5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

アカハナ

2021-05-01 22:05:31 | ことば

今日から5月だ。まずはコロナ、全国で5986人(延599700人)の感染と82人(累10338人)の死亡が確認された。愛知県では398人(延33875人)の感染が報告されている。感染者が3桁台なのは大阪府を筆頭に10都道府県におよぶ。

「春ともなれば新芽とともに吹き出して若いひとたちを悩ませるのがニキビである」とは〈ことばの歳時記〉の金田一先生。

4月末の項に〈赤鼻〉という一文がある。赤鼻といってもクリスマスのトナカイではない。坂本九を引き合いにだしていることで、先生がこの文を書いたのが今から50前以上前ということがよくわかる。

そういえば、50年後の現代日本の若い子たちは皆が皆、つるりとしたきれいな顔をしている。男も女も、栄養もよく化粧にも気を使える彼等だからそうなのだろう。

それでもニキビを気にした若い女の子が、皮膚科にかかれば、医者はむつかしい顔をして〈尋常性痤瘡〉とカルテに書くのだろうとある。いわゆる〈ニキビ〉のことだ。

医者たちの使う医学用語というのは難しい漢字だから余計に解りづらい。たとえば〈色素性母斑〉は〈アザ〉で〈頭屑〉とは〈フケ〉。〈脱毛症〉は〈ハゲ〉で、〈若年性〉がつけば〈若ハゲ〉、〈円形〉がつけば〈五厘ハゲ〉(いまなら十円ハゲというのか)だ。

さて〈赤鼻〉だが、これは〈酒皶〉というのだそうだ。どっと西洋の医学を受け入れた明治時代。当時の有識者や役人たちはあわてて漢語を引っ張り出してつけたからだと先生はいう。

もっとも、患者にはなまなましい実感を起させない効用もあるから、赤ら顔を気にして来院したひとに、露骨に「こりゃ赤鼻ですなあ」というより、「シュサのようです」と診断したほうが不快感を与えないですむだろうとのことだ。

子供やペットにさえ丁寧語を使うのが普通になってきたケッタイな世の中なのだ。なんでもひとの言葉尻をとらえてケチをつけたい輩も多いから、お医者さんたちは、症状のひとつを言うにしても大いに気をつかわざるをえないはずだ。内臓疾患はともかく外貌にかかわる病変は婉曲表現がとくに難しかろう。

 


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