5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

コペルニクスの頭蓋骨

2008-11-24 23:04:45 |  経済・政治・国際

11月22日、ドイチェヴェレのポッドキャストで、数年前に見つかった天文学者・コペルニクスのものといわれた骨がやはり本人の遺骨だと証明されたというニュースを流していた。

16世紀の骨の残片で本人だとわかるというのだから、DNA鑑定の力にはすごいものがある。

DWのポッドキャストによると、事実を確認したのはポーランドとスエーデンの研究家たち。

ポーランド・フロムボルクの聖堂の地下祭壇から、数年前に見つかった歯と骨のDNAが、現在スエーデンのウプサラ大学に保存されているコペルニクスの著書から見つかった髪の毛のDNAと一致したということで、この骨が彼のコペルニクスの遺骨に間違いなしとされたものだ。

さらに、ポーランドの犯罪検査のスペシャリストによって、頭蓋骨の一部から顔全体の形を再生する作業が行われ、別に残されたコペルニクスの肖像画に極めて類似していることが確認されたようだ。

ニコラウス・コペルニクス(1473~1543)は、カトリック教義主流に天動説を、180度覆す地動説を唱えた天文学者であるのは周知の事実。

コペルニクスの骨を発見したのはポーランドの大学教授だし、それを強く勧めたのはフロムボルクのカトリック司教であるから、ソビエト侵攻で破壊され手の着けようもなく荒れ果てたままの祭壇を掘り起こした二人の努力も讃えられるべきだろう。

遺骨は見つかったのだが、コペルニクスを巡る論争は終わってはいないようだ。問題は彼の国籍。現在もポーランドとドイツが本家争いを続けている。

最近のヨーロッパ議会ではポーランド代表とドイツ代表が彼の呼び方についてやり合ったという。ニコラウス・コペルニクスではなく、ミコライ・コペルニクと呼ぶべきだとはポーランド代表の言い分。

共産主義時代の出版物は総て、コペルニクスがポーランド人だと記しているのだが、母親がドイツ人でああり、住んだのがドイツ語圏のポーランドだということ、ボローニャ大では彼自身がドイツ人として登録していることなど、ドイツ側はこうした歴史的事実を並べて反論しているのだそうだ。
   
以前はわからなかったことも、遺骨が出たことで判るようになったという。

今までコペルニクスの死因は自然死とされていたのだが、頭蓋骨を調べると彼の若い頃、頭に強烈な一撃を受けたということが、左目位置に傷が残っていて確認されたのだそうだ。肖像画にもこの傷は描かれているという。

それにしてもDNAによるマッチングの正確さはどうだ。

現存する子孫のDNAから、墓に残る骨のDNAとのマッチングで、歴史上の人物を特定し、コペルニクスのように残された肖像画から、3Dの顔や頭蓋が再生でき、我々の意識にはっきりしたイメージで蘇らせることも左程は難しくなさそうではないか。

いささか怪奇的でもあるが、時空を越えた人物との再会が果たせるとすればとてもロマンチックではないだろうか。おかげで、ヨーロッパ中世の昔に気持が飛んで行きそうである。







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