動物が鳴くのを英語でどう言い表すのか。研究社の新和英中辞典で「鳴く」を調べると
〈犬〉は bark; whine
〈猫〉は mew; meow
〈牛〉は low; moo
〈馬〉は neigh; whinny
〈驢馬〉は bray
〈山羊〉は bleat
〈豚〉は oink; squeal
〈鼠〉は squeak
〈猿〉は gibber; chatter
〈鹿〉は bell
〈雄鶏〉は crow
〈雌鶏〉は cackle; cluck
〈雛〉は peep
〈小鳥〉は chirp; twitter
〈烏〉は caw
〈鳩〉は coo
〈梟〉は hoot
〈家鴨〉は quack
擬音語や擬声語表現を動詞として使っている場合も多いようだ。さて〈クイナ〉の鳴き声ははどんな動詞を使うのが適当なのだろうか。やはり chirp や twitter が近いのかもしれない。
なぜ〈クイナ〉かといえば、金田一春彦先生の「ことばの歳時記」6月の項に「クイナの声」というテーマがあるからだ。
先生は先ず「徒然草」十九段「折節のうつりかはるこそ」にある「五月、あやめふく比、早苗とるころ、水鶏(くいな)のたたくなど、心ぼそからぬかは」という一文を引いて、今頃の夜明けなどに木を叩くような調子で鳴くクイナの声は昔から歌の材料になった初夏の景物だと書いている。
クイナはその鳴き声から「クイナがたたく」と表現することがあったが、日本では鳥の鳴き方をいろいろ区別する。一般の小鳥は「さえずる」という。鶏は「時を告げる」、時鳥は「名乗る」、鶯は「経を読む」といった具合である。一方、欧米では家畜類に対する区別がウルサイ。これは冒頭の鳴く動詞の羅列をみてもよく分かる。
「欧米人の自然観察は実用的なのに対して、日本人の自然観察は情緒的だ」というのが、動物の鳴き声表現に対する金田一先生の説である。
「あるときは叩きそこなふ水鶏哉」子規
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