5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

ゆらゆらと哀しい

2021-03-16 21:30:20 | ことば

コロナ状況、16日は愛知県で感染が30人(延26524人)死亡が2人(累562人)となり、全国では感染が1134人(延450451人)死亡が57人(8702人)と発表されている。浜松と札幌で発生したクラスターは変異種が疑われ、神奈川では全国発の変異種感染による死者2名を出した。感染ルートがトレース出来ないのであれば、変異種がどのあたりまで行ったのかは知る由もない。ワクチン接種を終えたヨシは、ジョーに逢えるとウキウキだが、はたして変異種に効くやら効かぬやらだ。

「枯芝やまだかげろふの一二寸」芭蕉

晴れたのどかな日、ゆらゆら立ち上る陽炎を見ていると、なんだか気が遠くなり「ああ春なんだ」と実感するとは「季語集」の坪内稔典先生。GooのWEB辞書には陽炎(かげろう)の説明がこう載っている。

穏やかな春の日、地面から炎のような揺らめきが立ちのぼる現象。強い陽射しで地面が熱せられて上昇気流を生じると、通過光が不規則に屈折して起こる。ワ行五段活用の動詞で、意味は、姿などがちらりと見える。光がほのめく。ひらめく。日がかげる。陰になるなど。

先掲の芭蕉句は糸がゆらゆら遊んでいる感じがするから、陽炎の別名「糸遊」を表現したものだろう。

「かげろふと字にかくやうにかげろへる」

陽炎が揺れる様子は「かげろふ」と字に書くようだという富安風生の句を引用した後、坪内先生が傑作だと書いているのは真鍋呉夫のこの句。

「かげろふの中の義歯となりにけり」

俺は陽炎のたつ自然の中の入れ歯みたいなもんだというのだが、一読して可笑しく、そして「ゆらゆら」と哀しくなると先生はいう。

実際に冷たいものを飲み食いするとジジンと浸みて飛び上がりそうに痛い欠けた奥歯を持て余す老人としても、自分は世の中の異物だろうかと疑問に感じるのは真鍋とおなじだなあと思う。そろそろ歯医者にいかなくてはな。

 


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