5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

都鳥はユリカモメ

2019-11-16 21:38:03 |  文化・芸術

WEBニュースに東京山手線の新駅「高輪ゲートウエイ」が完成間近いだということでマスコミに事前公開がされたと出ている。品川と田町の間にあった車両基地の跡地を利用したもので、隈研吾のデザインが採用された「折り紙」形の大屋根が特徴的だ。オリンピック観光客対応にと来春に暫定開業をするが、リニア開業時にはここが東京の新しい交通の要になるということらしい。

そんな記事を読みながらブラウズしていると「ゆりかもめ」という名前の臨海新交通のHPがヒットした。こちらは新橋と豊洲を結ぶ自動運転の高架鉄道だ。

聞いたことはあっても乗ったことはない。「ゆりかもめ」とは雅やかな名前だなと思ってHPを読んでみると、東京都の都鳥が「ユリカモメ」だということに因んでとある。そも「ユリカモメ」という鳥もよく知らない。

こんどは「ユリカモメ」でウイキを探る。ユリカモメ(百合鴎)は、チドリ目カモメ科に属し、ユーラシア北部やイギリスなどで繁殖し、冬は日本にも南下して越冬する。

日本の古典に現れる「都鳥」はこのユリカモメだと云い、伊勢物語の「男」が旅の途中の墨田川で見つけた「白き鳥の嘴と脚と赤き、鴫の大きさなる、水の上に遊びつつ魚を喰らう。京には見えぬ鳥なれば、みな人見知らず」とあって「これなむ都鳥」と船頭に教えられて詠う「名にし負はばいざこと問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと」という京をなつかしく想う有名な和歌が引用されている。

なるほど、伊勢物語の「みやこどり」があったから、東京の「都鳥」にはユリカモメを選んだということか。

中西悟堂といえば「日本野鳥の会」の創立者というイメージだが、本来は詩人・歌人だった。ユリカモメについて、彼は、この種に限っては、海岸近くだけでなく、市中や内陸にも深く入り込んで、多摩川でいえば拝島や福生まで行くことがあると言ったとは「ことばの歳時記」で金田一春彦先生が書いている。

これは、万葉集にある舒明天皇の「天の香具山登り立ち国見をすれば...かまめ立ち立つうまし国ぞ...あきつ島やまとの国は」という長歌の「かまめ」とは何だということが研究家の中では云われてきたのだという。かまめはカモメのことだが、海の鳥が奈良の山の中にいるわけはなかろうという一般論に対して、中西先生は、それはユリカモメでしょうと断定したというわけだ。

京都の冬の風物詩に鴨川のユリカモメがあるというウイキの説明もある。やっぱり都鳥はユリカモメということだろう。


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