木さんがどうして検事の用意した調書にサインしたのかという疑問も、夜も昼もないほどの連続した取り調べを受ければ、追いつめられ、正常な判断の感覚も失われてしまうのだろう。
石川議員のこの供述署名がその後の小沢さんの検察審査会の強制起訴の判断の根拠にもなり、さらにそれが小沢さんの党員資格停止処分にもつながっていく。すべてはここが出発点。村木さん裁判では、弁護人の弘中さんの奮闘だけではなく、担当した裁判長も検察側の調書に対して批判的な見解を述べ、採用しなかったものもあり、そうした姿勢が村木さんの無罪へとつながった。この裁判ではどういった裁判長なのかが気になるところ。
ジャーナリスト江川紹子さんの「江川紹子ジャーナル」2月9日号「同時に裁かれる特捜~石川知裕議員らの初公判を傍聴して」では…(前略)政治資金規正法違反だというのに、検察の冒頭陳述はまるでダム建設の受注をめぐる汚職事件のようだった。嫌疑がはっきりしているなら収賄罪で立件すべきで、それが出来ないものを被告人らの悪いイメージをかき立てる印象操作に利用するというのは、フェアと言えるだろうか…(後略)と。
そもそも検察が仕掛けた小沢さんに対する執拗な悪人のイメージ、それに対して何の批判記事も書けず、むしろ政治とカネという造語でこの動きを補完した主要新聞やTV報道。朝日新聞の社説などは、かつて自分たちが国民を鼓舞し戦場へと駆り立てて行った反省などさらさらないというのがわかる。検察もひどいけど、もっとひどいのはそれを承知で報道している新聞・TV報道…。