5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

きぬかづきとキヌカツギ

2021-05-27 21:33:11 | ことば

27日のコロナは、全国で4139人(延735495人)の感染と106人(累12746人)の死亡が確認された。このうち、愛知県では394人(延46113人)の感染と、2人(累745人)の死亡が報告されている。

政府は、今月末期限の9都道府県の緊急事態宣言を、来月20日まで延長する方針を固めたという。延長に継ぐ延長だが、国の必死さが依然として伝わってこないのだから、国民の気持ちが易きにながれて感染が拡がったとしても誰も文句はいえまい。

今の豊田市を中心とした松平郷一円はかつて加茂郡と呼ばれていた。松平郷は徳川家康の祖先、松平一族の故郷である。一説によるとこの加茂は京都の賀茂神社と由縁があるという。

賀茂神社の例大祭「賀茂祭」を「葵祭」と別称で呼ぶのは、この神社の神紋が(双葉葵〉であることに由来するのだが、徳川家の家紋が〈三葉葵〉だというところに結びつくというわけである。

祇園祭が庶民たちの祭りであるのに対し、朝廷による国家行事を源とする葵祭は貴族たちの祭りだというのが特徴だ。日本の祭には数少ない王朝風俗の伝統が残されており、葵の花を飾った平安装束で行う「路頭の儀」というパレードがハイライトなのだが、去年に引き続き今年もコロナによる中止とあいなった。

「葵かづらの冠して近衛使の神祭り」

とは浪漫派詩人・薄田泣菫の句だが、これが引用されているのは「ことばの歳時記」だ。金田一先生は「葵」ではなく「かづら」の方に興味を惹かれたらしい。

かづらは「蔓」でつる植物のこと。それを頭髪に挿して髪飾りにしたところから、頭につけるものはみな「かづら」と呼んでいた。それをいつしか誰かが「桂」ととりちがえ、今では、時代劇の人口髷から、貧相な年寄の地毛をカバーするヘアピースに至る、すべてを「かつら」と澄んで呼ぶようになってしまった。

もうひとつ、着物を頭に被ることを昔は「かづく」と言い、そうした身なりをすることを「きぬかづき」と言った。お伽草紙の「鉢かづき」という使い方である。

別の動詞に、荷物を肩に担ぐなどの「かつぐ」があるが、「かづく」もいつしか「かつぐ」と紛れてしまい、着物を被って着ることを「かつぐ」というようになってしまった。皮のまま茹でた里芋のことは「キヌカツギ」のまま辞書に掲載されてしまったのだそうな。

 


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